緊急事態宣言がとりあえず全国的に解除されたとはいえ、新しい生活様式ということで、家で過ごす時間はやはり従来よりは長くなりそうです。その家での時間をいかに快適に過ごすかによって、心にもゆとりがうまれてきそうですが、その快適さを左右する大きなモノの一つがオーディオの音質ではないでしょうか? 別にハイエンドオーディオについてではなく、ちょっとテレビを見るとか、Spotifyで音楽を聴くとか、ゲームを楽しむ際の音がいいと、気持ちも豊になってきます。
その音を決める要素は、スピーカー、アンプ、ケーブル……といろいろありますが、今回ピックアップするのはDACにハイエンドなオーディオインターフェイスを利用するというワザ。たとえばMOTUのUltraLite AVBというオーディオインターフェイスの場合、スタンドアロンで動作するからPCの電源を入れなくても、これをテレビに接続していい音にする……なんて使い方ができるんです。ちょっとトリッキーな使い方ではありますが、予想以上に大きな効果を発揮してくれたので、その使い方について少し紹介してみたいと思います。
テレビのオプティカル出力をMOTUのUltraLite AVBに接続することで、音質が従来と比較にならないほど向上する
みなさんは家での時間をどのように過ごしていますか? もちろんDTM三昧で、ずっとPCに向かって音楽制作をしてる、という人も少なくないとは思いますが、やはりテレビをつけて見ていたり、NETFLIXやhulu、またAmazon prime videoなどで映画を見たり……ということも多いのではないでしょうか? また仕事をしている時間だったり、食事をしているときに、Spotifyで音楽を聴いている……という人も少なくないと思います。
AmazonのFire TV Stickは便利な機材だが、工夫次第でその音質を飛躍的向上させることができる
AmazonのFire TV Stickを持っていれば、大きなテレビ画面で映像を楽しむことができるし、これでSpotifyも流すことができるので、とっても便利ですよね。とくにAmazon primeの会員になっていれば、これ一つでさまざまなプログラムを楽しむことができるから、いまはFire TV Stickなしでの生活なんて考えられない……という人も結構多いのではないでしょうか?
Fire TV Stickがあれば、さまざまなコンテンツを視聴できる
一方、家にいる時間、ゲーム三昧という人も少なくないでしょう。Nitendo Switchなどは、品不足でなかなかモノが入手できないそうですが、大きな画面で楽しむ場合はHDMIでテレビに接続して使うでしょうし、Playstation 4においても同様です。
その際、みなさんはどこから音を出していますか?圧倒的に多いのは液晶テレビのスピーカーから音を出しているケースだと思います。でも残念ながら、今の液晶テレビって、本当に音が貧弱なんですよね。液晶の大画面化は進める一方で、なるべく薄く、ベゼルを細くして目いっぱい画面にする……というのが全テレビメーカー共通の流れになっており、音の部分は完全にオマケの状態。スピーカーはデザイン的に邪魔にならない場所に追いやられ、サイズは小さく、丸くない妙な形だから、音がいいわけありません。
テレビの出力をMOTUのUltraLite AVBに入れることで、世界が大きく変わる
このテレビ内蔵のスピーカーで音を聴くのをやめてDTMのモニタースピーカーから音を出したら、世界はまったく変わるので、ぜひぜひ試してみてください。しかし、せっかくやるなら、簡単な接続で、非常にいい音にするという手法。そこで試してみたのが、MOTUのUltraLite AVBという機材です。
この機材自体は新しいものではなく、5年も前に「超高機能で自由自在、オーディオIF兼デジタルミキサー兼ステージI/O、MOTU UltraLite AVB」という記事で取り上げたこともありました。これは18in/18outのUSBオーディオインターフェイスであると同時に、48chのデジタルミキサーとしても機能し、内蔵DSPによるEQ/コンプレッサを搭載し、LANポートを通じてマルチチャンネルの信号を伝送できる……などなど、オーディオインターフェイスの範疇に留まらない超多機能な機材です。
UltraLite AVBは5年前にリリースされた機材だが、2019年に設計変更になり、ESS SABRE32 DACが搭載された
今回のテーマであるテレビなどの音をいい音質で……という点でいうと、完全にオーバースペックな機材ではあるけれど、MOTU製品だけあって、音質がダントツにいいんです。また型番は同じだけど、5年前と今とではいくつか変更点もあります。まずは、搭載されているDACチップが従来AKMのものだったのが、2019年以降のモデルからはESS SABRE32 DACに変更されています。これにより音の傾向が少し変わり、MOTUのフラグシップである1248と同等のサウンドになると同時に、いま人気すぎて入手困難なMOTU M2/M4ともほぼ同じサウンドになっています。
いま人気で入手困難なM2やM4も同じESS SABRE32 DACが搭載されている
また以前は税抜き92,000円程度だったのが、MOTUの製品ラインナップの変更に伴い値下げされ、現在72,000円程度と安くなっているのです。まあ、それでもM2やM4と比較すると倍以上の値段ではあるけれど、それなりな価格だけに、UltraLite AVBではれば、即入手可能というのも、オーディオインターフェイスがひっ迫して手に入りにくい中、嬉しい存在でもあるのです。
もちろん、普段はテレビを見たり、ゲームをしたり、Spotifyなどで音楽を聴くための機材として利用しつつ、いざDTMで利用するとなれば、信じられないほど高機能、高性能ですからね。たとえば、内部のルーティングが自由にできるから、ループバックさせてネット配信に利用することもできるし、しゃべったり歌ったりするマイク入力に対して内蔵のEQやコンプで音を調整できるというのも、大きなメリットといえそうです。
テレビのS/PDIF(光デジタル)出力をUltraLite AVBのオプティカル入力へ接続する
さて、改めて本題のテレビの音をよくするというワザですが、UltraLite AVBはS/PDIFのオプティカルの入力を持っているので、テレビのオプティカル出力と光ケーブルで接続すれば、もうそれでOK。
前述の通り、UltraLite AVB自体はスタンドアロンで動作するためPCを起動することなく、これ単体でS/PDIFの信号をアナログに変換することが可能であり、しかもESS SABRE32 DACの性能で変換してくれるから、一般的なDACと比較しても断然音がいいわけです。
テレビ放送だけでなく、Fire TV Stickの音楽コンテンツもUltraLite AVBから出力できるようになる
これを使って、地上波やBSのテレビを見てみると、「これまでのテレビ人生を返してくれ!」と衝撃を受けるほど、その音の良さに感激できると思います。もともとテレビ放送って、こんなにいい音だったのね……と実感できるはずです。
また前述のFire TV Stickを利用した場合やPlaystation 4、Nintendo SwitchをHDMI接続した場合も同様。接続はテレビのS/PDIFオプティカルがUltraLite AVBにオプティカルケーブルで接続されていれば、そのままでOK。Amazon prime videoの価値が何倍にも上がって感じられると思いますよ。
UltraLite AVBのオプティカル入力はデフォルトではADATの設定になっているのでTOSLinkに変更しておく
さらにSpotifyなどもFire TV StickからテレビのS/PDIF端子を経由してUltraLite AVBから出力することで、音質が断然向上します。もちろん、Spotifyはストリーミングでの圧縮サウンドではあるけれど、この形で接続すると、「これはハイレゾサウンドなのでは?」と感じるほどですからね。
UltraLite AVBのルーティングは自由自在。とりあえず、オプティカル入力をヘッドホンやメイン出力へルーティングしておく
まあ、72,000円もする高級オーディオインターフェイスを、テレビに接続するだけに使うのは、さすがに贅沢すぎる気もしますが、この音を聴けば、絶対に後悔はしないはず。もちろん、普段はテレビにつなぎつつ、音楽制作する際はMacやWindowsに接続しなおして、DAWとともに利用すれば、非常に高音質でハイスペックなオーディオインターフェイスとして活用することができます。
また5年前の記事でも紹介していましたが、UltraLite AVBは18in/18outのオーディオインターフェイスであると同時に、48chのデジタルミキサーとしても機能し、とにかくルーティングが自由自在であるのも大きなポイント。そのため、PCで再生する音をマイクからの入力とミックスして、OBSなどの配信ソフトに送出するといったことも自由自在。まさに配信用には最高の機材でもあるのです。
家で過ごす時間をちょっと優雅にするために、こんなオーディオインターフェイスの使い方をしてみてはいかがでしょうか?
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UltraLite AVB製品情報
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