ギター音源として人気のVirtual Guitaristシリーズを開発するドイツのソフト音源メーカー、UJAMから、また新たにベース専用音源であるVirtual Bassist 2シリーズが3製品リリースされました。Virtual Guitaristシリーズと同様、非常にリアルなサウンドが出せる音源であると同時に、膨大な数のフレーズが収録されており、ベースの知識がまったくない人でも簡単にカッコいいベースフレーズが演奏できたり、打ち込みできるのが大きな特徴です。
今回新たに発売されたのは、アップライトベースのMELLOW、指弾きエレキベースのROYAL、ピック弾きエレキベースのROWDYのそれぞれ(各音源とも税込み14,000円程度)で、いずれもWindows、MacのVST、AAX、Audio Unitsの環境で動かすことができるプラグイン音源となっています。実際どんなものなのか試してみたので、紹介してみたいと思います。
UJAMからVirtual Bassist 2が3製品リリースされた
UJAMの音源に関しては、以前にもVirtual Guitarist CarbonやVirtual Drummer 2を紹介したいことがありましたが、今回のVirtual Bassist 2も音楽制作をする人にとって非常に強力なツールとなっています。
このVirtual Bassist 2の最大の特徴は、指一本で鍵盤を押さえるだけで、まさにプロのベーシストが弾いているようなフレーズが弾けてしまうということ。もちろん、リアルタイムの演奏だけでなく、プラグインからDAWのインストゥルメントトラックへドラッグ&ドロップするだけでMIDIデータを作成していくことも可能です。
まずは、これらがどんなサウンドのベースなのか、デモ曲がSoundcloudに上がっているので、これらをちょっと聴いてみてください。まずはアップライトベースのMELLOWから。
そして、今度は指弾きエレキベースのROYAL
さらにピック弾きエレキベースのROWDY
どうですか?かなりグッとくるサウンドですよね?
一言でベース音源といっても最近はサンプリングベースのもの、物理モデリングのものなどいろいろありますが、このVirtual Bassist 2はいずれもサンプリングベースの音源となっています。先ほどのデモを聴くと、「これは人が弾いたベースを録音したのでは!?」と思うほどにリアルなサウンドですが、まさにサンプリングがなせるワザ。実際、MELLOWで5.5GB、ROYALで6.4GB、ROWDYで3.7GBのインストール容量があるので、それなりのストレージ容量は食いますね。インストールする際、UJAMのサイトからダウンロードするわけですが、高速な光回線でも5~10分程度の時間はかかるので、その程度の覚悟はしてくださいね。
たとえばROYALの場合6.4GBのインストーラをダウンロードする必要がある
では、実際どう使うのか。ROYALを使ってその手順を簡単に紹介してみましょう。Studio OneでもCubase、Ableton Live、Ability…などどのDAWでもいいので、DAW上でROYALのインストゥルメントトラックを作成すると、画面上にVirtual Bassist 2が立ち上がってきます。ここでDAWに接続されているMIDI鍵盤からC3の鍵盤1つを指で弾いてみると、
こんな感じでフレーズを演奏してくれるのです。D4を弾けばDのコードで、E4を弾けばEのコードでこのフレーズが演奏されます。さらにC4・E4・A4と3つの指で押さえると和音が出るのではなく、コードとしてAmだと認識してくれるのでAmでフレーズが鳴るんですね。
C0~B1、C2~B2のキーがフレーズの切り替えスイッチとなっている
また低い鍵盤はフレーズを切り替えるスイッチになっています。C2~B2でフレーズパターンが少し変わる形になっていて、さらに低いC0~B1までだと、もう少し単調なフレーズパターンに切り替わります。そう、あくまでもスイッチとして鍵盤を弾いているだけだから、キーボードの演奏などまったくできないという人でも、これなら弾けちゃいますよね。また、これをDAW上にドラッグ&ドロップすれば、そのフレーズをMIDIデータとして入れていくことができる仕掛けになっています。
Virtual Bassist 2からDAWのインストゥルメントトラックへドラッグすることでフレーズをMIDIデータとして展開できる
これだけでも35種類のフレーズスタイルがあったわけですが、これらはどれも近い感じのフレーズでした。しかし、真ん中に表示されている「116bpm Summerdays 2.0」という項目をクリックすると、さまざまなジャンル・スタイルのメニューが膨大に表示されます。この中から選ぶことで、まったく違うフレーズへと切り替えることができるようになっているのです。
数多くのフレーズが収録されており、メニューから選択することができる
ここで右上にあるMicro Timingというスイッチをオンにすると画面上部にいくつかのパラメータが表示されます。これは、演奏するフレーズの弾き方を調整するためのものとなっています。具体的にはSpeedでフレーズのテンポを倍にしたり、半分にしたりすることができます。またFeelでは演奏のノリを突っ込み気味にするかモタリ気味にするかを調整でき、Swingではスウィング感の調整が可能です。さらに一番右のTimingではフレーズをドンピシャなタイトなタイミングで演奏するか、もうちょっとラフな感じで演奏するかを調整可能となっています。
右上のTimingをクリックするとフレーズの調整パラメータが表示される
このようにワンキーを押さえるか和音を弾くだけで、カッコいいベースパターンを弾くことができるわけですが、もちろん、自分でベースパターンを演奏したり打ち込んでいくこともできます。この場合、上部にあるPlayerとなっているモード切替スイッチをInstrumentにすればOK。これによって、普通に演奏できるベース音源になるのです。
モード切替スイッチをPlayerからInstrumentに切り替えると、普通に演奏できるベース音源になる
このPlayerモードでフレーズを演奏してもInstrumentモードで打ち込みをするにせよ、このままではどれもすべて同じ音色です。でもVirtual Bassist 2はさまざまな音色が用意されていて、その音色の切り替えは左上のメニューから選択できるようになっています。どれも手弾きのエレキベースではありますが、数多くのバリエーションがあり、かなり違ったサウンドになりますね。
もちろん、音色はプリセットから選ぶだけではありません。自分の好みの音にするためにいろいろなパラメータが用意されているのです。といってもシンセサイザ的な音色づくりではなく、もっと感覚的にできるようになっているので、シンセサイザは苦手という方でも心配いりません。
たとえば一番左のツマミを使うことで弦を弾く位置をネック寄りかブリッジ寄りかを調整できます。その隣のCharacterを使うことで、音色がソフトなのか、温かい感じか、普通なのか、硬めなのか…を切り替えることが可能で、これを選ぶだけでもかなり違ったベース音になります。
AmpではベースアンプをRock、Soul、Popと切り替えることができるほかDirectを選択するとアンプを通さず直接オーディオインターフェイスに接続したようなサウンドになります。さらにDriveを調整することで、アンプの歪み具合を調整することができます。
一番下にもパラメータが並んでいます。一番左のDrop Dは一番低い弦をDにするドロップDの設定を実現するためのものです。それ以外はすべてエフェクトの設定なのですが、Octaverはその名の通りオクターバー、Equalizerはイコライザー、そしてComressorはコンプレッサーです。そして中央にあるFinisherはマルチエフェクトとなっており、下のパラメータからビブラートやコーラス、フェイザー、ディレイなど選んで使う形になっています。
Finisherは最終的に音をまとめ上げるためのマルチエフェクトになっている
ここでは主にROYALを元に見てきましたが、MELLOWでも、ROWDYでも基本は同様です。といっても音色やフレーズパータンが異なるだけでなく、機能的にも少しずつ違いがあるので、簡単に紹介しましょう。
アップライトベースの音源であるVirtual Bassist MELLOW 2
まずMELLOWはCharacterとしてDeepというものが用意されています。またMELLOWはアコースティックのベースであるためアンプモデリングはないのですが、その代わりにベースを録るマイクのキャラクターを切り替えるMicという切り替えスイッチがあり、Hollow、Full、Round、Presentというメニューが用意されています。
さらに一番右のRoomでは、少し部屋鳴りのあるリバーブ成分が加味されたサウンドに調整することが可能になっています。
ピックアップ弾きのベース音源、Virtual Bassist ROWDY 2
一方のROWDYもちょっと音色パラメータが異なっています。一番左はFuzzとなっており、歪み感を演出することが可能です。またCharacterはTame、Round、Fat、Hardと少し異なるメニューになっています。さらにAmp、Driveもあるので、かなりパワフルなベース音作りが可能になっているわけです。
これらMELLOW、ROYAL、ROWDYとも異なる音色、異なるベースパターンが入っているので、曲の雰囲気によって、いろいろ切り替えてみると面白いですよ。
3本セットになったVirtual Bassist 2 Bundle
1つ1つ購入するのもいいですが、どれもかなり違ったベースなので、一挙に3つ買ってしまうというのもあり。その場合、Virtual Bassist 2 Bundleという3つセットで30,000円弱の製品があるので、これだと約3割引きで入手できる計算です。
一方、すでに前バージョンであるVirtual Bassistを持っている方も、かなり機能UPしているので、このタイミングでバージョンアップしてしまうのがお勧めです。それぞれのバージョンアップ価格は3,135円で、3本セットなら6,380円ですから躊躇することはないと思いますよ。
なお、初めて使うというかたは、まずデモ版を入手して試してみてはいかがでしょうか?製品版のフル機能を30日間使うことが可能で、その後、購入したらアカウントを入力することで、そのまま製品として使えるようになっているので、お勧めです。なお、UJAMのジャネさんが、またVirtual Bassit 2の動画をUPしていたので、掲載しておきます!
【関連情報】
Virtual Bassist MELLOW 2製品情報
Virtual Bassist ROYAL 2製品情報
Virtual Bassist ROWDY 2製品情報
Virtual Bassist 2 Bundle製品情報
【価格チェック&購入】
◎SONICWIRE ⇒ Virtual Bassist MELLOW 2 ROYAL 2 ROWDY 2
◎Rock oN ⇒ Virtual Bassist MELLOW 2 ROYAL 2 ROWDY 2
◎宮地楽器 ⇒ Virtual Bassist MELLOW 2 ROYAL 2 ROWDY 2
◎SONICWIRE ⇒ Virtual Bassist 2 Bundle
◎Rock oN ⇒ Virtual Bassist 2 Bundle
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