Rolandから、小型で万能なミキサー/オーディオインターフェイスGO:MIXER PRO-Xが発表されました。これは、以前発売されていたGO:MIXER PROの後継モデルであり、よりユーザーのニーズに合わせ進化した製品となっています。見た目は白から黒の艶消しに変わった、色違いのようにも見えますが、実はヘッドセットマイクに対応したり、アクティブピックアップのギターやベースでも使えるようになるなど、さまざまな点で進化。さらに、これまで接続できなかったUSB-OTGに対応していないAndroidスマートフォンにもアナログで接続することが可能になり、Clubhouseといったオーディオインターフェイスを接続すると本来はじかれてしまうアプリでも裏ワザ的に使うことができるようになっています。
iPhone/Androidでオーディオインターフェイスを使う理由としては、音をよくしたかったり、オーディオ入力を増やすなどがあると思います。GO:MIXER PRO-Xはまさにそのために誕生した機材であり、小型であるため持ち運びも簡単。価格は旧モデルと同じ19,800円(税込)前後。実際にアップデートされたGO:MIXER PRO-Xを試してみたので、旧モデルとの比較も交えつつ、どんなものなのか紹介してみましょう。
小型で万能なミキサー/オーディオインターフェイスGO:MIXER PRO-X
このコロナ禍において、iPhoneやAndroidなどのスマホから手軽にネット配信するために小型で高性能なミキサーであるGO:MIXER PROが欲しい……という声は多くあったのに、部品不足などの影響から昨年8月に販売が終了。しばらくモノがない状態が続いていました。が、ようやくここにきて、待望の後継機となるGO:MIXER PRO-Xが発表され、7月末より発売となります。従来あった下位モデルのGO:MIXERと上位モデルのGO:MIXER PROが統合する形で誕生したGO:MIXER PRO-Xは、より強力な機材として生まれ変わったもののようです。
GO:MIXER PRO-XとGO:MIXER PROを並べてみると、サイズも形もほぼ変わっていないので、色違いのように見えますが、よく見てみるとツマミの配置が変わったり、端子の種類に違いがあるなど、仕様は少し変わっています。
新機種のGO:MIXER PRO-X(左)と従来モデルのGO:MIXER PRO(右)
GO:MIXER PRO-Xの入出力や搭載している端子は以下の通りです。
チャンネル数 | 入力 | 11ch |
出力 | 3ch | |
端子 | INSTRUMENT | 標準タイプ(L/MONO、R) |
LINE IN 1 | ステレオミニ | |
LINE IN 2 | ステレオミニ | |
GUTAR/BASS | 標準タイプ(ハイインピーダンス) | |
SMARTPHONE IN/OUT |
ステレオミニ(ステレオ、CTIA) | |
MIC | コンボタイプ | |
HEADPHONE/ HEADSET |
ステレオミニ(ステレオ、CTIA) | |
USB | microUSB |
以前、「iOS/Androidで使える小型ミキサー、Roland GO:MIXER PROがとっても優秀!」という記事でGO:MIXER PROについて紹介したことがありましたが、ご存知ない方のために一言で紹介すると、これはiPhoneのLightning端子やAndroidやiPadなどのUSB Type-C端子、microUSB端子に接続する小さなミキサー。普通ならスマホやタブレット本体内蔵のマイクからしか音が入力できないところ、GO:MIXER PROを接続することで、手持ちのマイクやギター、また各種楽器やオーディオ機器と接続が可能になるとともに、これで複数の機器からの入力ができるようになるという拡張機材です。
さまざまなシチュエーションで活用できるGO:MIXER PRO-X
これを使うことで、Zenbeatsをはじめとするスマホ用のDAWアプリで音楽制作に利用できるのはもちろん、配信アプリで利用したり、ZoomやTeamsなどオンライン会議アプリの利用においても、より高音質に、さまざまな音を送出できるようになるため、各方面から絶大な人気があったのに、製品生産が終了となっていたんですね……。
今回登場するGO:MIXER PRO-Xも、旧機種と同じくmicroUSBの端子が用意されているので、付属のケーブルを使ってスマホやタブレットなどを繋いで使えます。付属のケーブルは、Lightningケーブル、USB Type-Cケーブル、3.5mm TRRSオーディオケーブルがあり、LightningケーブルとUSB Type-Cケーブルは以前の倍の長さの1メートルになっています。従来のGO:MIXER PROの付属ケーブルが50cmだったので、より取り回しがしやすくなった印象です。
付属ケーブルの長さが改善され、3.5mm TRRSオーディオケーブルが付いてくるようになった
天面を見てみると、ツマミの割り当てが変わっています。これは、GO:MIXER PRO-Xではヘッドセットマイクやほかの入出力が追加されたからであり、それぞれ描かれているアイコンのツマミを回すことで、ボリュームを調整することができるようになっています。
ツマミの上側にある盛り上がった部分の側面を見てみると、ここにXLRのキャノンケーブルやシールドを接続することが可能なコンボジャックが搭載されています。+48Vのファンタム電源供給にも対応しているので、コンデンサマイクを使うことができるというのも重要なポイントです。
コンボジャックになっており、コンデンサマイクを接続することも可能
また、コンボジャックの反対側を見てみると単4電池を4本入れることができ、iPhone/iPadの場合は電池を入れてファンタム電源を利用できます。一方Androidの場合は、電池からでも本体からでも電源供給が可能。もちろん、ファンタム電源が必要なければ、スマホからのバスパワーでGO:MIXER PRO-Xを使うことはできますよ。
一方で、電池を入れて、本体にあるBATTERYスイッチをオンにすれば、スマホ側から電源供給をせず、電池駆動させることも可能です。電池駆動の状態であれば、スマホを使わず、ミキサーとしても使うことができるのも便利なところ。アルカリ電池利用の場合、約4時間の連続使用が可能となっています。
BATTERYスイッチの切り替えで、電池駆動させることができる
ちなみにこの電池を入れる部分は、スマホを置くのにちょうどよく設計されているので、GO:MIXER PRO-Xとスマホを一体化させた状態にでき、省スペースでの利用が可能なのも嬉しいところです。
では、GO:MIXER PRO-XとGO:MIXER PROを並べて、端子の違いなどについても詳しく見ていきましょう。右側面を見てみると、ファンタムスイッチやGUITAR/BASSの入力端子は同じですが、GO:MIXER PROでは「PLUG IN MIC」となっていたところが、「SMARTPHONE IN/OUT」に変わっています。ここに付属の4極3.5mmケーブルを接続することで、ミックスした音をオーディオで出力することができるので、これまでUSBを繋いで使用できなかったUSB-OTG非対応のAndroid端末でも使用可能になりました。
反対の左側面は従来と変わらず、INSTRUMENTのステレオ入力端子が装備されています。ここにはシンセを繋いだり、ボーカルエフェクタを通した後の信号を入力したり、いろいろなものを入力できます。
前面を見てみると、「MONITOR OUT」だったところが、「HEADPHONE/HEADSET」に変更されています。ここの端子は、ヘッドホンやイヤホンを繋いで音をモニターすることができるのに加え、GO:MIXER PRO-Xではヘッドセットマイクの入力が追加されています。また、「CENTER CANCEL」が廃止され、「PAD GUITAR/BASS」が搭載されました。冒頭でお伝えしたように、パッドスイッチが搭載されたので、アクティブピックアップのギターやベースといった出力が大きい楽器も扱えるようになりました。
前面はセンターキャンセルのスイッチがなくなり、ギター/ベース用のPADスイッチとなっている
また、GO:MIXER PROにも搭載されていましたが、便利なループバックスイッチは、GO:MIXER PRO-Xにもちゃんと引き継がれています。なので、iPhone/iPadやAndroid機器オーディオ出力された信号を、マイクやギター、ラインなどと一緒にミックスした上で、再度スマホなどへと戻すことが可能。最近のオーディオインターフェイスには搭載されている機能ですが、GO:MIXER PRO-Xにも完備されていますね。
コンパクトながら多くの機能を備えているので、さまざまな用途で活用できる
GO:MIXER PRO-Xは、iPhone/iPadやAndroidで使用することを前提に設計されているので、ライブ配信などで便利に使うことができ、ときには独立したミキサーになるわけですが、実はmicroUSB-USB Aを用いてPCと接続することも試してみた結果可能でした。PCに接続した状態であれば、十分に電源供給ができるのでコンデンサマイクをバスパワーで使用可能。Studio Oneを立ち上げて見てみると、2IN/2OUTというシンプルなオーディオインターフェイスとして認識されます。
Macの場合はCoreAudioデバイスとして認識されるので、すぐに各DAWで利用できる一方、Windowsの場合は、MME/WASAPIとなるので、Studio OneやCubaseなどであれば、そのまま使えますが、それ以外のDAWの場合はASIO4ALLといったドライバをインストールする必要があります。また、もともとはミキサーなので、入力した音声はダイレクトモニタリングになってしまうため、エフェクトを掛けた音をリアルタイムモニタリングしたい……といった複雑な用途になってくると、限界はありそうです。
もっとも普通にPCでレコーディングしたり、再生する分には十分な仕様で問題ないのですが、GO:MIXER PRO-Xはあくまでスマホで使う前提で設計されているので、PCで使うメインのオーディオインターフェイスとしては、Rubixシリーズなど専用のものを用意した方がいいかもしれませんね。
以上、GO:MIXER PRO-Xを紹介しました。待ちわびていた人も多いと思いますが、これだけ便利でコンパクトなスマホ用のミキサー/オーディオインターフェイスは、ほかにないので大人気製品となりそうです。発売は7月末と少し先ですが、すでに各楽器店などでの予約もスタートしているので、品薄にならないうちに早めに注文してしまうのが吉かもしれません。
【関連情報】
GO:MIXER PRO-X製品情報
【価格チェック】
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