Blueからエントリーモデルのマイク、Emberが誕生。11,880円のコンデンサマイクは幅広い活用ができる

マイクのトップメーカーとして世界中で使われているBlue Microphones。アメリカのカリフォルニアに本社を置く、デザイン性の高いマイクを作っているメーカーで、特徴ある見た目のマイクであることから、さまざまなプロモーションビデオでよく登場しています。最近では、yetiというUSBマイクを有名実況者やプロゲーマーが愛用しているので、そこから知ったという人もいるかもしれません。

そんなBlue Microphonesは、実売価格約44万円のフラグシップモデルであるBlue Bottleがもっとも有名。マイク・カプセルが交換可能なユニークな機能・形状を持ち、ボーカル用、アコースティック楽器の録音用として、高く評価されているマイクを開発していたりと、音楽業界で幅広く認められています。そのBlue Microphonesが新たなモデルのマイクとしてリリースしたのが、Ember。DTM用途にピッタリなサイズ感と高音質を併せ持つエントリーモデルのマイクで、初めてコンデンサマイクを買う人や「Blueのマイクを試してみたい!」という人におすすめなマイク。実際どんなものなのか、紹介してみましょう。

Blue Microphoneのエントリーモデル、Ember発売開始

2年前「あの高級Blueマイクに新ラインナップ。2万円~の手ごろ価格で入手可能!」で3種類の比較的手ごろな価格のマイクを紹介したことがありましたが、今回登場したEmberは、さらにエントリーユーザー向けとして作られた、まったく新しいモデル。デザイン的にもボトル型のものではなく、シンプルながらカッコいいものに仕上がっています。価格は11,880円(税込み)で各楽器店などで販売が開始されています。

シンプルなデザインのEmber

プロ御用達の超高級マイクという印象のBlueではありますが、こんな手ごろな価格帯で製品展開する時代なんですね。もちろん、安いとはいえ、そこは高級ブランドのBlueだけにしっかりした製品を作ってきているのも事実。ターゲットが一部のプロのミュージシャンということではなく、幅広い人たちに使ってもらいたいということで、生産数を増やし、コストを下げたということのようですね。

Ember(左)と実売価格45,800円程度のBaby Bottle SL(右)

そのEmberは単一指向性のコンデンサマイクであり、動作させるには+48Vのファンタム電源が必要となります。そのためDTMで使うためにはファンタム電源搭載のオーディオインターフェイスが必要となるので、そこだけは注意してくださいね。音の特性はとてもフラットなので、ボーカルのレコーディングにはもちろんギターやピアノなどのアコースティック楽器のレコーディングなど、さまざまな用途に幅広く使えそうです。実際にどんな音なのか、以下のSoundcloudで聴いてみてください。

コンデンサマイクであるEmberは、非常に感度が高く、高精細・高品位なサウンドで音を捉えることができるんです。1万円ちょっとのマイクでこれだけの音でレコーディングできるというのは、すごいと思いませんか?たとえば女性ボーカルの息遣いに注目して聴いてみると、そのリアルさがハッキリと分かると思います。

もちろん接続はXLRのキャノン端子

またアコースティックギターのサウンドの消え際の部分に注目すると同時に、低い弦による低音の強さ・太さに着目すると、音域の広さやダイナミックレンジの広さが分かると思います。シンプルな見た目のEmberではありますが、マイク性能としては、これだけの実力を持っているわけですね。

一般的にコンデンサマイクは、繊細な音の録音を得意としており、ShureのSM58を代表とするダイナミックマイクとはかなり特性が異なります。ダイナミックマイクの場合、ファンタム電源は不要で、どこにでも簡単に接続が可能。かなり大音量を突っ込んでも割れないし、多少乱暴に扱っても壊れる心配がないのが特徴です。

Emberはコンデンサマイクなので、それなりに丁寧に扱う必要はある

それに対しコンデンサマイクは、ファンタム電源が必要であり、それなりに丁寧に扱わないといけないデリケートな機材。ただ、耳を澄まさないと聴こえないような小さな音までハッキリと捉えることができるので、先ほどのような繊細な音でレコーディングができるのです。逆にいうと、自宅でレコーディングするといった場合でも、エアコンは止めなくてはならないし、パソコンのファンの音などにもケアが必要。またボーカルをレコーディングする場合は、手持ちは絶対NGでスタンドは必須。またマイクに向かって歌う場合は、吹かれに弱いためにポップガードを用意したほうがいいなど、ダイナミックマイクと比較すると気を使わなくてはならないことがいっぱい。でも、それだけにダイナミックマイクでは録れない、あれだけの音でレコーディングができるのです。

ただしEmberはBlueが出すエントリー向けのマイクであるために、上位機種にはある入力音量を抑えるためのパット機能や、指向性を切り替えたりする機能はありません。DTM用途であれば、これでまったく問題はないと思いますが、あえてコンデンサマイクで大音量のレコーディングを行うといった用途には向いてないので、その点は理解しておいてくださいね。

DTM用のマイクとしても、ネット配信用としても便利に使える

と、ここまで音楽のレコーディングに使うことを前提に話をしてきましたが、Emberは音楽制作用だけでなく、ネット配信用としても大きな実力を発揮してくれます。自宅からネット配信をしている方だと、ヘッドセットをしている方が大半だと思います。ただ、これだと、どうしても音質が低く、音割れなども起こりがち。それに対し、コンデンサマイクを使えば、音は断然キレイだし、席を立って少し離れた場所でもキレイに声をとらえることができるので、圧倒的に便利なんです。

実際、作曲家である多田彰文さんと一緒に放送しているネット番組、DTMステーションPlus!においても、トーク用のマイクには、コンデンサマイクを使っているからこそ、キレイな音で配信ができているわけですが、Emberでもそれと同等か、それを上回る音にできそうです。

クランプで机に固定できるアーム、Compass

ところで、このEmberのリリースのタイミングで、Blueからはアーム型のマイクスタンド、Compassなるものも発売されており、こちらもEmberと同じ11,880円となっています。マイクスタンドというと、普通は床に置いて使う大きなものであり、家だとかなり邪魔な存在。また、卓上のマイクスタンドを使う手もありますが、これも机のスペースをとってしまうという問題があります。

それに対し、このCompassはアーム型のマイクスタンドとなっていて、クランプで机に設置して使うことができるので、卓上スタンドと比較して机の上のスペースを有効活用することができます。これを使って家からネット配信というのもいいですし、たとえば、ちょっと仮歌を入れたいときに机の上でレコーディングできます。そして使わないときは、向きを変えてずらしておけば邪魔にならなくていいですよ。

クランプを机にセットしたら、あとはアーム本体をここに差し込めばOK。不要なときは取り外すのも簡単

ちなみにCompassは別にEmber専用というわけではなく、1kg以下のマイクならなんでも取り付けることができるので、すでに何等かのマイクを持っているという人にとっても、便利なアイテムだと思いますよ。またアームの側面にはマイクケーブルを通す溝があり、固定することができるので、ケーブルまわりをすっきりさせられます。

そして、Compassの最大の特徴は、アームの可動がスムーズで、なにより動かしたときの音が静かということ。以下の動画を見てもらうと分かると思いますが、結構派手に動かしてもきしむ音が一切しないんです。

これなら、ネット配信しているユーザーにも使いやすいし、DTM的にも余計なストレスがかからなくていいですよね。ちなみに、アームの動きの硬さ加減は内側のネジで調整できるので、好みの硬さにすることも可能になっています。

Blueブランドの純正マイクケーブル

このEmberおよびCompassはそれぞれ個別に購入することができますが、現在Amazon限定でEmberとCompassをセットとした製品も販売されています。価格的には個別に買うのと変わらないのですが、Blueブランドの6メートルのマイクケーブル(4,000円相当)が付属しているので、両方買うのであれば、このセットがよさそうですよ!

【製品情報】
Blue Microphone Ember製品情報
Blue Microphone Compass製品情報

【価格チェック&購入】
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