先月、IK Multimediaから、チャンネルストリッププラグインMixBoxがリリースされ、プロのミュージシャンやエンジニアも含め、大きな話題になりました。これは、IK MultimediaのT-RackS、AmpliTube、SampleTankで実績のある70種類のプロセッサーを8スロットのバーチャルラックに並べて、使うことのできる、まさに全部入りプラグイン。SSL 4000 SeriesのチャンネルストリップやNEVE、LA2Aや1176……など、業界御用達のアナログ機材のモデリングプロセッサーがズラリと揃うとともに、ディストーションやテープサチュレーションといったアンプ由来のプロセッサーなど、さまざまなエフェクトが用意されています。
ミックスで使われるプロセッサーは、MixBoxの中にほとんど収録されているので、これ1つでミックスを完結することが可能であり、初心者DTMerからプロまで誰もが持っておくべきプラグイン集といえるもの。そのMixBox、通常価格は35,990円(税込)ですが、現在、発売記念価格で23,990円と安くなっており、さらにクロスグレード版であれば17,990円で入手可能だから、高級プロセッサ1つあたり300円程度で入手できるという激安。しかしDTMステーション読者であれば、さらに10月31日までの期間限定で11,990円という特別価格で入手できる手段もあるのです。実際使ってみたところ、かなり便利だし、音もよかったので、一番安い購入方法も含めて紹介してみましょう。
ミックスに必要なプロセッサーを網羅したIK Multimedia MixBox
IK Multimediaは、イタリアに拠点を置くハードウェア・プラグインメーカー。ハードウェアでは、iRigシリーズが有名であり、iPhone/iPad 用のギター用インターフェースiRigは、発売当時かなり話題になりましたね。ほかにもMIDIキーボードのiRig Keysシリーズなどが存在し、小型のモニタースピーカーiLoud Micro MonitorやiLoud MTMなんかもかなり人気が高いです。またギタリストのために作られたオーディオインターフェースAXE I/Oといった、ユニークな発想でありながらも、実用的な製品が多数存在します。
以前、DTMステーションで紹介したこともあるAXE I/OもIK Multimedaの製品
そんなIK Multimediaは、もともとはコンピューター向けのプラグインソフトウェア専門の会社であり、創業は1996年です。1999年にはアナログモデリングの統合型プラグインT-RackSをリリース、2001年にはハイクオリティーなシンセ音源SampleTank、2002年にはアンプモデリングプラグインのAmpliTubeをリリースしています。ほかにもベースのモデリング音源MODO BASS、ドラムのモデリング音源MODO DRUM、オーケストラ音源のMiroslav Philharmonik……と、プロでも使うプラグインを開発しているDTM系総合メーカーでもあります。
Multimediaは、プロでも使うプラグインを開発しているDTM系総合メーカー
そして今回リリースされたMixBoxですが、これまでIK Multimediaが培ってきた技術がふんだんに盛り込まれており、T-RackS、AmpliTube、SampleTankで実績のある70種類のプロセッサーが搭載されています。API 6-slot lunchbox、PSP InfiniStrip、Slate VMR、McDSP 6060などと同系のチャンネルストリップ型モジュールラックプラグインであり、1ラックに最大8つのプロセッサーを配置することが可能です。
では、実際にMixBoxがどんなものなのか、見ていこうと思います。MixBoxをインサートして立ち上げると、空のラックが立ち上がります。デフォルトでは4つのラックが表示されていますが、左上のボタンを押すと最大の8つ表示にすることが可能です。
使い方は非常にシンプルで、配置したい場所のプルダウンメニューから、使いたいプロセッサーを選択するだけ。Dynamics、EQ、Filter、Modulation、Channel Strip、Saturation、Reverbs、Delay、Distortion、Ampといったプロセッサーが用意されているので、これ1つでミックスしていくことが可能なわけです。
実際にどんなプロセッサーがあるか紹介してみましょう。EQには、SSL、API 560、Plutec EQP-1Aをモデルにしているプロセッサー、コンプには、LA-2A、1176、Fairchild 670、SSL Bus Compをモデルにしているプロセッサーが搭載されています。
レコーディングスタジオに置かれている機材をモデリングしたプロセッサー
これらのプロセッサーは、レコーディングスタジオにあるような機材のモデリングであり、ミックスで使われる主要なアナログモデリングはすべて揃っています。ほかにも、アンプ系には、Fender Twin Reverb SilverfaceやMarshall JCM900TM、Roland JC-120TM、Mesa/Boogie Dual Rectifier、Ampeg SVT-CLASSICといった、AmpliTube由来のプロセッサーも存在します。
またディレイ、テープエコー、ディエッサーといったものから歪み系、フィルター系、モジュレーション系、リバーブ系……といった、ミックスで必要になるプロセッサーや音作りに活かせそうなものまで用意されています。たとえば、Boss CE-1のコーラスやElectro-Harmonix Electric Mistressのフランジャー、Fender Opto-Tremoloのトレモロ、Leslie 147のロータリースピーカー、MoogやRoland Jupiter-8のフィルター……と、本当に数多くの機材をモデルにしたプロセッサーがあります。
ミックスで使ったり、音作りに活かせるプロセッサーが多数搭載されている
オレンジパネルが特徴のT-RackSも、しっかり移植されています。
また600種類以上のプリセットが用意されているので、まずどのプロセッサーを使えば分からない場合は、プリセットから選ぶ形でスタートしていくといいと思います。プリセットは、Bass、Delays、Drums、Guitar、Keys、Percussion、Spaces、Synth、Vocalsというカテゴリに分かれており、その中にシチュエーションに合ったプリセットがあります。
試しに読み込んでみると、ずらっとプロセッサーが並び、ここから好きなように調整していくことができます。MixBoxのいいところは、操作できるパラメータが厳選されているところにあると思います。1つ1つのプロセッサーのツマミの数は、そんなに多くないので、変に迷うことなく音作りに集中できます。またプリセットを読み込むと、その楽器の処理に必要なプロセッサーが並ぶので、どういうものを使えばいいか学ぶこともできますね。
プリセットを選ぶと、それに対応したプロセッサーが読み込まれる
プリセットを選んで、その後自分で調整した内容は、ユーザープリセットに保存も可能です。一連のプロセスを丸ごと保存できるのは、嬉しいところです。毎回使うような定番のプリセットを作っておけば、どんどん効率よく作業を進められるようになるので、より集中したいところに時間をかけることができますよ。
MixBoxの右下ボタンを押すと、裏側を表示させることができ、ここでそれぞれのボリュームを調整したり、ソロにしたり、サイドチェインの入力をオンにすることが可能です。まるで、実機の裏側ような見た目で実装されています。
裏側のパネル表示にして、ソロやサイドチェーン入力をオンにするなどの設定ができる
またスタンドアローンにも対応しており、ライブミックス時などの各チャンネル用ラックとして使用可能。8スロットのラックを8個同時に使用することができます。これまで紹介したようなプロセッサーの配置や各チャンネルのゲイン調整、インプット/アウトプットのルーティング設定など、リアルタイムなミキシングも行うことができます。
以上、MixBoxを紹介しました。70種類のプロセッサーがこれだけ揃っているので、プロユーザーにとっても、またDTM初心者であっても、とりあえず持っておいて損はないはずです。
そのMixBox入って、現在だとbeatcloudから買うのが一番安く23,990円(税込)なので、買っておいて損はないと思います。そして、冒頭で紹介したDTMステーション読者限定・期間限定で11,990円で購入できる方法を最後に紹介しておきましょう。方法は至って簡単。以下のbeatcloudの「Mix Box Beatcloud x DTM Station Special」から購入すれば、それだけで特別価格が適用されます。期間は10月31日正午まで。この価格で入手できることは、おそらくもうないのではないかと思うので、気になる方はぜひ、この機会に!
beatcloudでの在庫切れについて
10月22日現在、beatcloudにおける「Mix Box Beatcloud x DTM Station Special」が在庫切れで購入できなくなっております。本来物理的な在庫が必要ないソフトウェアではありますが、ライセンス管理の観点で仕入れ・販売・在庫という考え方があるようです。おそらく数日内には販売が再開されると思うので、その時点で改めてお知らせいたします。
※10月23日 22:00追記
beatcloudの在庫が補充され、購入可能になっています。31日まで、11,990円で購入可能ではありますが、人気集中なため、また品切れになる可能性があるため、購入希望の方は早めの購入をお勧めいたします。
※2020.11.04追記
2020.10.27に放送した「DTMステーションPlus!」から、第162回「世界初公開!Rob Papen新製品発表会」のプレトーク部分です。「ミックスに必要なエフェクトがすべて揃う!オールカテゴリーを網羅したIK Multimedia MixBoxを1/3の価格で買う方法」から再生されます。ぜひご覧ください!
【関連情報】
MixBox製品情報(フックアップ)
MixBox製品情報(IK Multimedia)
【価格チェック&購入】
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◎beatcloud ⇒ MixBoxクロスグレード
◎beatcloud ⇒ Mix Box Beatcloud x DTM Station Special