2019年3月、2020年3月と開催されたリットーミュージックのDTM書籍のPDF版が、大幅値引きの1,100円(税込)で行われるセールが今年もまた開催されることになりました。今年は若干ラインナップが変わるとともに、これまでの書籍の常識を覆すような企画が実行に移され、私自身驚くといういうか、戸惑っているのが正直なところ。そう、3月18日に発売されたばかりの私の新刊「Cubase11 Series徹底操作ガイド」が1週間限定ではありますが、半額で販売されることになったのです。そんなことしていいのか、紙の書籍の販売の妨げにならないのか、出版社としてビジネスが成り立つのか、そもそも私の印税ってどうなるの…?などなど……。
さらに、この「Cubase11 Series徹底操作ガイド」を含む全13冊をまとめた「DTM・シンセサイザー実践編」セットが66%オフの激安で9,980円、私が書いた「これからはじめるDTMerのためのやさしい基礎知識」など入門書全6冊をセットにした「DTM・シンセサイザー入門編」セットが58%オフの4,980円と、かなり出版業界の常識外れでの価格設定がされています。というのも、このPDF版の発売元が価格破壊王のソースネクストであることに起因しているのは間違いないのですが、実際どんな内容になっているのかを紹介していきましょう。
毎年恒例のリットーミュージックのDTM書籍のPDF版が1,100円というセールが今年も開催
ご存知の通り、書籍や雑誌には再販制度というものがあるため、書店での値引きは行われておらず、定価販売が基本となっています。ただし、電子書籍においてはそうした決まりがないので、Kindle版などは多少安い価格設定がされていることもありますが、やはり出版社側も自分たちの利益を守るため、あまり値引きをしないのが常識となっています。
そうした中、リットーミュージックのDTM関連書籍については、かなり冒険的な試みが年に1回行われています。そう、リットーミュージックがソースネクストと組む形で(DTMステーションも広報する形での後方支援)、どれでも1冊1,000円セール(昨年、一昨年は税抜きで1,000円と表記してましたが、今年は税込みで1,100円セールと呼んでます)を展開しており、今年も3月24日~3月31日の1週間限定で行われることになりました。
DTM関連書籍のキャンペーンは3月24日~3月31日という1週間の開催
しかも、このソースネクストで販売する電子書籍はプロテクトのかかっていないPDF版であるということ。普通Kindleにせよ、楽天KOBOにせよ、ガッチリしたセキュリティーがかけられていてむやみにコピーすることは不可。だからこそ、出版社も安心して電子書籍を出せていたわけですが、プロテクトのかかっていないPDF版は出版社側にとっては大きなリスクとなるはず。
PDFだからWindows/Macでも、iPhone、iPad、Android、さらにはKindleで利用できるのはもちろんプリントアウトも可能
ただ読者の立場からすると、プロテクトのかかっていないPDF版なら、WindowsでもMacでも、iPhone/iPad、Android……とさまざまな端末で自由に読むことができ、必要あればプリントアウトすることもできるなど、すごく扱いやすくなります。もちろん、不法コピーするのは論外ではあるけれど、PDFならやっぱり便利。そのほかでは入手できないPDF版が得られるというだけでも、このセールは大きな意義があるのではないか……と思います。
そして3回目となる今年は、これまでとは異なる、かなり無謀な試みが行われます。それは新刊を激安セールにしてしまうということ。これまでは基本的に出版から最低1年以上経過した書籍を、このPDF版としてセール展開していたわけですが、今回は、まだ書店で発売されて1週間という新刊も、セールで出してしまうのです。
先週発売されたばかりの新刊、「Cubase 11 Series徹底操作ガイド」もセールの対象に
そのターゲットになったのが冒頭でも紹介した私の「Cubase11 Series徹底操作ガイド」。以前のCubase 10解説本よりもページ数を増やし、全496ページという分厚さの本であり、紙の書籍としては3,960円のもの。まさにこの発売時のタイミングで販売促進をかける……というタイミングのものを半額の1,980円で売ってしまうのですから、狂気の沙汰ではないか……と。さすがにこの本だけは、1,100円ではなく1,980円となってますが、これでは紙の本の売れ行きにも大きな影響が出るのでは……と正直な話、とても心配です。
書籍を書いたライターの収入というのは、印税で決まってきます。通常は[定価]×[販売部数]×[印税率]で計算されるんですよね。守秘義務があるので、ここでは詳細は伏せておきますが、販売数が落ちれば当然収入は減ります。電子版については、紙の書籍とは少し計算方法が異なり、[出版社への入金額](つまりソースネクストからリットーミュージックに入る金額)×[電子出版用印税率]で決まるので、今回のように半額になれば、当然、収入も半分に減るので、大丈夫なんだろうか……と。もちろん、本来の倍以上売れたら、元は取れるはずですが、やってみないことにはどうなるかわかりません。長期的に見て、紙の本が売れなくなるとしたら、それは大打撃なわけですし……。その点も含め、大きな実験ともいえるわけですね。
そして、その新刊はこのCubase 11本を含め、以下の3つがあります。
PDF書籍・単品販売 | 印刷版書籍 通常価格(税込) |
期間限定 特別価格(税込) |
割引率 |
Cubase 11 Series 徹底操作ガイド | ¥3,960 | ¥1,980 | 50% |
楽譜作成ソフトFinaleでプロ顔負けの譜面を作ろう! | ¥3,850 | ¥1,100 | 71% |
DJをはじめるための本 2nd Edition | ¥2,200 | ¥1,100 | 50% |
「楽譜作成ソフトFinaleでプロ顔負けの譜面を作ろう!」は、DTMステーションでも何度か登場いただいたことのある侘美秀俊さんと、平林亜美さん共著の書籍で、Finaleを懇切丁寧に解説した書籍。
Finaleについて詳しく解説している新刊「楽譜作成ソフトFinaleでプロ顔負けの譜面を作ろう!」
2020年7月22日発売の本なので、Cubase 11本よりは時間が経っているとはいえ、まだ出版して8か月ですから、リットーミュージックとしても売れ筋の主力製品のひとつ。それを、半額ではなく、71%オフの1,100円で販売してしまうのですから、「侘美さん、大丈夫かぁ…」と心配になってしまいます。とはいえ、個人的には、Finaleの使い方、不慣れなことも多く、この値段で解説書が入手できるのなら最高と、すぐに買っちゃいました!
Serato DJ Proをソフトウェアに利用したDJの入門書「DJをはじめるための本 2nd Edition」も1,100円
さらに「DJをはじめるための本 2nd Edition」も2020年8月26日発売なので、出版されてまだ7か月の本が半額の1,100円で販売されることになりました。こちらは1999年に設立されたクリエイティブプロダクションであるEDIT INC.が書き下ろした書籍で、まさにDJの入門書。機材としてはPioneer DJ DDJ-SB3をコントローラとして用い、Serato DJ ProをDJソフトとして活用する形で解説しているんですね。
まさに今の本としてユニークなのはYouTubeと連動しながら解説する形の書籍となっており、たとえばカットインについては、以下のYouTube映像とともに、解説されています。
このYouTube映像だけでも、結構いろいろ見えてくる気はしますが、そこをよりしっかり書籍がフォローしてくれ、細かいノウハウなども記載されているから、すごく分かりやすいんです。DJは今イチよく分からない……というDTMユーザーも少なくないと思いますが、これを機会にある程度理解してしまうというのもよさそうですよ。
このように3冊の新刊があるのが今回の目玉ではあるのですが、さらにセット製品が用意されているのも、見逃せないポイントです。前述のとおり「DTM・シンセサイザー実践編」セットと「DTM・シンセサイザー入門編」セットの2ラインナップがあり、その内容は以下の通り。
PDF書籍・セット販売(単品販売も実施) | 印刷版書籍 通常価格(税込) |
期間限定 特別価格(税込) |
|
「DTM・シンセサイザー 入門編」セット | ¥11,880 | ¥4,980 | 58% |
これからはじめるDTMerのためのやさしい基礎知識 | ¥1,980 | ¥1,100 | 44% |
きちんと知りたいDTMerのための打ち込み基礎知識 | ¥1,980 | ¥1,100 | 44% |
DTMミキシングの基礎技術を解説付きで実演しちゃいました | ¥1,980 | ¥1,100 | 44% |
シンセサイザー入門Rev.2 | ¥1,980 | ¥1,100 | 44% |
DTMerのためのアレンジのお作法 | ¥1,980 | ¥1,100 | 44% |
音圧アップのためのDTMミキシング入門講座! | ¥1,980 | ¥1,100 | 44% |
「DTM・シンセサイザー 実践編」セット | ¥29,700 | ¥9,980 | 66% |
Cubase 11 Series 徹底操作ガイド | ¥3,960 | ¥1,980 | 50% |
プログラマーが教えるDTMテクニック99 | ¥2,090 | ¥1,100 | 47% |
トラック・メイカーが教えるクラブ・サウンド・テクニック99 | ¥2,090 | ¥1,100 | 47% |
エンジニア直伝!クリエイターのためのミックス&マスタリング最新テクニック | ¥2,420 | ¥1,100 | 54% |
スグに使えるEQレシピ | ¥2,090 | ¥1,100 | 47% |
スグに使えるコンプ・レシピ | ¥2,090 | ¥1,100 | 47% |
スグに使えるディレイ&リバーブ・レシピ | ¥2,090 | ¥1,100 | 47% |
コンポーザーが教える作曲テクニック99 | ¥2,090 | ¥1,100 | 47% |
クリエイターが教えるシンセサイザー・テクニック99 | ¥2,090 | ¥1,100 | 47% |
アレンジャーが教える編曲テクニック99 | ¥2,090 | ¥1,100 | 47% |
DAWで学ぶリズム打ち込み入門 | ¥2,200 | ¥1,100 | 50% |
DAWトラック・メイキング | ¥2,200 | ¥1,100 | 50% |
MIDI打ち込みでバンド・アンサンブルを作る本 | ¥2,200 | ¥1,100 | 50% |
やはり、大きいのは前述の「Cubase 11 Series徹底操作ガイド」が入った「DTM・シンセサイザー実践編」セットだと思います。もっともCubase11本以外の書籍は、昨年、一昨年のセールにも入っていたので、すでに持っているという人は、セットで買うと無駄になってしまうかもしれません。
ただ、上の表をご覧になってもわかる通り、セットだけでなく、1冊ずつ単体で購入することも可能で、その場合は一律で1,100円。どちらがいいかは手持ちの本と相談して決めてみてください。
ただ、いずれにせよ期間は1週間。忘れないうちに早めに入手しておくのがお勧めです!
【関連情報】
DTM関連書籍キャンペーン(ソースネクスト)
【価格チェック&購入】
◎ソースネクスト ⇒ Cubase 11 Series 徹底操作ガイド
◎ソースネクスト ⇒ 楽譜作成ソフトFinaleでプロ顔負けの譜面を作ろう!
◎ソースネクスト ⇒ DJをはじめるための本 2nd Edition
◎ソースネクスト ⇒ 「DTM・シンセサイザー 入門編」セット
◎ソースネクスト ⇒ 「DTM・シンセサイザー 実践編」セット