MIDIキーボードとして最近、存在感がどんどん大きくなっているNative InstrumentsのKOMPLETE KONTROLシリーズ。高品質なFatar社製アフタータッチ付き鍵盤でLEDの色で操作をアシストしてくれるLight Guideを装備するとともに高解像度のカラーディスプレイも装備するSシリーズ(49鍵、61鍵、88鍵の3製品)、NI独自開発のセミウェイテッド鍵盤で有機ELディスプレイを搭載したより手ごろな価格のAシリーズ(25鍵、49鍵、61鍵の3製品)、さらには32鍵のミニ鍵盤ながらもAシリーズと同様の操作性を実現するM32、という大きく3つラインナップが存在しており、用途に応じて、予算に応じて選択できるようになっています。
そのKOMPLETE KONTROLシリーズのコントロールソフトウェアが先日アップデートしたことにより、応用範囲がさらに大きく広がりました。最大のトピックスはこれまでのAbleton Live、Logic Pro X、GarageBandに加え、Cubase、Studio One、Nuendoでも高度なDAWコントロールが可能になったこと。もちろん従来通りNKSとの連携は完璧であり、USBバスパワーで動作する手軽さもこれまで通り。ちょうど今、Native Instrumentsがサンクスギビング特別セールを展開中で、KOMPLETE 12とのバンドルセットなどがより割安で買えるチャンスなので、このKOMPLETE KONTROLシリーズが、ほかのMIDIキーボードと何が違い、なぜ多くのDTMerがこれに飛びついているのかを紹介してみましょう。
KOMPLETE KONTROLシリーズがCubase、Studio Oneに対応!
すでに持っている、使ったことがあるという方も多いとは思いますが、あまりよくご存知ない方のために、KOMPLETE KONTROLシリーズについて簡単に説明すると、これはNative Instrumentsが開発・販売するUSB-MIDIキーボードです。でも、ただのMIDIキーボードとはちょっと違い、Native Instrumentsならではの機能が数多く盛り込まれたキーボードなんです。
それぞれの違いを簡単に表にまとめたのが以下のものです。
Sシリーズ | Aシリーズ | M32 | |
鍵盤数 | 49、61、88 | 25、49、61 | 32 |
キーベッド | プロ仕様Fater社製アフタータッチ付きキーベッド、セミウェイテッドキー(S49、S61)、フルウェイテッド・ハンマーアクションキー(S88) | NI独自開発のセミウェイテッド・カスタムキーベッド | NI独自開発のシンセアクション・キーベッド |
ディスプレイ | 2つの高解像度液晶ディスプレイ | 視覚性の高い有機ELディスプレイ | 視覚性の高い有機ELディスプレイ |
Light Guide | 〇 | - | - |
ピッチベンド/ モジュレーションホイール | 〇 | 〇 | 〇 (Touchi Stripで対応) |
Touch Strip | 〇 | - | 〇 |
フットペダル | 2系統 | 1系統 | 1系統 |
これらKOMPLETE KONTROLシリーズが一般のMIDIキーボードと異なる最大のポイントとなるのはNKS=Native Kontrol Standardというシステムに対応していること。これはソフト音源のフォーマットとしてここ2、3年で急速に広まったもので、NKS対応のインストゥルメントまたはエフェクトであれば、PCの画面を見なくてもKOMPLETE KONTROLシリーズのツマミとディスプレイで選ぶことができるとともに、即その音をプレビューできるのです。
KOMPLETE KONTROL Sシリーズでは、2つのカラー液晶を使いながら音色が選べ、音をプレビューできる
一度慣れてしまうと、もうPC上でマウス操作での音色選びに戻れないほど便利な機能です。NKSに関する説明は以下のビデオを見るとわかりやすいかもしれません。
当初、このNKS対応はNative InstrumentsのKOMPLETEなどに限られていましたが、ここ最近で多くのソフトウェアベンダーに広まり、現在ではA|A|S、Arturia、EASWEST、Eventide、KORG、iZotope、OHM FORCE、OUTPUT、Premier Engineering、Prominy、Rob Papen、Softube、Spitfire Audio、Sugar Bytes、u-he、Waldorf、Waves……と主だったメーカーの多くがこれに参加し、KOMPLETE KONTROLシリーズを使うことで簡単に音色のプレビューができるようになっています。
さらに、NKSはインストゥルメントに限らず、エフェクト、ループ、サンプルにも対応しているため、1つの直感的なワークフローにで利用できるようになっており、サウンドの試聴だけでなく、マッピング済みのパラメーターを動かしたり、Smart Play機能によって数多くのスケール、コード、アルペジオなどを容易に演奏できたりもするのです。
これはKOMPLETE KONTROLシリーズの各キーボードが、USBケーブルを通じてコントロールソフトであるKOMPLETE KONTROLと密接なやりとりをしているからこそ実現できるもの。つまり、USBケーブルにMIDI信号が流れているだけでなく、高速に複雑な情報が行き来しているからこそ実現しているんですね。
さて、そのコントロールソフトのKOMPLETE KONTROLが2.1.6にアップデートしたタイミングで(現在は2.2.0がリリースされています)、対応するDAWが増え
Studio One
でもより有機的な利用ができるようになりました。
まあ、KOMPLETE KONTROLは、USB-MIDIキーボードなので、もともとどのDAWでも使うことができるのですが、「高度なDAWコントロール」という機能を装備したことで、各DAWのトランスポートをコントロールしたり、フェーダーをコントロールしたり、編集操作が可能になっているのです。
実際、Cubase Pro 10.5でKOMPLETE KONTROL M32が使えるのか、試してみました。セッティングはCubase Pro 10.5がインストールされているPCにKOMPLETE KONTROLの最新版、2.1.3というものを入れただけ。PCにUSBケーブルでM32と接続し、Cubaseを起動すると、もうすべて設定が完了されているようでした。
Cubaseを起動すれば、すぐにトランスポートボタンやノブなどが対応する
インストゥルメントトラックを選択した状態でM32の鍵盤を弾いてみると演奏できるのはもちろんですが、左側のタッチストリップ(Touch Strip)を操作すればピッチ、モジュレーションをコントロールできます。そして、その上にあるトランスポートボタンを操作してみると、再生、録音、ループの設定からメトロノームのON/OFFなどもできます。
ここで鍵盤の上に8つ並んでいるノブを回してみると、ミキサーのフェーダーは動くし、M32の右上にある4方向プッシュ式エンコーダーをクルクル回せば、プロジェクトの位置を動かすことができるし、上下左右操作をすれば、トラック選択などを切り替えていくことができ、すごく快適です。
選択中のトラックの名称が有機ELディスプレイに表示されている
ここで有機ELディスプレイを見てみると、現在選択されているトラックのトラック名が表示されるんですね。ノブを動かせばその音量がdB表示されるなど、完璧。非常に使いやすくできています。通常、Cubaseでフィジカルコントローラを使う場合、結構面倒な設定が必要となり、結局うまく使えない……といったケースも少なくないのですが、その設定がすべて不要ですぐに完璧な形で使えるというのは嬉しいところです。ちなみに、設定画面を見てみると、リモートデバイスの中に「Komplete Kontrol A/M-Series」というものが組み込まれており、MIDI入力、MIDI出力もしっかり設定されているんですね。
KOMPLETE KONTROLソフトウェアをインストールしたことでCubaseの設定が自動的に行われている
では、もう一つ今回サポートされたStudio One 4.5ではどうなのでしょうか?Cubase Pro 10.5を起動させたPCには、同じStudio One 4.5 Professionalがインストールされていたので、これを起動してみました。
Studio Oneでも、Cubase同様のコントロールができ、トラック名などが有機ELディスプレイに表示される
結論からいうとStudio OneもCubaseと同じくで、ユーザーは特に何の設定もする必要なく、すぐにM32の鍵盤で演奏できるし、トランスポートボタンや各ノブを使ったフェーダー操作、4方向プッシュ式エンコーダーを用いた操作などができました。選択したトラック名が有機ELディスプレイに表示されるという点でも同様ですね。これだけのコントロールができるのなら、すでにUSB-MIDIキーボードを持っていても、リモートコントロール用にM32を使ってもいいのではないかな…という印象を持ちました。
そんなKOMPLETE KONTROLシリーズですが、Native Instrumentsでは12月9日までの期間、「Thanksgiving XXL」とうセールを実施しています。このセールではKOMPLETE KONTROLシリーズをはじめ、MASCHINEや、以前紹介したKOMLETE AUDIO 1/2、またKOMPLETE AUDIO 6 MK2などのハードウェアとKOMPLETE 12などのセットをかなり割安で購入できるようになっているので、このタイミングでセット購入するというのもよさそうですよ。
現在Native InstrumentsがThanksgiving XXLセールを展開中
また、ハードウェアとのセットだけでなく、先日紹介したMASSIVE Xをはじめとするインストゥルメント、エフェクト、EXPANTION、さらにはTRAKTOR PRO 3などのソフトウェアが50%OFFで販売されているほか、KOMPLETE 12シリーズのアプデートやアップグレードも50%OFFが適用されるなど、魅力的な内容がいっぱい。ぜひ、このセール期間中にチェックしてみてください。
なお、作曲家の多田彰文さんとともに隔週で放送しているネット放送番組、DTMステーションPlus!においても12月3日にNative Instruments特集を企画しており、ここでKOMPLETE KONTROLシリーズの実演や、MASSIVE Xの音作りなどもお見せしていく予定です。ぜひ、こちらもチェックをお願いします。
【製品情報】
KOMPLETE KONTROL M32製品情報
KOMPLETE KONTROL Aシリーズ製品情報
KOMPLETE KONTROL Sシリーズ製品情報
【セール情報】
Thanksgiving XXLセール情報
KOMPLETE KONTROL M32バンドル情報
【価格チェック】
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◎宮地楽器 ⇒ KOMPLETE KONTROL M32
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【DTMステーションPlus!】
2019年12月3日 20:30~22:30
第141回 特集:「今がチャンス!NATIVE INSTRUMENTS製品でDTMを最強に♪」