手のひらに乗る小さく高性能なUSB Type-Cオーディオインターフェイス、UGM192とGIGAPORT eXが揃ってデビュー

ドイツのオーディオインターフェイスメーカー、ESIが開発したとっても小さなオーディオインターフェイスが2機種発表され、7月15日から国内で発売開始されます。マイクとギターのレコーディングに最適なUGM192と8つのアナログ出力を装備するGIGAPORT eX。いずれもUSB 3.1 Type-C接続で24bit/192kHzに対応した高性能なオーディオインターフェイス。

胸ポケットにも入る小さく、丸みをおびたボディーで、赤と黒のスタイリッシュなデザイン。このUGM192とGIGAPORT eXの2機種を発売前に入手し、実際どんなものなのか試してみたので紹介してみましょう。

とってもコンパクトでスタイリッシュなESIのオーディオインターフェイスが2機種誕生

ESIのオーディオインターフェイスは5月に「ループバック、ルーティング自由自在。高品位なマイクプリが自慢のESIオーディオインターフェイス、U22 XT、U86 XT、U108 PREが再上陸」という記事で取り上げたり、昨年も「独ESIが再上陸!とっても小さなオーディオインターフェイス、4種類が便利!」という記事で取り上げてきましたが、日本国内でも長い実績を持つ老舗オーディオインターフェイスメーカーです。

24bit/192kHz対応で、ギター入力とマイク入力を装備するUGM192

そのESIの新製品UGM192とGIGAPORT eXは、その再上陸した際に取り上げたコンパクトなオーディオインターフェイスの新モデルともいうべきもの。前のモデルもなくなったわけではなく、継続販売されていますが、USBポートがMini USBで、ちょっと古い設計だな……という印象ではありました。

8ポートの出力と2つのヘッドホン出力を装備するGIGAPORT eX

それに対し、今回の2機種はともにUSB 3.1対応で、端子はUSB Type-Cと最新のもの。USB Type-C端子しか持たないMacBookや最新のWindowsノートPCなどでも、そのまま使うことが可能です。また、ドライバの設定画面の大きさを自由に変更することができ、4Kディスプレイであっても、最適な大きさにできるというのも、まさに現代にマッチした設計になっていることを感じられる機材です。

UGM192もGIGAPORT eXも接続はUSB Type-Cの端子

では、もう少し具体的に見ていきましょう。まずUGM192は約87mm x 67mm x 17mmで100gという本当に小さなオーディオインターフェイスですが、フロントには2つの6.3mmのフォーンジャックを備えています。左側はギターに接続可能なHi-Zインストゥルメント対応のTSアンバランスの入力。右側はTRSバランスとなっていますが、通常はマイクを接続するためのもので、+48Vのファンタム電源供給も可能だから、コンデンサマイクを接続して使うことも可能です。その先にはマイクプリアンプが搭載されており、ここでしっかりとマイク入力を受け止められるようになっています。+10dBと+20dBのゲイン切り替えスイッチもあるので、入力されるマイクのレベルに合わせて調整することも可能です。

コンパクトながら標準フォンジャックを装備している

リアにも6.3mmの標準ジャックでのヘッドホン出力が搭載されているのも、いいな、と感じられるところ。この手の小さなオーディオインターフェイスだと普通なら3.5mmのミニ端子となるのが一般ですが、6.3mmなので業務用としても安心して使えそうです。実際に音を鳴らしてみたところ、クセのないとてもクリアなサウンドです。

リアにあるヘッドホンジャックも標準フォンになっている

フロントには3つの小さなスイッチが並んでおり、左側を押すと、ダイレクトモニタリングオフ、モノラルでのダイレクトモニタリング、ステレオでのダイレクトモニタリングと切り替ります。中央のボタンを押すと入力ゲインを+20dB、+30dB、0dBで切り替えることか可能。そして右側はファンタム電源スイッチのON/OFFとなっています。

とてもシンプルではあるけれど、まさに使いたい機能がすべて整った強力なオーディオインターフェイスという印象。前述の通り、USB Type-C接続でそこからのバス電源供給で動かすのですが、マイクゲインを上げ、ファンタム電源をオンにするなどして電源が足りないような場合、USB Type-C端子の隣にあるmicroUSB端子に電源を送ることで、十分な電力を確保することが可能になります。

USBクラスコンプライアントなのでiPhoneとの接続も問題なくできた

また試してみたところ、microUSBからの電源供給をしておけば、USBーLightningアダプタ経由でiPhoneとつないで使うこともできるし、OTGケーブルを介してAndroidスマホと接続して使うこともできました。

一方で前述の通り、ドライバの設定画面の大きさが自由に変えられて見やすいのですが、ここではサンプリングレートの変更やバッファサイズの変更ができるだけでなく、Windowsの場合、DirectWIREという機能が搭載されているのが大きな特徴。

4Kディスプレイの画面でも最適な大きさにすることができるドライバ設定画面

DirectWIREについては以前、U22 XTの記事でも紹介していましたが、これは入力信号とWDM/MME、ASIOのそれぞれを自由自在にルーティングできる非常に便利な機能。これを利用することで、いわゆるループバックを行って、ゲームなどのアプリケーションの音とマイクからの声の入力をミックスして配信するといったことが簡単にできます。また普通はできない、DAWのASIOの音をループバックして配信するといったこともできるので、応用範囲は大きく広がりそうです。

入出力を自由にパッチングでき、4つのバーチャルポートも装備するUGM192のDirectWIRE

そしてももう一つのGIGAPORT eXは、まさに以前取り上げたGIGAPORT HD+のUSB Type-C版といえるもの。これは入力は持たず、8つのRCAジャックでの出力を持っているので、たとえばライブ会場に持ち込んでDAWからパラ出しを行う、なんてときに便利に使えそうです。

GIGAPORT eXのリアには8つのRCA出力端子が並ぶ

入力をまったく持たないという潔さは、業務用途を主眼とした設計の結果だと思いますが、まさに他にない、オーディオインターフェイスですよね。

音が出ているポートのLEDが点灯する

フロントには8つのLEDが並んでおり、音が出ているポートが点灯するようになっています。また、その右には、ヘッドホン端子が2つありますが、先ほどのUGM192と同様、いずれも6.3mmの標準ジャックであるのも好感度が高いところ。左のヘッドホン端子は1/2chの音をモニターすることができ、右側は1/2chを含め全チャンネルのミックスをモニターできるようになっています。

GIGAPORT eXのドライバ設定画面。各ポートの出力状況がレベルメーターで表示される

ただし、その割り当てもドライバの設定である程度自由に決められるようになっています。このGIGAPORT eXにもDirectWIREという機能があるのですが、こちらはUGM192のように、さまざまなポート自由にルーティングするというのではなく、DAWからの出力をどのポートに割り当てるかを設定するためのもの。必要に応じてこれを変更することも可能というわけなのです。

PCから見た出力ポートと、実際の出力ポートの割り当てを行うDirectWIRE画面

UGM192もGIGAPORT eXもとっても小さいオーディオインターフェイスなので、これをメインにするというよりも、サブ機として常にカバンに入れて持ち歩く……なんて使い方にピッタリだと思います。またヘッドホン出力の音を聴いてみると、どちらも非常にクリアであると同時に、音量を上げていくとかなり爆音をドライブすることが可能であるということ。ある意味、ヘッドホンアンプとして使っても悪くない印象でした。

UGM192とGIGAPORT eXに標準でバンドルされているinTone 2 ESI Edition

なお、このUGM192とGIGAPORT eXには便利なソフトがいろいろ付属してくるのも見逃せない点です。まずはAudifiedというメーカーのソフト3種類、

inTone 2 ESI Edition
GK Amplification 2 LE
ampLion Free

が付属していること。

inTone 2には数々のギター用、ベース用のエフェクターが搭載されている

このうちinTone 2は副題としてMultichannel FX processorとありますが、DAWからミキサーコンソール部だけを抜きだしてきた、といった感じの便利なソフトなのですが、上記の画面を見てもわかるように、特にギタリスト、ベーシストにとって、強力な武器として使えるツールになっています。

inTone 2に搭載されている各エフェクターの一覧。VST2の形式なので、各種DAWでも利用可能

ここにはディレイ、ディストーション、オーバードライブ、コーラス、ノイズゲート、オクターバー、リバーブ……と膨大なエフェクターが標準で搭載されており、UGM192に接続したギターやベースに対してリアルタイムにかけて使うことができるのです。一気にこれだけのエフェクターが入手できるのですから、それだけのためにUGM192を買っても損はないともいえそうです。

このinTone 2の各チャンネルの入力にオーディオインターフェイスの任意の入力を割り当てられるので、こうしたことができるのですが、それに加えてWAVやMP3、FLACなどのオーディオファイルを読み込んで再生することも可能となっています。しかもこのプレイヤー、速度を変更したりキーを変更することも可能なので、まさに練習用には最適。DAWは難しくて分からないという人でも簡単に使えると思います。

プレイヤーは再生速度やピッチを変更することも可能。VSTインストゥルメントも利用可能

さらに、各チャンネルにはVSTインストゥルメントを起動し、それらを弾くとできるので、これを楽器として使うこともできるわけで、そこに先ほどのエフェクターをかけていくこともできるし、VSTプラグイン対応なので、フリーウェアなどを含めたほかのエフェクトを設定することも可能。ありそうでなかった、非常に便利なミキサーソフトという印象でした。ただし、これはESIのドライバ設定画面のように画面サイズを大きくできないため、4Kディスプレイで使うと非常に小さな画面サイズになってしまうというのが難点でした。

ベースアンプシミュレーターのGK Amplification

一方、GK AmplificationとampLionはいずれもアンプシミュレータ。GK Amplificationがベースアンプで、ampLionがギターアンプとなっています。いずれもVSTやAU、AAXのプラグインとして使えるほか、スタンドアロンでも起動できるので、UGM192にギターを繋いで即プレイ、といったことができるのも楽しいところです。また、inTone 2の中に組み込んで使うのもあり。そのほうが、いろいろなエフェクトとも組み合わせることができて便利かもしれません。

こちらはギターアンプシミュレーターのampLion

もう一つはStantonのDJソフト、Deckadance 2 LEが付属していること。これもさまざまな機能を持ったソフトなので、これをインストールしたノートPCとGIGAPORT eXを持って出かけて、いろいろなところでDJを披露する……なんて使い方もできるかもしれません。

このコロナ禍においてオーディオインターフェイスが入手しづらい状況が続いていますが、UGM192とGIGAPORT eXは新登場の製品だけに、現時点においては在庫は潤沢にそろえているとのこと。とはいえ、このサイズ、機能、価格を考えると、大人気になりそうな予感なので、欲しい人は早めに予約しておくことをお勧めします。

※2020.07.15追記

2020.07.14に放送した「DTMステーションPlus!」から、第155回「Synthesizer Vで歌声合成の新時代を先取りしよう!」のプレトーク部分です。「手のひらに乗る小さく高性能なUSB Type-Cオーディオインターフェイス、UGM192とGIGAPORT eXが揃ってデビュー」から再生されます。ぜひご覧ください!

 

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