さまざまな機器、ソフト・アプリの仲介役となるゲートウェイとして機能するRolandのA-01
数量限定販売ということで、昨年末、慌ててBoutiqueシリーズを購入したという人も少なくないと思います。私も懐かしさいっぱいでJUNO-106を復刻させたJU-06を購入したのですが、今回登場したA-01はそれらとはだいぶ方向性が異なる製品になっています。
実際の機能解説に入る前に、製品構成について紹介しておくと、国内で発売されるのはA-01K(市場想定価格52,000円:税別)というもので、A-01本体と従来から発売されている合体式キーボードのK-25mをセットにしたもの。個人的にはK-25mはすでに持っているので、無くてもよかったのですが、現時点でA-01単体の発売される予定はないみたいですね。また、A-01は限定発売ではなく、今後も継続的に販売していくラインナップとなっているようです。
さて、そのA-01、確かにモノフォニックのシンセサイザー機能も搭載されているので、楽器として使うことも可能ですが、それはむしろ付加価値的な機能。メインとなるのは、A-01を中心にさまざまな機器と接続し、HUBとしてその仲介をするというものなんです。
これだけを見ても、まだどう使うのかイメージしにくいかもしれませんね。例を示しながら、その活用方法を考えていきましょう。
まず、このA-01は電源は他のBoutiqueシリーズと同様、単三電池×4本かmicroUSBでの供給となっており、A-01単体での起動は可能です。ただDTMユーザーであれば、WindowsやMacとUSBケーブルで接続することで、電源供給できると同時に、MIDI機器として接続できるようになっており、WindowsでもMacでもドライバ不要で認識されます。
一方、A-01はBluetooth LEを使ったMIDI接続にも対応しています。「MIDI over Bluetooth LE」という最近各社が出し始めているのと同じ仕様となっているので、iPadやiPhoneとの接続ができるのです。たとえばGarageBandでは、設定メニューの詳細にある「Bluetooth MIDIデバイス」を選ぶことで接続が可能です。
ここでユニークなのは、PCと接続しながら、MIDI over Bluetooth LEでの接続も同時にできている、という点なんです。そして、A-01を介して、PCとiPadやiPhoneが接続されているんですよ。つまり、PC上でDAWを動かし、MIDIの出力先をA-01に設定すると、iPadやiPhoneの音源も鳴らすことができるんです。
A-01のリアパネル。左からmicroUSB、ヘッドホン出力、CV出力、GATE出力、MIDI OUT/INと各種端子が並ぶ
またMIDI INにMIDIキーボードを接続すれば、このMIDIキーボードの演奏でPCのDAWへリアルタイムレコーディングすることもできるし、Bluetooth LEを介してiPad/iPhoneで動いている音源アプリを弾くこともできるわけです。
ただしCV/GATEにはRolandをはじめとする多くのメーカーが採用しているV/OctとKORGなどが採用しているHz/Vの大きく2種類の規格がありますが、A-01が採用しているのはV/Oct。実際、手元にあるArturiaのMicroBruteに接続してみたところ、これで完全にコントロールできますね!もっとも先ほどの図を見ても分かる通り、CV/GATEに関しては一方通行となっています。
接続についてある程度、分かったところで、面白いのはここからです。まずは前述のとおり、A-01には内部にJX-3Pなどの開発を担当したエンジニアによって生み出された8bit CPUシンセサイザーが搭載されています。アナログモデリングによるモノフォニックのシンセサイザーなので、利用シーンはある程度限定されそうですが、プリセット音色も用意されており、16トーン(8トーン×2バンク)でのメモリも可能になっているため、結構楽しく使えますよ。A-01に接続されたPCやiPhone/iPad、MIDIキーボードなどの機器から見れば、一つの音源として利用できるわけですね。
A-01をさまざまな機器のHUBである、ゲートウェイであるという見方をすれば、8bitCPUシンセサイザーも16ステップシーケンサもデバイスの一つとみなしたほうが、分かりやすいかもしれませんね。その意味で、あえて別デバイスのように先ほどの図に書き加えてみると、このようになるわけです。
ここはMIDIのチャンネルを活用できるようになっています。デフォルトの設定ではすべてがONとなっているので、K-25mの鍵盤を弾けば、8bitCPUシンセサイザーも、iPhone/iPadの音源も、CV/GATE接続のアナログシンセも全部鳴ってしまうのですが、どの信号をどのMIDIチャンネルに割り振るかを設定できるパッチ割り当て機能が用意されているんです。たとえば、8bitCPUシンセサイザーは1ch、CV/GATEは2chのように設定すれば、DAWから鳴らしわけができますよね。
また16ステップシーケンサの出力をどのMIDIチャンネルに割り振るかの設定もできるようになってますよ。もちろんMIDI機器やBluetooth LEで接続しているiPhone/iPadのアプリ音源は、そちら側でMIDIチャンネル設定はできるはずですから、それぞれ別々にコントロールできますね。しかも、A-01では、その設定を16パッチ(4バンク×4パッチ)までメモリーすることができるので一度設定してしまえば、用途に合わせたコントロールが可能になります。
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Roland A-01製品情報
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