DTM界隈ではこの時期Black Fridayのセール情報が飛び交っていますが、ここに来て、またちょっと変わった情報が飛び込んできました。いつも価格設定を間違えているとしか思えない値付けをしてくるソースネクストが、さらにすごい価格設定でのセールを実施しているのです。それがMAGIXのSOUND FORGEの1つ前のバージョン、SOUND FORGE Pro 17およびSOUND FORGE Pro 17 Suiteを11月29日~12月12日までの2週間限定で復活販売させる、というもの。旧バージョンということもあり、SOUND FORGE Pro 17は87%オフの4,980円(税込)、SOUND FORGE Pro 17 Suiteのほうは85%オフの8,980円という激安価格です。
が、ここで妙なのが後者のSOUND FORGE Pro 17 Suiteのほう。これには波形編集ソフトであるSOUND FORGE Pro 17のほかに、iZotope Ozone 11 Elements、iZotpe RX 10 Elements、Celemony Melodyne 5 essentialがバンドルされているほか、DTMステーションでもこれまで何度も取り上げてきた魔法のサウンド編集ソフト、SteinbergのSpectraLayers Proも付属してきます。ソースネクストのページを見ると、これも前バージョンのSpectraLayers Pro 10と記載されているのですが、実はつい先日リリースされたばかりの新バージョンSpectraLayers Pro 11(41,800円 現在ブラックフライデーセール中で40%オフの25,080円)を入手できることを確認しました。この新バージョン、AI音源分離機能が大きく進化しており、2ミックスされた楽曲を7種類のステムに分離できたり、さらにドラムトラックをキック、スネア、ハイハット、シンバルに分離できるなど、とにかく高性能に進化しているのです。SOUND FORGE自体はWindows専用のソフトですが、SpectraLayersのほかにもOzone、RX、MelodyneもWindows/Macハイブリッドなので、Macユーザーが購入して本体であるSOUND FORGEを使わない、というのもあり。実際どういうことなのか見ていきましょう。
※2024.12.1 9:00追記
記事一番下にあるコメント欄に昨日から、「SOUND FORGE Pro 17 Suiteを購入したけれど、SpectraLayers Pro 10のシリアルなどが入っていなかった」という書き込みが複数来ておりました。SpectraLyaersなどのシリアル情報はメールではなく、ソースネクストのマイページにあるのではないかと思うのですが、現在状況をソースネクストに確認中です。分かり次第、追記する形でお知らせします。
※2024.12.1 15:30追記
ソースネクスト担当者に確認したところ、ソースネクスト側でも問題が出ていることを確認できた、とのこと。MAGIX側の問題の可能性もあるとのことで現在調査を進めてもらっています。詳細が分かり次第、改めてご報告いたします。
※2024.12.2 14:00追記
ソースネクストのSOUND FORGEのページにおいて「お詫びとお知らせ」としてトラブルが起きていることが記載されています。MAGIX側との連絡など、現在対応をしているようですが、まだ具体的な内容は見えていません。分かり次第お知らせいたします。
旧バージョンがセールで発売されるという異例
ソースネクストからSOUND FORGEの旧バージョン、SOUND FORGE Pro 17およびSOUND FORGE Pro 17 Suiteが2週間限定のセール販売が実施されています。具体的な価格は
SOUND FORGE Pro 17 Suite
です。当然最新版のSOUND FORGE Pro 18およびSOUND FORGE Pro 18 Suiteも販売されていて、こちらの価格はSOUND FORGE Pro 18が39,800円、SOUND FORGE Pro 18 Suiteが59,800円となっていて、新旧バージョンが併売という形になっています。
円安の影響なのか、ここ最近SOUND FORGEも新発売キャンペーンや特価セールでも、以前ほど安くないなぁ……と思っていましたが、今回はソースネクストらしい激安が戻ってきた、という印象でもあります。
個人的にはSOUND FORGEを30年近く愛用している、ということもあって、DTMステーションでもたびたびSOUND FORGEを取り上げてきましたが、これまで旧バージョンが販売された、ということはなかったように思います。DTMソフトウェアというか、そもそもソフトウェア全般において、旧バージョンのソフトが販売される、ということはあまりないのではないでしょうか?
確かに店舗において在庫処分として、売れ残りのパッケージソフトが販売される、ということはよくあります。しかし、今回ターゲットとなっているのは箱で売られているパッケージソフトではなく、ダウンロード版。一般的にいって、ソフトウェアの開発元は新バージョンを出したら、旧バージョンの出荷を停止して、新バージョンに切り替えるので、今回のセールはちょっと珍しいケースだと思います。
SOUND FORGE自体は17でも18でも大きな違いはないかも…
そのSOUND FORGE Pro 17に関しては「最先端AI音声処理技術をふんだんに盛り込んだSteinberg SpectraLayers Pro 10がSOUND FORGE Pro 17 Suiteのオマケとして手に入る」という記事で、またSOUND FORGE Pro 18に関しては「商用利用もOK。AI音声合成や膨大な音素材ライブラリも使える定番波形編集ソフト、SOUND FORGE Pro 18誕生」という記事で紹介していました。
まあ、バージョンが上がるたびに新機能が追加されてきています。実際、上記の18の記事をご覧になっても分かる通り、17から18に変わった際の新機能として各国語に対応したTTS=音声合成機能が搭載され、テキストを入力すると喋らせることが可能になっています。まあ、面白い機能だとは思いますが、ずんだもんなどを喋らせることができるVOICEVOXが無料で入手できるいま、海外製の音声合成機能が欲しいという人はそれほどいないように思います。そもそも、波形編集機能を目的に購入する人にとって、こうした機能が必要なのか……というと、ちょっと疑問にも思うところ。
もちろん非常にサクサク動く波形編集ソフトとしてみると、SOUND FORGEにかなうものはない、と断言していいほど、よくできたソフトではあります。その波形編集ソフトとしての部分だけを見れば、SOUND FORGE Pro 17でもSOUND FORGE Pro 18でも、そう大きく変わらないので、SOUND FORGE Pro 17で十分という感じもします。
一方で、SOUND FORGE Pro 17およびSuite、SOUND FORGE Pro 18およびSuiteでバンドルされるソフトが若干異なります。それをまとめると以下のようになっています。
SOUND FORGE Pro 17 | SOUND FORGE Pro 17 Suite | SOUND FORGE Pro 18 | SOUND FORGE Pro 18 Suite | |
SOUND FORGE Pro 17 | 〇 | 〇 | ||
SOUND FORGE Pro 18 | 〇 | 〇 | ||
iZotope Ozone 11 Elements | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
iZotope RX 10 Elements | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
Celemony Melodyne 5 essential | 〇 | 〇 | ||
Steinberg Spectralayers Pro 10 | 〇 | 〇 |
これを見てもSOUND FORGE Pro 17と18の間でそれほど大きな違いがないことは分かると思います。
Steinbergのグレースピリオド制によりSpectraLayers Proの最新版が入手可能!!
さて、ここからが今回の本題。ソースネクストの販売ページにおいても、SOUND FORGE Pro 17 SuiteにバンドルされるSteibergのソフトはSpectraLayers Pro 10と記載されています。実はこれはSOUND FORGE Pro 18 Suiteも同様です。
ところが、そのSpectraLayers、ご存じの方もいると思いますが、Steinbergがつい先日、10月2日にバージョンアップを発表しており、SpectraLayers 11にバージョンアップしているのです。ラインナップとしては最上位のSpectraLayers Pro 11、通常版のSpectraLayers Elements 11、それにCubase付属のSpectraLayers Oneの3種類がありますが、ここで注目すべきはもちろん最上位のSpectraLayers Pro 11についてです。
Cubaseなども同様ですが、Steinbergはグレースピリオドという制度を取り入れており、新製品が登場すると、その発表の少し前に購入した人(正確にはオンラインアクティベートした人)には最新版をライセンスする形をとっています。これにより、新バージョンが発売された後に旧バージョンをアクティベートすると、自動的に新バージョンに切り替わるようになっているのです。
これがSpectraLayers Proにおいても同様なのではないかと思って、実際に試してみました。手順としてはSteinberg Download Assistantをインストールの上、画面左上のダウンロードアクセスコードを入力という欄に、ソースネクストから得た、SpectraLayers Pro 10用のコードを入力するのです。
その結果は以下の通り。思った通り、SpectraLayers Pro 11をグレースピリオド適用ということでGETすることができました。その後、このSteinberg Download AssistantでSpectraLayers Pro 11をインストールするとともに、Steinberg Actvation Managerでアクティベートすることで無事、SpectraLayers Pro 11を起動させることができました。
AI音源分離機能を強化し、最高性能を誇るSpectraLayers Pro 11
では、そのSpectraLayers Pro 11は、SpectraLayers Pro 10と比較してどんな機能が強化されているのか。詳細は、Steinbergの新機能紹介ページ(https://www.steinberg.net/ja/spectralayers/new-features/)に詳しく出ているので、そちらを参考にしていただきたのですが、SOUND FORGE Proが17から18に進化したのとは比較にならないほど、多くの機能が強化されているんです。
最大のポイントはAIによる音源分離機能の進化です。この機能については各社が競っているところですが、現在最高性能を誇るのがこのSpectraLayers Pro 11。中でも、2ミックスされた音源をステム分離する機能は、他社製品と比較して、断然進んでいます。現状あるほとんどの製品はボーカル、ドラム、ベースとその他の4種類の分離となっているのに対し、SpectraLayers Pro 11では
ドラム
ギター
ピアノ
サックス&ブラス
ベース
その他
の7種類に分離することができるのです。以下のそのデモビデオがあるのでご覧ください。英語での解説ではあるけれど、楽曲の分離ですから音だけ聴けば十分理解できると思います。
しかも分離されたドラムトラックをさらにドラム分離機能を用いることで
スネア
ハイハット
シンバル
に分離していくことができます。
さらにボーカルをリードボーカルとバッキングボーカルに分けるコーラス分離機能も新搭載。またコンサート音源などから舞台上の音楽と歓声や拍手など観客からの音を分離するといった機能も搭載されているのです。ここまでの分離ができるソフトは現在ほかになかったと思います。
一方でステレオまたはマルチチャンネルのオーディオファイルをミッド/サイドのコンテンツレイヤーに分離する機能が搭載されたり、音楽用途ではないけれど、複数の人の話し声をそれぞれの人ごとに分離する機能なども新たに追加されているのです。
こうしたAI音源分離機能においては、SpectraLayers Pro 11がまさに最先端を行っており、この機能だけを目的に、SOUND FORGE Pro 17 Suiteを購入しても安すぎるほど。2週間のみの限定復活販売ですので、お見逃しなく。
【関連情報】
SOUND FORGE Pro 17 Suite製品情報
SOUND FORGE Pro 17製品情報
SpectraLayers Pro 11製品情報
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