ミキサー用、ライブ用、CV/GATEコントロールにも使えるMOTUのフラグシップ機“16A”が100台限定で43%オフの12万円

昨年の発売以来、人気で入手困難と言われているMOTUのオーディオインターフェイス、M2M4。このコロナ禍において、さらに人気が増しているようで、いま予約しても3か月以上の待ちなのだとか……。そうした中、MOTUのフラグシップ機で、32in/32outの入出力を持つMOTU 16Aが、100台限定で約43%オフ、実勢価格12万円というセールの展開をスタートしました。

この価格は日本限定とのことですが、アナログTRS 16in/16outと2系統のADAT Opticalを搭載し、32in/32outを装備する多チャンネルのオーディオインターフェイスであり、AVB接続にも対応しているため、最大128in/128outというとんでもないスペックを実現する機材。内部にはESS SABRE 32DAC実装しているので、当然M2やM4を上回る性能を持っており、DTM用途はもちろんのこと、ライブでのマニピュレーション用途で用いたり、CV/GATEを用いてアナログシンセをコントロールするための中枢機材としても利用できるなど、幅広い目的で使うことができるスーパーオーディオインターフェイスともいえるもの。実際どんな機材なのか試してみました。

MOTUのフラグシップ・オーディオインターフェイス、16Aが100台限定で大特価販売を開始

ハイグレードなオーディオインターフェイスをさまざまなラインナップで揃えていることで知られるMOTU。ハイレゾにこだわるプロのレコーディングエンジニアには、MOTUのオーディオインターフェイスを使う人が多いように思う反面、高価で手が出せない……なんて敬遠しているDTMユーザーも少なくないと思います。

確かに同じチャンネル数で、他メーカー製品と比較すると、多少値段が上だったりはしますが、実際の売価を見るとそこまで大きな差はなく、昨年、M2およびM4というエントリー製品がリリースされたことで、より身近なオーディオインターフェイスメーカーになったようにも感じている人も多いのではないでしょか?

そのMOTUのオーディオインターフェイスのラインナップの中で、最上位グレードにあたる製品の1つが、今回取り上げるMOTU 16Aです。これはESS SABRE 32 DACを採用し、高音質を特徴に掲げた1Uのラックマウント型の製品で、アナログのTRSで16in/16out、デジタルのadatが2系統で16in/16outの計32in/32outを装備しています。

MOTU 16AのDACにはESS Sabre32を採用したことで、高音質を実現している

PCとの接続はThunderbolt 2およびUSB 2.0で、Windows、macOS、さらにはiOSとの接続も可能なフレキシブルなオーディオインターフェイスです。さらに、リアパネルを見ると、LANの端子があるのですが、これを利用することで、AVB接続に対応するのも16Aの大きな特徴です。AVBについては以前、同じMOTUのUltraLite AVBについての記事「超高機能で自由自在、オーディオIF兼デジタルミキサー兼ステージI/O、MOTU UltraLite AVB」の中で詳しく紹介しているので、そちらに譲りますが、これを利用することで最大で128in/128outを実現できるようになっています。

MOTU 16Aのフロントパネル

では、この16A、何にどのように使っていくオーディオインターフェイスなのでしょうか?用途別に見ていきましょう。

まずシンプルにDTM用として考えることができます。アナログだけで16in/16outの入出力を持っているので、超パワフルなオーディオインターフェイス。これだけ多くのアナログでの入出力を持ったオーディオインターフェイスはあまりないので、その意味でも貴重な存在。しかも、そのアナログ入出力の音質は抜群で、私がAV Watchの連載でいつも行っているRMAA Proというテストツールを使った結果も以下のとおりで、まさに最高の実力を持っていることが見て取れます。

48kHzでのRMAA Proでの測定結果(上記グラフ画像をクリックすると結果が表示されます)

96kHzでのRMAA Proでの測定結果(上記グラフ画像をクリックすると結果が表示されます)

また、16AにはMOTUのDAWであるPerformer Liteが付属しているので、これを利用して音楽制作していくことも可能。もちろんWindowsならASIO、macOSならCoreAudioに対応しているので、Digital Performer、Cubase、Studio One、Pro Tools、FL Studio、Logic……とあらゆるDAWで活用可能。ただし、マイクプリアンプは装備していないので、マイクとの接続が必要な場合はADAT接続のマイクプリアンプなどが必要となります。またヘッドホン端子もないので、ここから直接ヘッドホンでモニターしたいという場合は、別途ヘッドホンアンプなどが必要です。

MOTU 16AにはDAWであるPerformer Liteを同梱

続いて、16Aを16chの入力を持つミキサーとして見ることができるのも面白いところです。そう、この16Aは単なるオーディオインターフェイスではなく、さまざまなモードに切り替えて使うことが可能になっています。正確にいうとモードというよりも、各種設定を行った行った状態に一発で変更できるQuick Setupなのですが、そのセットアップ例の一つが「Stand-alone Mixer」というもの。

Quick Setupにおいて、各種モードを選択できる

つまりPCと接続することなく、16A単体で動作させて、これをミキサーとして使えるモードなのです。モノラルで見れば16系統、ステレオで見ても8系統の入力があるので、数多くのシンセやエフェクトなどを持っている人でも、これだけあれば事足りるという人がほとんどなのではないでしょうか?そして、それらの音源やエフェクトをいちいち接続しなおすのではなく、常時つなぎっぱなしにして、必要に応じてミキサーのフェーダーを上げて音を出すようにすればいいわけです。16Aは、すべて高品位なADCが装備されたTRSのライン入力となっているので、手持ちの音源の良さを最大限生かせるはずです。

ユーティリティソフトであるMOTU Discovery

でも、「16Aがミキサーといったって、フェーダーもPANも何もないではないか!」という人もいるでしょう。そう、16A本体は1Uのラックであって、操作子などはほとんどありません。でも、PC上でMOTU Discoveryというソフトを起動し、そこからPro Audio ControlなるものをクリックするとChromeやSafariなどのブラウザ上でミキサーを表示させて、ここでコントロールしていくことができます。

ブラウザ上で動作するMOTU 16Aのミキシング画面

単にフェーダーで各チャンネルの音量を設定したり、PANで左右バランスを調整するだけでなく、ハイパスフィルター、ゲート、EQ、グラフィックEQ、コンプ、グラフィックコンプ……とさまざまなエフェクトもチャンネルごとに設定できるようになっています。

パラメトリックEQやコンプレッサなどの設定もできる

とはいえ、せっかくスタンドアロンで動かしているのに、PCで操作するのもいかがなものか…という思いで見ていた人もいるでしょう。実は、ここも16Aの大きな特徴ですが、同じLAN内にいれば、iPadやiPhoneからでもこのミキサー画面を立ち上げて操作することができるのです。また通常のミキサー画面のほかに、Touch Consoleという画面もあり、これを使うと、iPadなどでより操作しやすくなります。

iPadで表示させたTouch Console画面

これならPCの電源が入っていなくても、すぐに使えて便利ですね。もちろん、ここでコンプやEQなどの設定もできるので、まさにミキサーとして使うことができるのです。なお、先ほどのモード選択の画面に「Interface + Mixer」というモードがあったのにお気づきの方もいると思います。これを選べば、ミキサーとして使いつつ、その信号をオーディオインターフェイスとしてPCに取り込んだり、DAWの音をミキサー側へ送ることができるなど、より複雑な操作も可能となります。もちろん必要に応じて自由にルーティングすることも可能です。

自由自在にルーティングできるのもMOTU 16Aの特長

さらに、16Aが本領を発揮するのはライブでの運用。ご存知の方も多いと思いますが、ライブにおけるマニピュレーター御用達のDAWがDigital Performer。そして、それと相性のいいオーディオインターフェイスが、当然のことながらMOTU製品であり、16Aはその代表格。先ほどのモード選択においても「Live Recording with Monitor Mixing」や「Stage IO」というものがありますが、これらを利用することで、ライブでの演奏を各チャンネルごとにパラでレコーディングしたり、あらかじめ仕込んでおいた楽曲のデータを各チャンネル独立させて、ミキサーコンソールに送り出したり……といったことが可能になるのです。

MOTU 16Aのリアパネル

ライブでの運用をしている人にとって、ラインでマルチチャンネルを一気に送り出すことができるオーディオインターフェイスは必須。16chもあるものは、あまりないので、それをこの価格で入手できるというのは、めったにないチャンスだと思います。

さらに、もうひとつ紹介しておきたいのが、アナログシンセとの組み合わせです。これは普通のオーディオインターフェイスの使い方とはまったくの別ものであり、DCカップリングという機能を用いて、16chあるアナログ出力端子から直流の電圧を出したり、反対に16chあるアナログ入力端子から直流の電圧を入力して使うというもの。

MOTU 16AはDCカップリングに対応しているため、CV/GATEコントロールが可能

この仕組みを利用して、CV信号およびGATE信号を出力し、アナログシンセをコントロールすることができるのです。CVとGATEをセットで考えると、16chの出力を割り振れば最大8系統を一気にコントロールできるというのはかなり魅力的な機材だと思います。

MOTU 16Aのアナログ出力をCV/GATE出力として活用可能

ややマニアックな使い方ではありますが、これに対応したソフトもいろいろあります。以前はMOTUもMac用にVoltaというソフトを出していたのですが、残念ながら現在は国内では流通していません。一方で、Bitwig Studioが対応していたり、Ableton LiveもCV toolsというオプションを追加することで利用可能です。またSoftubeのSoftube ModularやCherry AudioのVoltage Modularなどのモジュラーシンセエミュレーターも、DCカップリングに対応する機能を持っているので16Aと組み合わせて使うことができるほか、Native InstrumentsのReaktorやCycling ’74のMAXなども、DCカップリングを利用してCV/GATEコントロールを行う機能を持っているので、これらと組み合わせて使うのも面白そうです。

たとえばCherry AudioのVoltage ModularでMOTU 16Aのアナログ出力を利用したCV/GATEコントロールができる

以上、キャンペーン価格で100台限定発売しているMOTUの16Aについて紹介してみました。国内発売元のハイリゾリューションによると、「当キャンペーン用の在庫が完売次第終了。完売次第通常価格に切り替えにて継続販売となります」とのこと興味のある方は早めに入手することをお勧めいたします。

※2020.10.20追記
2020.10.13に放送した「DTMステーションPlus!」から、第161回「Roland Cloudで手に入れよう!ZenbeatsとZENOLOGY Pro」のプレトーク部分です。「ミキサー用、ライブ用、CV/GATEコントロールにも使えるMOTUのフラグシップ機“16A”が100台限定で43%オフの12万円」から再生されます。ぜひご覧ください!

【関連情報】
MOTU 16A製品情報
MOTU 16Aディスカウント情報

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