毎年この季節にドイツ・ベルリンで行われる、世界最大のシンセサイザーの祭典、SUPERBOOTH(スーパーブース)。 2016年からスタートしたイベントなので、今回が4回目となるもので、今年も数多くのハードウェアシンセ、ソフトウェアシンセ、さらにはDAWに関連する新製品が登場する模様です。この分野の新製品が登場するイベントの注目度としては、ドイツで行われるmusikmesseはもちろん、すでにアメリカでのNAMM Showを超えているかもしれません。
そのSUPERBOOTHを2016年のスタート時から毎年、現地からリアルタイムレポートしているのが、Rock oNサイト。数多くのレコーディング機材を扱うRock oN渋谷店の店員である「ACID渋谷」こと渋谷隆了さんが現地からレポートしており、今年も5月10日から3日間詳細レポートが掲載される予定です。すでに発表が予定されている製品や、すでに発表がリークされているものなどもあるようなので、SUPERBOOTH開催直前ではありますが、今年のチェックポイントを見てみましょう。
NAMM Show、InterBEE、NAB Show、prolight+sound、Synthplex、AES……と世界中のイベントを現地にスタッフが飛んでリアルタイムレポートをしているRock oN。以前は毎年レポートしていたドイツ・フランクフルトのmusikmesseを取りやめて、ベルリンのSUPERBOOTHに切り替えている辺りからも、世界の展示会状況が読み取れそうですが、渋谷さんによれば、今年のSUPERBOOTHも活況になりそう、とのこと。
昨年のSUPERBOOTHの様子
今回の出展数は232。馴染みあるところでは、Ableton、Arturia、Behringer、Genelec、IK Multimedia、Image-Line、Native Instruments、Novation、Presonus、RME、Softube、Steinberg、Universal Audio、Zynaptiq……などそうそうたるメーカーが並んでいますね。もちろんKORG、Yamaha、Roland、ZOOMといった日本のメーカーが出展しているほか、ReonやSonicwareといった日本ベンチャーも出展しているのが頼もしいところでもあります。
今年もRock oNの渋谷さんがSUPERBOOTHをレポートしていく
さて、その今年のSUPERBOOTHで注目すべき製品、メーカーとして渋谷さんがピックアップしているのが以下の5つです。
①Native Instruments MASSIVE X
6月リリース予定のMASSIV XがSUPERBOOTHでお披露目に
多くのDTMユーザーにとって、待ち遠しい存在なのがNative Instrumentsが今年6月にリリースする予定のアナログモデリングのソフトシンセ、MASSIVE Xでしょう。まだ発売までは1か月程度ありそうですが、ついに、その姿がSUPERBOOTHでお披露目される模様です。以前にもお伝えした通り、MASSIVE Xは従来のMASSIVEとは別ラインナップとして登場する音源であって、MASSIVEがなくなってしまうわけではないので、ご安心を。NIが公開しているブログ情報によれば、GUI中央の「NOISE」セクションには天気予報の様な雨と雲のアイコンと、海のようなアイコンがあります。通常モジュレーションソースのノイズといえば、ホワイトノイズやピンクノイズなどのメカニカルなノイズですが、MASSIVE Xに搭載されたノイズジェネレーターは自然の雨の様な性質を持っており非常に有機的なサウンドモジュレーションが得られるのだとか……。すでにKOMPLETE 12(またはULTIMATE、COLLECTOR’S EDITION)を持っているユーザーなら、無償ダウンロード可能となるので、楽しみですね。
②Superlative Instruments SB-1/Space Bee
かなり薄いボディーに見えるRoland SH-101インスパイアのシンセ、SB-1
Rolandの名機、SH-101をBehringerが復刻させたMS-101が発表され、国内での発売も間近と思われますが、その対抗馬としてSB-1という製品がリリースされるようです。これはCurtis Electromusic SpecialtiesのCEM3340というVCOチップのレプリカを使った音源とのこと。3340のレプリカチップといえば、CoolAudioのV3340(これもBehringerの子会社のチップですね)の可能性が高いわけですが…、MS-101とどう違うのか、そして価格がどうなっているのかが気になるところ。ちなみにUSB、MIDI、CV/GATEの入出力を備えているという点でも良さそうです。
③Analogue Solutions Impulse Command analogue synthesizer
Analogue SolutionsのImpulse Command
これまで数多くのアナログシンセ、シーケンサ、シンセモジュールを生み出してきたイギリスのマニアックなメーカー、Analogue Solutions。同社がまた新しいアナログシンセ、Impulse Commandなるステップシーケンサー搭載のセミモジュラーアナログシンセをリリースする模様です。完全なるアナログ部品で構成された1970年代のレトロサウンドのシンセとのこと。2VCO、2FLO、2VCA(ローパス)、4VCA、2EG…といった構成で、MIDIの入力も装備、イギリスでの価格は£849となっているので、日本円では123,000円といったところ。ぜひ、そのサウンドを聴いてみたいところです。
④E-RM / polygogo oscillator
E-RMのオシレーターモジュール、polygogo
E-RMといえば日本ではハードウェアユーザーに人気のある高精度なクロックジェネレーターのmidiclock+などがあります。今回はそのE-RMが開発したオシレーターモジュール、polygogoが登場する模様。このpolygogo、ちょっと妙な名前ですが「polygonal」(多角形の)が語源のようで、グラフィカルな表示を見ながらパラメーターをエディットする新しいコンセプトのオシレーターなのだとか。どんなものなのか、渋谷さんのレポートを期待したいところです。
⑤Endorphin.esの新製品モジュール
Endorphin.esは今年も新製品をリリースするとのこと。昨年は漆黒のボディに凶暴なCR-78サウンドを詰め込んだBLCK_noirを発表してファンを驚かせましたが、今回もブラックカラーのモジュールが出るとのこと。6HPの小型のもので名前がGodspeed?のようなものなのだとか……。Instagramにはディザーがアップされているので、どんなものになるのか期待したいところです。
これら渋谷さんがピックアップした5つ以外にも、海外からはリーク情報も、いろいろと漏れ聞こえてきています。私も正確な情報はまったくもっていないものの、KORGが同社の真空管、NuTubeを搭載した、新volcaシリーズを投入するという情報も……(出元不明画像の掲載は控えておきますね)。またBehringerも、楽しそうな新製品を投入してきそうなので、ここも期待したいところ。
いずれにせよ5月10日以降、Rock oNサイトで、渋谷さんによるSUPERBOOTH製品レポートがどんどん上がってくるので、チェックすると面白そうです。そうした中から、実際に入手した製品をDTMステーションでもレポートしていきたいと思ってます!
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