6月21日、SteinbergがCubase 5および下位バージョンのCubase Studio 5から5.5へのアップデータが公開されました。これは当初の5.0.0やそれまでの最新版5.1.1などが対象のアップデータであり、Steinbergサイトから無償でダウンロードすることが可能です。
だいぶ以前から5.5が出るというアナウンスは出ていただけに、期待していた人も多いと思いますが、このアップデートをすることで、ユーザーにとってどんなメリットがあるのでしょうか?実際にインストールして試してみました。
私が実際にアップデータを適用させて試してみたのはWindows 7の64bit版に64bitのCubase 5をインストールしたものと、Windows 7の32bit版に32bitのCubase 5をインストールしたもののそれぞれ。
まだ細かく検証できているわけではありませんが、まず起動させて「おっ!」と感じるのがUIの変更です。もちろん派手な変更ではないのですが、下の2つの画面を見比べてみてください。上が5.0の画面、下が5.5の画面です。縮小したままの画面だと分かりづらいかもしれませんが、拡大すればいろいろ違いが見えてくるでしょう。
ツールバーのアイコンがいろいろと変更されているのが分かるでしょう。だからどうというほどでもないですが、実際使ってみると結構使いやすくなっているのです。また、微妙に文字のフォントも変わっており、見やすくなったように思います。
また、ビルトインEQに「EQバンド反転」というボタンが追加されたのもポイント。ブーストしているポイントをボタン一発で反転させられるので、効果の違いがすぐに見れて、なかなか便利ですよ。
しかし、そうしたことよりもCubase 5.5へアップデートして最大のポイントは処理速度の高速化と、システムの安定化です。見た目上、地味な変化ではありますが、これはユーザーにとってはもっともうれしいことのように思います。
その高速化の背景にあるのが、「マルチコアCPUへの最適化」です。従来からマルチプロセッサ対応はしていたのですが、今回のアップデートにより4コア以上のCPUで効率的に計算処理できるようになったので、最近のCPUを使っている人にとっては非常に大きなメリットがあるのです。私の場合、最新プロセッサではないものの、Core2Quadという4コアのCPUを使っているため、明らかに処理が軽くなりました。
とくにオーディオインターフェイスのレイテンシーをなるべく小さくするために追い込んだ状態だとCPU負荷が高くなっていたのですが、それが軽減されているのは、非常に快適です。また、新たに「CPU節約モードを解除」というチェックボックスもできているので、これにチェックを入れると、よりパフォーマンスが向上します。
また、まだ細かくチェックできていないのですが、64bit版のCubaseにおいて32bit版のVSTプラグインを利用する際の橋渡し役であるVST Bridgeがより安定化しているとのこと。これがイマイチで従来、サードパーティーのjBridgeを使っていた人も多いと思いますが、これによってその必要性が低くなりそうです。
ただし、従来の環境から5.5にアップデートすると、組み込んであったプラグインがうまく認識されないケースがかなりあるようです。たとえばIK Multimediaのプラグインなどがそうですが、その解決方法も発表されています。それは単純にCubase 5.5をWindowsの「管理者として実行」すればいいだけです。また、新たにインストールする場合はそうした問題は起こらないようなので、大きな心配はありません。