DTMに必須のハードといえばPC、オーディオインターフェイス、そしてUSB-MIDIキーボードでしょう。USB-MIDIキーボードは決して派手な機能を持つ機材ではありませんが、DAWを使う上でなくてはならないし、その機能、使い勝手がDAWの操作性を大きく左右する重要なアイテムです。
各社からいろいろな製品が発売されているので、どれを選ぶかは難しい問題ですが、先日、KORGから発売されたtaktile(タクタイル)は、キーボードとしての機能はもちろんながら、コントロールサーフェイスとして、ドラム入力などに使うパッドとして、さらにKaossilator的デバイスとして使うことができます。また搭載しているX-YパッドをPCのマウス替わりに使う機能まで用意されているなど、まさに全部入りの新世代キーボードなのです。どんなものなのか気になっていたので、KORGにお願いして借りてみたので、使用感などを紹介してみたいと思います。
借りたのは49鍵盤のtaktile-49(39,800円前後)。ほかに25鍵盤のtaktile-25(29,800円前後)、そして4月末に発売予定のTRITON taktile-49、TRITON taktile-25というのもあります。音源搭載のTRITON taktileも気になっているところなんですが、それはまた改めてにしましょう。
私のデスクトップに置いてみると、ちょうどピッタリなサイズ。といってもキーボード演奏、そんなに得意なわけではないからtaktile-25でよかったかな……、とも思ったのですが、セミ・ウェイテッド鍵盤ということで、やや重めな気持ちのいいキーボードです。
サイドパネルにUSB端子とMIDIの入出力、ペダルスイッチ用の端子がある
KORGのnanoKEY2やmicroKEYなどと同様、ドライバ不要でUSBケーブルをPCに接続すればすぐに使えるのがまず便利な点。もちろん電源もUSBからの供給で動作します。先に本題ではないけれど、非常に気に入った点からいうと、このUSBをPCではなく、ACアダプタに接続しても動くというところです。この場合、スタンドアロンのMIDIキーボードとなり、MIDI端子で外部機器と接続できるんです。最近、みんなUSB-MIDIキーボードばかりになって、普通のMIDI鍵盤がなくて不便に感じていたのですが、これは結構使えそうです。
Scene設定で、さまざまなDAWのプリセットを選ぶことができる
では、本題です。taktileの中央部分にはとても小さいけど白い液晶ディスプレイがあり、ここでモード設定や動作状況のチェックができるのが、大きな特徴となっています。初期設定はBasic MIDIという標準モードですが、シーンを切り替えることで
Cubase、
Digital Performer
Live
GarageBand/Logic
SONAR
の各DAWのモードにすることができ、それぞれのDAWですぐに使えるようになっています。もちろん、ほかのDAWでも利用できるし、ユーティリティソフトを使うことで、自分にマッチした内容に自在にカスタマイズすることができるんですね。
ちなみに、パラメータの選択やトランスポーズの設定などはボタンを使うのではなく、バリュースライダーというタッチパッドを使うのがちょっと新鮮な感じです。最初マニュアルを見ずに使った際、+/-ボタンなどがあるのか探してしまいましたが、使ってみると扱いやすいですね。
フェーダーやツマミを触ると、DAWのコンソールが動く
ここでは、Cubaseを選ぶとともに、Cubase側の設定でMackie Controlを指定してみたところ、まずトランスポーズ関係は、すぐに使うことができるし、フェーダーやその上のツマミを回すと、それぞれトラックの音量、パンをいじることができるようになっています。またフェーダーの下のボタンを押すことで、トラック選択もできるので、マウス操作と比較すると断然Cubaseが扱いやすくなります。
トリガーパッドを使ってドラムを叩くことができる
こうした操作をしながらも、もちろん鍵盤を弾くことができるのですが、鍵盤が上手ではない私にとっても、演奏に使える機能がいろいろあります。まずは右に16個並んでいるパッドをドラムパッドとして叩くことができます。一般的なMIDIドラム音源のキーが設定されているので、特に設定することなく、すぐに使うことができ、ベロシティーもしっかり効いてくれます。
また、ARPと書かれたアルペジオボタンをオンにすると、このパッドを押した際の色が赤ではなく緑に変わり、アルペジオ演奏がされるのです。それぞれのパッドによって使うコードが変わるようになっているんですね。
Kaosilatorのようにタッチパッドで演奏することもできる
さらに面白いのが中央にあるタッチパッドです。これはまさにKaosilatorのような感じで使えるもので、ソフトシンセを接続した上で、スケールを設定すると、さまざまな音階での演奏が可能になり、キーボード演奏がまったくできない人でも、自在に演奏することができてしまいますよ。もちろん、その演奏をDAWでレコーディングするといったことも可能です。
またこのタッチパッドはTRACK PADというボタンを押すことで、まったく違う役割となります。そう、ここがPCのマウスとして使えてしまうのです。やはりtaktileはそれなりの大きさがあるため、デスクの上にPCのキーボードやマウスを置くスペースがなかなか取れませんが、このTRACK PADを使えば、ここをマウスとして使うことができるので、何気に便利ですよ!
ちなみに、DAW側から見ると、taktileは3つのMIDIポートに見えます。1つ目はtaktileのキーボード部で演奏用として使います。2つ目はフェーダーやノブ、ボタン操作などのためのコントローラ用であり、フィジカルコントローラとしての信号はここを通ります。そして3つ目はtaktileのUSB端子の横にあるMIDI入出力ポートであり、外部機器とのやりとりにはこれを用いるわけですね。
PropellerheadのReason Limitedがバンドルされている
このtaktileにはCD-ROMとかDVD-ROMは入っていないのですが、ダウンロード可能なライセンスがいっぱいついているのも大きな魅力です。具体的には、まずPropellerhead Reasonの機能縮小版であるReason Limitedが入っているのが大きいところ。Limitedとはいえ、Reasonとしての基本機能はすべて備わっていて、さまざまなシンセが使えるし、DAWとのReWire機能なども利用可能です。
計5つのソフトウェア音源も標準でバンドル
そしてソフト音源としては
KORG M1 Le(M1を復刻させたもの)
Toontrack EZDrummer Lite(ドラム音源)
A|A|S UltraAnalogSesion(アナログシンセ)
A|A|S StrumAcousticSession(アコースティックギター)
A|A|S LoungeLizardSession(エレクトリックピアノ)
のそれぞれ。そのほかAbleton Liveのディスカウント・クーポンなんかも入っているようですね。
各音源とも、スタンドアロンで動作するほか、VSTやAudioUnitsで使えるので、持っているDAWと連携させて使うことができます。このソフトだけでも、価値のあるものだと思いますよ。
【製品情報】
KORG taktile製品情報
【価格チェック】
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