4月28日、M3-2019春(音系・メディアミックス同人即売会)が開催され、われわれDTMステーションCreativeもサークル参加するとともに、多くの方に来ていただき、無事に終えることができました。このM3に関しては以前も「実はCDが売れてないのはメジャーだけ!? 万単位の人が押し寄せ、CDを買い漁る、音系・メディアミックス同人即売会[M3]」や、「1万人超がCDを買い急ぐ、音系・同人展示即売会M3の威力」といった記事で紹介していましたが、今回もすごい賑わいでした。
そんなM3に続いて、次に控えているのは6月23日に大阪なんばで開催される音楽関連、サウンド関連の同人即売会、「音けっと」です。昨年の夏、冬に続き、今回3回目となる音けっと、M3と比較すると規模は小さいながらも、定期開催されるイベントとして定着してきているようで、すでにサークル申込枠は満了になったのだとか…。改めて同人即売会とはどんなものなのか、そして第3回目の音けっとはどんな試みをするのか、など紹介してみたいと思います。
昨年12月に行われた、第2回目の「音けっと in 大阪なんば」の会場の様子
同人、という言葉の響きから、敬遠してしまう人も少なくないと思いますが、一度M3の会場に入ってみると、きっとイメージは大きく変わると思います。ここにはロック、ポップ、テクノといった分野から、ジャズ、クラシック、民族音楽までさまざまなミュージシャンが集まり、自らが作ったCDをここで販売しているのです。
正確には「販売」ではなく、「頒布」と呼ぶのが同人の世界のルールであり、商売ではなく、あくまでも「広くゆきわたるように分かちくばること(広辞苑)」が原則。とはいえ頒布は無料である必要はなく、有料でもOKとなっているので、傍から見れば販売も、頒布も同じようなものかな……と。実際、プロミュージシャンの参加も多いですし、M3などの即売会の日をCDアルバムのリリース日に設定している人も多く、これが大きな収入源になっているという話もよく聞きます。やはり手売りは流通コストがかからない分、収益性は高いですからね。
M3の場合、毎回1000程度のサークルがブース=お店を出して、ここに並ぶCDを買うために、1万人超のお客さんが詰めかけるという光景は、何度見ても驚かされます。世の中CD不況と言われ、CDショップはどんどん潰れ、大手CDショップだって、人がまばら…という中、ブースに行列ができてCDが飛ぶように売れていくんですからね。「CD不況なんて、大嘘だ!」って思ってしまいますよ。もっとも、1000あるすべてのブースが大繁盛というわけではなく、有名サークル、著名アーティストのブースが盛り上がるわけではありますが、面白い世界です。
前回の第2回の音けっとには、DTMステーションCreativeとして多田彰文さん(左)、私(右)の二人で参加した
われわれ(私と作曲家の多田彰文さん)もDTMステーションCreativeというレーベルを作り、この1年間ちょっとで「Sweet My Heart」、「Harmony of Birds」、「Sing truly」と3枚のCDアルバムをリリースしてきました。収支がどうかというと、やはりモノによりけりで、第1弾アルバムの「Sweet My Heart」に関しては「DTMステーションCreativeでM3に初出展。滑り出しは上々!?売上情報、収支状況を全公開」という記事で赤裸々に公開しているので参考にしてみてください。
さて、「次回は大阪の音けっとだ!」と気持ちだけは準備はしていたのですが、先日いざ申し込もうと思ったら、すでに「サークル申込は無事に満了致しました」とのこと。今後申し込んだものに関してはキャンセル待ちであり、それも申し込み順での繰り上がりなんだとか……。音けっとの主催者である底辺亭底辺(@teihenteiteihen)さんに問い合わせてみたところ、現在5サークルがキャンセル待ちなので、現状6番目だそうで、残念ながら今回は難しそうな情勢です。せっかくなので、今回の「音けっと 第三楽章」についていろいろお話を伺ってみたので、紹介してみましょう。
※2019.6.19追記
告知が大変遅くなってしまいましたが、5月30日にキャンセル待ちの繰り上げ当選の連絡をいただき、参加することになりました。A-18です。どうぞよろしくお願いいたします。
--すでにサークル申し込みは定員いっぱいになっていたんですね。余裕だと思っていたので驚きました。
底辺:はい、おかげさまでトータル130サークルが定員で埋まり、現在キャンセル待ちの状態です。サークル募集自体は2月12日に開始したのですが、5月の早い段階でいっぱいになってしまいました。こんなに早く埋まったのは初めてだったので、主催者としては嬉しい反面、気が引き締まる思いです。
--やっぱり同人音楽の世界が盛り上がっているという現れですかね。
底辺:そう思います。1000サークルが出展するM3は国内最大ですが、やはり東京でのイベントであるため、関西の人にとっては、ちょっと遠いのも事実。そうした中、音けっとも3回目となったことから、少しずつ知れ渡ったのではないかな、とも思っています。もちろんサークルが集まってくれると同時に一般来場者も多く集まってほしいので、ぜひどんな雰囲気なのか覗きにきていただけると嬉しいです。
--場所は1回目、2回目と同じ場所なんですよね?
底辺:はい、以前と同様、難波御堂筋ホール・7階フロアを使います。やはり多くの方が気軽に来ることができるよう、ターミナル駅からすぐの場所にしたい、という思いからここを使わせていただいています。
地下鉄の駅直結の、難波御堂筋ホール
--今回の音けっとでは、また何か新しい試みをされるのですか?
底辺:はい、今回は「配信エリア」というものを作ってみました。ツイキャスやニコ生、YouTube Liveなど、配信希望のサークルは事前に申請いただいた場合、配信エリアにブースを設置するようにしています。募集の結果26サークルが配信エリアになる予定です。あくまでも本人や同意を得た方だけを撮ることが可能、としており、会場にカメラを向けるのはNGとしていますが、音けっと会場から配信することで、ここに来れない方にも雰囲気やその様子を少しでもお伝えできるのでは……と期待しているところです。
--まだスタートして間もないこともあり、いろいろ試行錯誤されているのが面白いですね。でもキャンセル待ちになるくらいなら、もっと大きな会場に切り替えるというのはいかがですか?
底辺:もちろん検討しているのですが、ターミナル駅のすぐそばで同様の条件で借りることができる場所があまりないんです。スカイビルが良さそうではあるのですが、ここは18禁がNG。18禁を廃止するという手はあるものの、やはり初回から参加していただいて支えてくださっているサークルもあり、「大きくなってきたので、ハイさようなら」というのは裏切り行為になるな、と。そのほかだと、ハービスホールくらいの規模になってしまって、さすがにわれわれが借りること自体困難でしょう。あとは2フロア使うという手はあるものの、こちらのスタッフが不足していて対応が難しそうです。今後、ボランティアでスタッフに参加してくれる方を募集してみるというのはありかもしれませんが…。
--第1回、第2回と、われわれDTMステーションCreativeとしても出させていただきましたが、M3とはちょっとお客さんの趣向、雰囲気も違って面白かったです。
底辺:逆質問になってしまいますが、どんな点が違ったのですか?
--M3の場合、目当てのサークルだけを目指している来場者が多い印象なのに対し、音けっとだと、いろいろなサークルを回って、いろいろ試聴しながら、気に入るものを探す方がいっぱいいたという印象です。そのため、DTMステーションをまったく知らない方がCDを買ってくださったり……。
底辺:確かに、そういう面はあるかもしれません。ただ主催者としては、もっともっと音けっとを多くの方に認知してもらい、来場者を増やしていきたいと思っています。同人即売会とはどんなものなのか、様子を覗きに来てもらったり、ちょっとした冷やかしも歓迎です。その上で、いろいろなサークルを見て回ってもらえるといいですね。
--ところで前から気になっていたのですが、同じ会場でやっている「銭けっと」という大会は音けっとの関連のイベントなんですか?
底辺:こちらはIT技術や学術の即売会・ライトニングトーク大会です。音楽とは直接的に関係ないものの、IT業界の先進的な手法は音けっとにフィードバックできていると思います。
--DTMもIT技術なしには成立しませんものね。
底辺:はい。 これからも他分野の優れた要素を音けっとに積極的に取り入れていく所存です。まずは、6月23日、多くの方のご来場をお待ちしております。
【音けっとイベント情報】
開催日:2019年6月23日
時間:12:00~16:00
場所:難波御堂筋ホール 7階
大阪市中央区難波4-2-1難波御堂筋ビルディング
参加費:1,000円
【関連情報】
音けっとin大阪なんば
未来プロダクション
【Twitter】
底辺亭底辺さん(@teihenteiteihen)
音けっとin大阪なんば公式(@doujinonnsei)
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