KORGからUSB接続のミニキーボード、microKEYの新型モデル、microKEY2シリーズ全8製品が発表されました。現行モデルの後継となるmicroKEY2と、これをベースにBluetooth LEを使ったワイヤレス機能も追加したmicroKEY Airの大きく2種類で、それぞれ25鍵、37鍵、49鍵、61鍵の4種類がある、という構成となっています。
従来のmicroKEYがWindows/Mac用のキーボードであったのに対し、新型のmicroKEY2はiPadやiPhoneとの接続が可能になったのが大きなポイント。中でもmicroKEY Airは、新しいキーボードのありかたを予感させるユニークな製品になっています。ただ、microKEY Airは2016年1月下旬発売とのことで、しばらく先。実機もまだお借りすることができなかったので、microKEY2のほうを使ってみました。
iPhoneやiPadと接続して使えるKORGのUSB-MIDIキーボード、microKEY2
数多くのメーカーからUSB-MIDIキーボードが発売されている中、さまざまなバリエーションのキーボード製品を展開していることもあって、国内で圧倒的なシェアを持っているのがコルグです。先日のDTMステーションのアンケート「DTM用のMIDIキーボード、使うならどのメーカーがいい?」でも一位を獲得していましたが、たくさんのバンドルソフトが用意されているのも大きな人気の理由となっているようです。
2015年6月に行ったDTMステーションのUSB-MIDIキーボードのシェア調査ではKORGが1位だった
具体的には、とってもコンパクトなnanoKEY2、弾きやすいミニ鍵盤のmicroKEY2、以前「全部入りUSB-MIDIキーボードコントローラ、KORG taktileを使ってみた」という記事でも紹介したtaktileなどがあります。しかもnanoKEY2以外では鍵盤数のバリエーションが用意されていたり、taktileに至っては音源搭載版もあるなど、なかなか豊富なラインナップとなっているわけですが、今回、そのmicroKEYがmicroKEY2となったのです。
microKEY2のラインナップと価格、発売時期は以下のとおり。
microKEY-25:オープンプライス (市場想定価格 ¥7,000前後)1月下旬
microKEY-37:オープン(市場想定価格¥11,000前後)11月中旬
microKEY-49:オープン(市場想定価格¥14,000前後)11月中旬
microKEY-61:オープン(市場想定価格¥17,000前後)11月中旬
microKEY Air-25:オープン(市場想定価格¥11,000前後)2016年1月下旬
microKEY Air-37:オープン(市場想定価格¥14,000前後)2016年1月下旬
microKEY Air-49:オープン(市場想定価格¥17,000前後)2016年1月下旬
microKEY Air-61:オープン(市場想定価格¥20,000前後)2016年1月下旬
個人的には、やはりmicroKEY Airが気になるところですが、実際にモノが触れるのはまだしばらく先。一方のmicroKEYのほうも、見逃せない点がいっぱいです。
新型のmicroKEY2(上)と旧型のmicroKEY(下)。いずれも37鍵
パッと見は、あまり変わらないのですが、左サイドを見てみると、違いが見えてきます。旧型はUSBハブ機能があり、ここにドングルキーを挿すといった使い方ができたのですが、新型にはUSBハブ機能がなくなっています。
新型(左)にはUSBハブの端子がなくなり、ダンパーペダル端子が搭載された。右が旧型
そういうと、スペックダウンのようにも思えてしまいますが、結果として使用電力が大きく減少したためiPad、iPhoneでも使えるようになったのです。接続する場合には、Lightning-USBカメラアダプタが必要にはなりますが、これは大きなメリットですよね。
Lightning-USBカメラアダプタ経由でiPhoneやiPadと接続できるようになった
さらにUSBハブの端子がなくなったスペースにはダンパー・ペダル用の端子が設けられたので、ペダルをつけての演奏ができるようになったというのは、とても大きなメリットではないでしょうか?ちなみに、ペダルには、極性があり、コルグ用のものはローランド用・ヤマハ用とは逆になっています。
ダンパーペダルとの接続が可能になった。逆極性のペダルでも自動認識して正しく接続できる
ただし、microKEY2は、どちらのタイプのペダルが接続されたかを自動的に判定した上で、それに対応する形に切り替わるため、極性が異なるペダルを接続しても大丈夫。もし、必要あれば、ユーティリティソフトとして配布されているKontrol Editorを使うことで手動で極性を設定することもできるようになっています。
なお25鍵、37鍵、49鍵、61鍵と4種類があるうち、25鍵だけはデザイン、機能に少し違いがあります。これはダンパーペダルとの接続端子がなく、代わりにSUSTAINというボタンが用意されていたり、ピッチホイール、モジュレーションホイールの代わりにジョイスティックが搭載されています。
iPhone版のKORG Moduleが誕生。無料のKORG Module Leもある
さて、実はこのmicroKEY2が発表と合わせて、嬉しいソフトシンセのアプリが誕生しました。「iPadは楽器だ!高品位音源アプリKORG Moduleを弾きまくれ!」という記事でも紹介したことのあったKORG Module for iPadのiPhone版および、それらの無料版です。具体的には
・KORG Module for iPhone
・KORG Module Le for iPad
・KORG Module Le for iPhone
の3種類が新たに誕生したのですが、それぞれのスペックの違いを現したのが以下の表です。
for iPad | for iPhone | Le for iPad | Le for iPhone | |
価格 | ¥4,800 11月30日までは¥3,600 |
¥3,600 11月30日までは¥2,400 |
無料 | 無料 |
デバイス | iPad Air 2、iPad mini 4、iPad mini 3、iPad Air、iPad mini 2、iPad 第4世代、iPad 第3世代、iPad 2、iPad mini | iPhone 6s、iPhone 6s Plus、iPhone 6、iPhone 6 Plus、iPhone 5s、iPod touch 第6世代 | iPad 通常版と同様 | iPhone通常版と同様 |
デバイスと発音数の目安 | iPad Air 2、iPad mini 4:72音 iPad Air、iPad mini 3、iPad mini 2:64音 iPad 第4世代:48音 iPad 第3世代、iPad 2、iPad mini:32音 |
iPhone 6s、iPhone 6s Plus:112音 iPhone 6、iPhone 6 Plus:72音 iPhone 5s、iPod touch 第6世代:64音 |
iPad 通常版と同様 | iPhone 通常版と同様 |
総プログラム数 | 100プログラム | 100プログラム | 1プログラム ※コルグMIDIコントローラーとの接続時、5プログラム |
1プログラム ※コルグMIDIコントローラーとの接続時、5プログラム |
エクスパンション・サウンド・ライブラリ | ◯ | ☓ | ☓ | ☓ |
2D画面 | ☓ | ◯ | ☓ | ◯ |
KORG Gadgetとの連携 | ◯ | ☓ | ☓ | ☓ |
セット・リスト機能 | ◯ | ◯ ただし、以下の機能は除く ・画像/PDF楽譜表示 ・内蔵カメラによるメモなどの撮影 ・メモを書けるテキストエディット ・テキストファイル読み込み |
☓ ※コルグMIDIコントローラーとの接続時、iPad通常版と同様 |
☓ ※コルグMIDIコントローラーとの接続時、iPhone通常版と同様 |
MIDIプレーヤー | ◯ | ☓ | ☓ | ☓ |
オーディオ・レコーディング | ◯ | ☓ | ☓ | ☓ |
オクターブ制限 | 制限無し | 制限無し | C2~C6(4オクタープ) ※コルグMIDIコントローラーとの接続時、制限無し |
C2~C6(4オクタープ) ※コルグMIDIコントローラーとの接続時、制限無し |
要するにiPad・iPhone両用のユニバーサルアプリではなく、それぞれ別のアプリとして誕生するとともに、無料のLe版が出たというわけなのです。
ここでユニークなのは無料版のLeに施された仕掛けです。このアプリ自体は無料なので、誰でもダウンロードすることができますが、ただダウンロードしただけだと、使えるのはアコースティックピアノ1音色だけに制限されています。
ところが、ここにmicroKEY2をはじめとするコルグMIDIコントローラーと接続すると先ほどのアコピに加え、エレピ、オルガン、クラビ、ストリングスの計5音色が使えるようになるんですね。また利用できる音域も無料版のLeはC2~C6の4オクターブに制限されていますが、microKEY2などを接続すると無制限になるんです。
この2点を除けば、すべて通常版と同じ機能となっているので、Moduleのすごさを体験するにはとってもいいアプリですよ。なお、iPhone版にはiPad版にはない2D画面が用意されています。1つのキーを押すだけでコード演奏も可能な2D画面は、画面サイズの小さいiPhoneでも弾きやすくするために、用意されているようです。
このように無料版のModule Leを存分に利用できるのがmicroKEY2の魅力でもあるのですが、もちろんPCとの相性の良さも抜群です。microKEY2自体はクラスコンプライアントなデバイスなので、WindowsでもMacでもドライバなしで接続することができ、各種DAWで使うといったことが可能です。
microKEY2の細かな設定が行えるKontrol Editorも用意されている
また前述のKontrol Editorを用いることで、ベロシティーカーブを変化させたり、モジュレーションホイールの動きを調整するなど、さまざまな設定ができるのもmicroKEY2のフレキシビリティーの高さといえると思います。
※Kontrol Editorの新バージョンはmicroKEY2の発売に合わせて11月中旬より配布開始となります。
付属するライセンスカードに記載されているコードを利用することでM1Leなどを無料でダウンロードできる
さらに、microKEY2の箱の中に入っているライセンスカードに記載されたコードを利用することで、コルグのサイトからさまざまなソフトウェアをダウンロードできるようになっているのも重要なポイントです。具体的には
・M1Le【ソフトウェアシンセサイザ】
・Lounge Lizard Session【エレクトリックピアノ】
・Ultra Analog Session【アナログモデリング音源】
・Strum Session【ギター物理モデリング音源】
・Reason Limited【音楽制作ソフト】
・Digital Synsation【ソフトウェア音源】
・Liveディスカウントクーポン【DAW】
の7つ。いずれも強力なツールがズラりと並んでいます。調べていただければわかるとおり、単体で販売されているソフトもあり、その価格を考えれば、microKEY2代は十分元が取れちゃいそうですよね。
ソフトシンセ、シーケンサ、エフェクトを装備し、オーディオレコーディングも可能なReason Limited
なお、Bluetooth LEで接続するmicroKEY-Airは、また実機が入手でき次第、レポートする予定ですのでお楽しみに。
【価格チェック】
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