「何か手ごろな値段のいい音源ってないですか?」よくそんな質問をされますが、もちろん何がいいかは人それぞれ。でも、この9月13日~20日(9月30日までに延期)のタイミングであれば、ちょっとお勧めしたいのが、カナダ・モントリオールのプラグインメーカー、Applied Acoustics Systems(以下A|A|S)の物理モデリング音源の詰め合わせ「STRUM&ULTRA ANALOGSESSION +500 PRESETS」という製品。
例によって、さまざまなソフトを激安販売するソースネクストが、この音源セットを取り扱うことになり、発売記念価格として通常価格25,800円(税抜き)を62%オフの9,800円としている上、DTMステーション読者向けクーポンで3,000円引きとなるため、結果的に72%オフとなり、税込みでも7,584円で入手可能だからです。片方のStrum Session 2がギター音源、もう片方のUltra Analog Session 2がアナログシンセ音源と、まったく性格の異なる音源なのですが、実際に使ってみると、どちらも即戦力として活用できる、非常によくできた音源なのです。さらにサウンドパックのほうは、単なる音色集に留まらずA|A|Sのほかのシンセサウンドエンジンも搭載した上記2つとは異なる強力な音源。この値段であれば、絶対に持っておいて損のない音源セットだと思うので、紹介してみましょう。
A|A|Sの音源セット、STRUM&ULTRA ANALOGSESSION +500 PRESETSが特別価格で発売中
今回紹介するA|A|SのStrum Session 2およびUltra Analog Session 2はWindowsでもMacでも利用できるソフトウェア音源で、それぞれのスタンドアロンで使えると同時に、VST、Audio Units、AAX、RTASのそれぞれのプラグイン環境でも使うことが可能です。
Strum Session 2は物理モデリングによるギター音源
では、実際どんなものなのか順番に見ていきましょう。まずStrum Session 2はリアルなサウンドを実現することができるギター音源で、アコースティックギターの音色12種類、エレキギターの音色12種類を持っています。まあ単にこうしたギターの音色を出すだけなら、DAW付属のマルチ音源など、数多くのソフトウェア音源があるわけですが、これはギターがまったく弾けない人でも、まさにギター的な演奏ができるというのが最大の特徴となっています。
モード切替によりアコースティックギターとエレキギターに切り替えができる
さらにPCM音源ではなく、物理モデリング音源という方式になっているため、音源のインストール容量も極めて小さく、非常にリアルなサウンドで音を鳴らせるのも、ほかのギター音源とは異なる点です。左上のBankというところでAcousticとElectricを切り替えることができ、これによって画面の雰囲気も変わります。そして、AcousticとElectricそれぞれのProgramのところで12種類の音色を選ぶことができます。
アコースティック、エレキそれぞれ12音色のプリセットが用意されている
そしてPlay ModeでKeyboardを選択している場合、いわゆる普通の音源として機能し、接続したMIDIキーボードで弾けば、その通りに音がでます。この際、画面中上にあるCompressorやDistortion、Amplifier、EQ…といったパラメータを動かすことでかなり音色も変化させることが可能です。
ではPlay ModeをGuitarにするとどうなるのか…。画面表示されているキーボードの下に、Chord Keysというのと、Strumming Keysというエリアに分かれているのが分かると思います。ここでChord Keysというエリアで接続されているMIDIキーボードを押してみると画面にはコードが表示されますが、何も音は出ません。たとえばドの鍵盤ひとつを押すだけでCが表示される一方、2つ以上の鍵盤を押せば、それにマッチしたコードが表示されます。
MIDIキーボードがスプリットされ、コード検出用と弦を弾く用に分かれる
そのChord Keysで鍵盤を押している状態のまま、Strumming Keysの部分の鍵盤を押すと、そのコードにしたがった音が出ます。このとき、Strumming Keysの鍵盤は、音程を意味するのではなく、白鍵が6本あるギターの弦を意味するので、適当に指を動かせば、アルペジオが弾けてしまうのです。またDOWNストローク、UPストロークとして機能する鍵盤もあるので、これでジャラーンと鳴らすこともできるのです。言葉だと、なかなか伝えにくいですが、鍵盤を適当に押してるだけで、ギターを弾いている雰囲気が味わえるのは楽しいです。もちろん、これをそのままDAWでリアルタイムレコディングしていくことも可能です。
Loopモードにすると、コードに応じたループフレーズが演奏できる
さらに、もっとカッコよく、より簡単にギターフレーズを弾くには、Play ModeをLoopにします。ここでは画面右側のLoopsで選んだループフレーズにしたがって演奏できるので、ホントにインスタントに使えるバッキングが作れますね。
このStrum Session 2の音源で鳴らした音のデモがあるので、ぜひ聴いてみてください。
このサウンド、実はStrum Session 2の上位版であるStrum GS-2を使ったものですが、音色的にはほぼ同じなので、雰囲気を確認するには大きな参考になるはずです。ちなみに、Strum Session 2からStrum GS-2へのアップグレードパスも用意されているので、もしStrum Session 2で物足りなくなったら、安価に上位版へ乗り換えることができるのも大きなポイントですよ。
物理モデリングのアナログシンセ音源、Ultra Analog Session 2
一方のUltra Analog Session 2は、画面を見てもわかる通りのアナログシンセです。1VCO、1VCF、1EG、1LFOというとってもシンプルなシンセサイザではありますが、かなり膨大な数のプリセットが用意されているので、これを選ぶだけでも太いシンセベースや、エッジの効いたシンセリード、また広がりのあるパッドなど、シンセの音色づくりがよくわからない人でも、即戦力音源として使えると思います。
画面下の16ステップのボタンでアルペジオパターンを作成できる
また起動したときのプリセットはTR-303系のベースサウンドでのアルペジオ。そう、Ultra Analog Session 2は強力なアルペジエーターが搭載されているのが大きな特徴となっており、押さえる鍵盤に応じてさまざまなアルペジオを自動生成してくれます。このアルペジオをどう展開するかはArpeggiatorでスピードやレンジを設定できるほか、下に並んだ16ステップのボタンで、パターンを作っていくことが可能です。
また、モードとしてArp=アルペジオのほかにMono=モノフォニック、Poly=ポリフォニックも選択できるようになっているので、同じ音色であってもかなり違った使い方ができるし、ArpもしくはMonoでGlideにすると、ポルタメント効果を出すことができます。
Unisonのモード選択でもかなりの違った演出ができる
もう一つUnisonというモード設定もできるようになっており、Offであれば単純な音であるのに対し、Subtle、Intenseを選択すると、ピッチが少しズレた音を同時に出すデチューン状態となり、サウンドの揺れを実現することができます。またFifthにすると5度ズレ音が同時になるようになり、Octaveにすれば1オクターブズレた音が同時になるなど、ここでもサウンドの雰囲気を大きく変えることが可能となっています。
さらに一番右がエフェクトセクションとなっており、コーラス、ディレイ、ディストーション、EQ、フランジャー、フェイザー、リバーブなどのエフェクトが利用できるのも音作りにおいては重要なポイントです。
このUltra Analog Sessionのサウンドの例が以下のものです。
これも上位版、Ultra Analog VA-2のサウンドではありますが、音源性能的には同等のもので、より多くのパラメータの調整が可能なのがVA-2のほう。こちらへのアップグレードもできるようになっていますよ。
なお、この「STRUM&ULTRA ANALOGSESSION +500 PRESETS」という製品には、この2つの音源に加え、
Cinematheque
Journeys
Synbiosis
という4つのサウンドパックなるものも付属しています。そう聞くと「ふ~ん、オマケの音色ライブラリか」と思うかもしれませんが、これが実はまたスゴイものなんです。確かにAngelicalsとCinemathequeはUltra Analog VA-2のプリセット音色集なのですが、あくまでもUltra Analog VA-2用であって、Ultra Analog Session 2では読み込むことすらできないのです。「どういうこと?」と思ったら、これをインストールすると、AAS Playerなるインストゥルメントが音色とともにインストールされ、これで、その音色を鳴らすことができるのです。
AAS PlayerがVSTiやAUのインストゥルメントとして使え、このプリセット音色としてサウンドパックを読み込める
その場合、パラメータをいじることはできないけれど、音源としてはプリセット音色を完全に鳴らすことができるので、まさに即戦力音源として使うことができるのです。つまり、このAAS Player自体が完璧な物理モデリング音源になっているわけですね。
Angelicalsはプログレッシブで実験的な音が強いサウンドパックで、以下のようなサウンドを鳴らすことができる、計101音色をセットにしたものです。
またCinemathequeは、その名の通り映画などの劇伴で使えるパッド系やテクスチャ系の音のコレクションで、以下のようなサウンドが計142色収録されています。
さらに、Journeys、Synbiosisに至っては、Strum Session 2、Ultra Analog Session 2とはまったく関係なく、A|A|Sの別の音源の音色プリセット集なのですが、やはりAAS Playerを通じて、そのまま使えてしまう、便利なもの。
Journeysのほうは、ストリングス系の音源、String Studio VS-3用に作られた音色プリセット集で、「どこか遠い、時間・場所・文化」をイメージして作ったサウンドパックとのこと。以下のようなサウンドが計128音色セットとして収録されています。
そしてSynbiosisはChromaphone 2というパーカッション・モデリングによる音源の音色集でやあり、AAS Playerで鳴らすことが可能になっています。こちらも計130のプリセットが搭載されています。
この4つのサウンドパックで、合計すると101+142+128+130=501の音色を演奏できるようになるほか、AAS Playerには、AASのその他の全サウンドパックの紹介をするための音色プリセット集が401も収録されています。この中には4つのプリセットの中に含まれるものがいくつかダブりますが、トータルすれば約900もの音色が扱えるようになるので、かなり、これだけでもかなり活用することができると思いますよ。
改めてお伝えしておくと、このA|A|Sの「STRUM&ULTRA ANALOGSESSION +500 PRESETS」が9,800円の特売になっているのは9月13日~20日(30日までに延期)の期間。この間に以下のクーポンコードを入力すればさらに3,000円引きになるので、ぜひ、活用してくださいね。
クーポンコード:DTM_AAS_3000
【関連情報】
STRUM&ULTRA ANALOGSESSION +500 PRESETS製品情報
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