iPhone/iPad用の強力なソフトシンセ、AKAI SynthStationについて、以前の記事「iPadで進むDTMデフレ!? AKAIのSynthStationは1,200円 」紹介しましたが、そのSynthStation専用のMIDIキーボード、SYNTHSTATION25が10月末にプロ・オーディオ・ジャパンから発売されます。DOCK接続でiPhoneやiPod touchをキーボード内に収納してしまうというユニークなタイプのキーボードです。
実売価格12,000円程度で発売されるという、このSYNTHSTATION25を一足早く借りることができましたので、実際どんなものなのか、試してみました。
アプリであるSynthStationそのものについては割愛しますが、ドラム機能、シーケンサ機能、エフェクトも備えた非常に多機能なバーチャルアナログシンセです。ただ、使っていて不便に感じたのはフィルタやEGなどをいじりながらキーボードが弾けないことです。確かにシーケンサを鳴らしながらいじることはできたので、音の変化は確認できるものの、やはり自分で鳴らせないのには欲求不満を感じます。
1,200円の強力なアナログシンセ、AKAI SynthStation
そうした問題を解決しつつ、SynthStationをより本物の楽器、本物のシンセに仕立て上げてくれるのがSYNTHSTATION25なのです。これはベロシティセンスに対応した25鍵のミニキーボードで、ピッチホイール、モジュレーションホイールも装備。また、右側に並んだ8つのボタンで、ドラムと3つのシンセの切り替えや音色の切り替え、オクターブの切り替えを可能にするというものです。
使い方は簡単で、iPhoneやiPod touchをドックに差し込んで入れて、SynthStationを起動するだけ。新バージョンをインストールするといった必要はありませんし、設定も不要で、単に接続するだけ。これにより、まさにシンセサイザ・キーボードとして利用できるようになるのです。リアにはライン出力とヘッドフォン出力もありますから、これで外部へのオーディオ接続が可能になります。ちょっと大きさが違いますが、AKAI MINIAKに非常に近いものが、これで実現できるわけです。
一番うれしいのはパラメータをいじりながら演奏できることです。パラメータ自体はiPhoneの画面で動かしますが、その間、SYNTHSTATION25側のキーを押せば音が鳴って、その変化をリアルタイムに確認していくことができます。
なお、SynthStation自体にリアルタイムレコーディング機能やステップレコーディング機能が用意されていないので、シーケンサ機能に対してキーボードから打ち込むということはできませんでした。
ところで、このSYNTHSTATIONは、先日行われたシンセフェスタ2010でも展示されており、AV Watchの連載記事Digital Audio Laboratoryの「第435回:iPhone/iPod touch搭載可能なMIDIキーボードが登場」でも簡単に紹介しました。が、電源については私の誤解があったようでした。
底面には電池ボックスが用意されている
電源は3方式で、1つ目は裏側にある単4電池×4本での駆動、2つ目はUSBからの電源供給、3つ目がオプションのACアダプタを使っての供給です。つまり、AV Watchで書いていたiPhoneからの電源供給というのは間違えでした(先ほど、AV Watch側も修正しました)。
ミニUSBで電源供給が受けられるほかPC用のキーボードにもなる
そのUSBでの接続では、電源供給ができるというだけでなく、PC用のUSB-MIDIキーボードとしても使えるのが大きなポイント。つまりiPhoneなどとは無関係にキーボードとして利用できるわけです。この際、いわゆるGeneric MIDIキーボードとなっているため、MacでもWindowsでもドライバなしで、接続すればすぐに使えるようになっています。
ところで、このSYNTHSTATIONをiPadで使えないの?と思う方もいるでしょう。当然、DOCKステーションとして見たいときに収納できる大きさが違うために、物理的には収まりません。でも、便利なもので、DOCK延長ケーブルといわれるものが、いくつかのメーカーから発売されています。これを利用すれば、とりあえず接続はできるはず。実際に動くのか試してみました。
結論的にはまったく問題なく動作してしまいました。どこにどう置くかが難しいところですがDOCK延長ケーブルさえあれば、iPadでSYNTHSTATION25を利用することが可能なのです。
興味のある方は、まずはSynthStationを入手するところからスタートしてみてはいかがですか?