今年2月に「ついに待望のWindowsにも対応!第2世代に進化したKORG Gadget 2が発売開始」という記事でも取り上げた、KORG Gadget 2。プラグインの音源という形ではありますが、WindowsでもKORG Gadget 2のサウンドが扱えるようになりました。ただ、当時Windows版で使えたのは18のガジェットに限定されていましたが、その後、着実にアップデートを重ねていき、現在はMac版と同じ43のガジェットすべてが使えるようになりました。
また、この半年の間にMac版およびiPhone/iPad版も含め、新たなガジェットも追加されています。具体的にはセガとのコラボで誕生したリズム音源ガジェットのOtorii、タイトーとのコラボで誕生したシンセサウンド音源のEbinaの2つ。さらにELECTRIBE Waveで新規開発されたウェーブテーブル音源を搭載するWarazawa。もちろん、これらもWindowsのプラグインとして使えるわけですが、ちょうどこのタイミングでコルグはスペシャル・サマー・セールなるものを展開しており、8月31日までの期間KORGの音楽制作アプリとソフトウェアが最大50%オフとなっているのです。買うなら今がチャンスというタイミングですが、KORG Gadget 2の最新事情について紹介してみましょう。
Windows版も43種類のガジェットが揃った、KORG Gadget 2シリーズ
世界中で人気の音楽制作ツール、KORG Gadget 2。簡単な操作でEDMなどの楽曲を作っていくことができるため、幅広い層にウケているのです。どんどん複雑化していくDAWと比較し、KORG Gadget 2は基本的にステップシーケンサでソフトウェア音源を鳴らすことにターゲットを絞っているだけに、分かりやすく作りやすいのが特徴。サウンドとデザインにエッジを立てた、ほかにはないユニークな音源=ガジェットを数多く搭載しているのも、人気の大きな理由となっています。
現在、そのKORG Gadgetには
② KORG Gadget 2 for Mac
③ KORG Gadget 2 Plugins for Mac/PC
④ KORG Gadget 2 LE for iOS
⑤ KORG Gadget 2 LE for Mac
の5つのラインナップがあるほか(④と⑤は無料)、Nintendo Switchで使えるKORG Gdaget for Nintendo Switchが存在し、まさに、マルチプラットフォームでの展開がされている。
この中で、まず注目したいのがWindows版への対応についてです。具体的にいうと上記の③のKORG Gadget 2 Plugins for Mac/PCがそれにあたり、②のKORG Gadget 2 for Macを持っているユーザーは③も含まれる形になっていますよ。
Windows上のStudio One 4 Professionalに組み込んだKORG Gadget 2のプラグインの一覧
このKORG Gadget 2 Plugins for Mac/PCは名前からも分かる通り、KORG Gadget 2の各ガジェットをMacおよびWindowsのDAWのプラグインとして動かすための音源集です。MacにおいてはAU、VST、AAX、NKS (64bit プラグインのみ対応)で動作し、Windowsにおいては現状はVSTのみですが、今後のアップデートによりAAXおよびNKS対応予定とのこと。
コルグの動作確認一覧の中にはなかったがAbility Pro 3.0でも問題なく使うことができた
冒頭でも紹介した通り、最新版にアップデートすると、Windows版もついに全音源に対応し、計43ものプラグインが利用できるようになったのです。より正確にいうと音源のプラグインが40種類、エフェクトが3種類の43のガジェットですね。通常価格が19,800円で、現在セール中で14,900円。43で割ると1ガジェットあたり347円ですから、激安な価格設定ですよね。
MS-20を完全に再現するMemphis
iOS版でもMac版でも、KORG Gadget 2を使ったことのある方ならよくご存じの通り、ガジェットなんて呼び方で、カワイイ見た目ではあるけれど、まさに羊の皮をかぶったオオカミ。それぞれ、トンでもないパワーを持った音源ばかりですからね。たとえばコルグの自社シンセの復刻版でいうとMemphisはMS-20を完全に再現したもので、MontpellierはMono/Poly、PompeiはPolysixで、DarwinはM1といった具合。コルグ自らが再現しているホンモノのプラグイン音源ですから、これけでもう十分元が取れちゃうのではないでしょうか?
Polysixを再現するPompei
そして、最近Windows版に加わったのがMilpitas。これは以前「27年の時を経てベクトル・シンセシスをiOSで再現。まったく新たなシンセに生まれ変わったKORGのiWAVESTATION」という記事で紹介したiOS版のiWAVESTATIONをガジェット化したもの。昔のWAVESTATIONの音源カートリッジもすべて含まれているので、当時の音がそのまま出るのです。
WAVESTATIONを再現するMilpitas
さらに、KORG ELECTRIBE Waveで新規開発されたウェーブテーブル音源を搭載したWarszawaも追加されています。これは以前「Wobble系サウンドも自由自在。強力ウェーブテーブル音源を搭載したKORGの新世代グルーブボックス、ELECTRIBE Waveの実力」で紹介した音源で、iOS版ではELECTRIBE Waveとの連携、Mac版、Windows版では、最新版にアップデートをすることで使えるようになります。エッジの効いたサウンドをガジェットとして簡単な操作で使うことができますよ。
ELECTRIBE Waveのウェーブテーブルを搭載したWarszawa
もちろん、43ものガジェットが入っているのですから、コルグのビンテージ音源を復活させているだけではありません。ARP ODYSSEYを再現したLexington、ビンテージオルガンを再現するAlexandriaなど、昔の音源を再現させるものがあるほか、ドラム音源のLondon、Amsterdam、Abu Dhabi、ベースシンセのChicago、WobbleシンセのMiami、アンビエントシンセのHelsinki……などなど使える音源がとにかくいっぱいあるんです。
ループ素材をスライスして活用できるAbu Dhabi
また、ゲームマシンのサウンドを再現する音源が非常に充実しているというのもKORG Gadget 2の大きな特徴で、もともとKingstonというチップチューン音源があったのですが、2016年にそこにKamataという音源が追加されました。これはバンダイナムコスタジオのサウンドチームとのコラボで開発した音源であり、80年代のビデオゲームサウンドのスタンダードである「波形メモリ音源」として一世を風靡したナムコのカスタムサウンドチップ「C30」を正確に再現したものになっています。
タイトーとのコラボで誕生したシンセサイザー、Ebina
さらに、先日追加されたのが新音源がタイトーとコラボで開発したEbina、さらにはセガとのコラボで開発したOtoriiの2種類です。
まずEbinaは、タイトーのアーケードゲーム「ダライアス」の筐体をモチーフにしたデザインのガジェット。ここには「ダライアス」や「ニンジャウォーリアーズ」などのアーケードゲームからシンセサウンドを収録してあり、FM音源サウンドを中心にサンプリングしたアーケードゲームそのままの音を再現するものとなっています。実際のサウンドを聴いてみてください。
コルグの開発担当者にEbinaの特徴について聞いてみたところ
デザインはガジェットとして必要な機能を入れながら、できるだけダライアス筐体に近い形にしました。エディット画面は初代ダライアスのゲーム画面をモチーフにして、実際のゲーム画像から切り出した画像を使用して多重スクロールで背景を動かしています。
また、初代ダライアスの3画面筐体の雰囲気を出すため、3画面の位置&色味のズレも再現しました。プリセットではほとんど使用されていないですが、音源自体はフィルターやエフェクターなども搭載しているので、ぜひ自分の曲に合わせてエディットしていただけたらと思います。
と、なんとも尋常なじゃいほどのこだわりを持った答えが返ってきました。
セガとのコラボで誕生したリズム音源、Otorii
そしてもう一つのセガとコラボで開発されたOtoriiは「アウトラン」や「アフターバーナー」など80年代に人気を博したアーケードゲームを中心に、ドラムサウンドや効果音を実機から新たにサンプリングしたドラム音源。メガドライブをモチーフにした「16-BITロゴ」が懐かしいデザインのガジェットとなっています。こちらのサウンドもぜひ聴いてみてください。
このOtoriiについても、同じくコルグの開発担当者に聞いてみたら
ひと目見てメガドライブと分かるデザインが特徴です。
エディット画面では見えませんが、手前側にはちゃんとイヤホン端子も付いています(笑)
また、ゲームカセットを選ぶように音色を選ぶリスト表示も特徴です。メガドライブ版が存在していないタイトルもありますが、今回セガさんから素材を頂いてメガドライブ風のカセットを用意しました。さらに自分でエディットしたドラムキットを保存すると、黒地のカセットにマスキングテープで名前を書いたオリジナルのカセットになります。プリセットで使用していないサンプルも大量に収録されていますので、ぜひ自分だけのドラムキットを作成してみてください。
という答えが。この熱の入れようが面白いですよね。
カセットカートリッジを選ぶことでプリセット音色を切り替えるマニアックな仕様
全43種類ものガジェットを自分のDAWに組み込んで利用できるというのは、とっても魅力的だと思いますが、いかがですか?このクオリティーからすると通常価格でも、激安だと思いますが、せっかくならセール中にゲットできるとよさそうですね。
個人的に思ったのは、プラグイン音源としてだけでなく、KORG Gadgetという音楽制作ツールとしてWindows版も出てくれると嬉しいな、ということ。これについても担当者に聞いてみたところ
現時点では残念ながら、KORG Gadget 2 本体についてWindows対応の予定はありません。しかし、以前からお客様のリクエストをいただいておりますので、開発チームもお応えできるように日々様々な検討をしております。まずは、全43種類が使えるようになったKORG Gadget 2 Plugins for Mac/PCをお楽しみください!
とのことです。Windows版誕生のあかつきには、きっと、プラグイン版からのアップグレードもできると思うので、まずはKORG Gadget 2 Plugins for Mac/PCを使い倒した上で、みんなでKORGにリクエストを出してみませんか!
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