今日、たまたま書店で見かけた小学館の雑誌「DIME」の2011年1号。「DIME JET STREAM ステレオスピーカー」なるものが特別付録として付いているではないですか!表紙には「今度はアンプ内蔵!!~付録史上最高の音質を実現!」とも書かれています。
普段よりちょっと高めの値段設定とはいえ、本の値段は580円。こんな安い雑誌にアンプ内蔵のステレオスピーカーがオマケで付いてくるとは、やはり驚きです。モノは試し、ということで買ってきて使ってみました。
雑誌本体に、挟まる形で入っていた付録は、はがきサイズで厚さ27mmの箱。やや潰れて箱が壊れかかっていたのは「玉にきず」ですが、雑誌の付録だけに軽い筐体のようです。箱を開けてみると黒いプラスティックの箱が入っています。
実測してみると、幅115mm×高さ56mm×厚さ20mmというコンパクトな機材。リアパネルを見ると長さ約14cmのステレオミニケーブルが埋め込まれています。その隣には電池ボックスがあり、単4電池2本で駆動するようです。
さらにその右には電源スイッチ。3段階スイッチとなっており、オフ/音量小/音量大という設定になっています。
さっそく手元のiPadと接続して、iMS-20を起動して演奏してみました。
確かに音は出ます。が、スピーカーの電源を入れた瞬間に「サーー」というホワイトノイズが……。さらに音量大にすると、そのノイズも大きくなります。iMS-20を終了しても、iPadのスイッチを切っても、さらにはステレオミニジャックを切り離しても、ノイズはなくならないので、どうみてもスピーカー固有の問題のようです。
音質はというと……、ん~、まあオマケの音といった感じでしょうか……。いかにも電子音といった音を出すのには、結構いいかもしれませんね。チープサウンドを演出できるので、この出力をマイクで拾ってみるのも面白そうですよ。
ここでふと思ったのが、「KORGのmonotronと組み合わせるといいのでは?」ということ。つないでみると、大きさ、雰囲気的にもとってもマッチします。そして出てくる音は、いかにもオモチャサウンドで面白い。最近、こんな低音質な機材めったにみかけませんから、結構楽しいですね。
モノフォニック・シンセの演奏にはピッタリですが、本来の目的であるiPodなどでの音楽演奏には向かないですね。大きい音を出すと、各サウンドが干渉しあって、すぐに割れてしまうのです。また、高域のサウンドは比較的しっかりと出ている一方で、ベースやキックなどは全然聴こえませんから、音楽として破綻してしまいます。そのため、まったくお勧めはできませんね。
ここで、このスピーカー、どんな構造になっているのか、4つのネジをはずして分解していました。中には1cm各程度の小さい基板が入っています。よく見ると、「TDA2822M」という型番が読めます。STマイクロのデュアル・アンプのようですね。比較的有名な「NJM2073」の互換チップで、1個あたり100円程度。ロットで買えば50円以下で入手できるようですが、やはりノイズが多いことで有名なチップでもありました。低電圧(電池2本)で動作して、簡単に回路が組めるので、便利ではあるものの、やはり高音質を実現するタイプではなさそうですね。
ちなみにスピーカー部は直径3cmほどものものが2つ採用されており、しっかりステレオで鳴ってくれますが、狭い間隔で両方とも正面を向いているため、ステレオ間の演出というのは難しそうな感じではありました。
以下の追記の通り、ステレオではありませんでした…。
あ、それからこの580円のDIMEにはマクドナルド「プレミアムローストコーヒーS」(120円相当)の無料券も付いているので、マクドナルド利用者ならさらに、お得感もありそうですよ。
【追記】2010.12.24
この記事をUPした後、Twitterで「アンプICへの配線がおかしく、左右チャンネルともに同じ信号が入っている」という報告がありました。改めて調べてみると、まさにその通り。なんと左チャンネルの音が両方のスピーカーから出る仕様であり、右チャンネルは出ていないことが判明。これはさすがに欠陥品ですね…。
また、そのTwitterで情報を寄せてくれた方によると、スピーカーの片側の配線が反転しているために逆位相になっていたとのこと。私の買ったものは正相になってましたが、ものによっては、そういう配線ミス製品もありそう…。妙に音が小さく、片側のスピーカーをふさぐと音が大きくなる場合は、逆位相なので、配線をしなおしたほうがよさそうですね。
さらに追加情報として、モノによっては左チャンネルだけ出るものと、右チャンネルだけ出るものがあるようです。いずれにせよ、モノラルという仕様ではありますが…。
どう対応するんだろう、DIME編集部は…。
【追記2】2010.12.26
たまたまWeb検索していたら、「DIMEの付録のスピーカーみたいなVST作った」なんて面白いものを発見しました(aikeさん作)。ステレオをモノラル化するプラグインですけどね(笑)。
【追記3】2010.12.26
先日、いろいろと取材をさせていただいたユードーの社長、南雲玲生さんが、ステレオ化への改造を行い、その手法をブログで公開されています。やはり根本的に回路が間違って設計されていたようですね。そのため、改造はちょっと一筋縄ではいかないようですが、チャレンジしたい方は、参考にされてみてはいかがですか?
■小学館DIME JET STREAM スピーカーを直す。
■小学館DIME JET STREAM スピーカーを直す。その2
【追記4】2010.12.29
もともと、片チャンネルしか音が出ないという情報を教えてくれたOTO-NETAの@cabcabさんが、ブログ上にかなりハイレベル(!?)な改造法を公開されています。ボリュームまでとりつけて、計624円の部品代(DIMEの価格を超えてしまう!)を使っての改造です。興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
■DIME付録アンプ付きスピーカー(モノラル)をボリューム付きでステレオ化してみた