先日「DTMがTVアニメに!? 原作者もCubaseユーザーだった!ロリ&ポップ作品『天使の3P!』、ただいま絶賛放映中!」という記事で、テレビアニメでDTMをテーマにした番組が放映中であることを紹介しましたが、ラジオでもDTM番組が現在、放送されているってご存知でしたか?
7月8日より毎週土曜日の夜21時45分ごろから文化放送で放送している『AVA presents 竹内美宥・石川界人のMusic Creative !』という番組がそれ。パーソナリティーを務めているのはAKB48の竹内美宥(@take_miyu112)さんと、声優の石川界人さんのお二人で、まさにDTMをテーマにしたラジオ番組になっているんです。時間的には10分程度と短いながらもリスナーが作成したDTM作品を放送するなど、DTMユーザーにとっては、なかなか楽しい構成となっています。先日、その収録現場にお邪魔して、お二人にインタビューしてみたので、紹介してみましょう。
DTM番組『AVA presents 竹内美宥・石川界人のMusic Creative !』の収録現場にお邪魔しました
この番組のスポンサーであるAVA=アカツキ・ヴァーチャルアーティスツとはヴァーチャルアーティストの芸能事務所であり、先日、「VOCALOID4 Library LUMi」を発売した会社でもあります。AVAによると、この番組のコンセプトは“音楽クリエイターの「創る」をふやす”ことだそうで、LUMiを通じて、音楽制作をおこなっているヤングクリエイタイーを積極的に応援し、その活動を広げていきたいと言っています。ちょうどnanaを通じて「LUMi DTMクリエイターコンクール(LUMiコン)」というものを開催したこともあり、nanaとのコラボする形の番組にもなっています。
nanaとLUMiのコラボで行われた「第1回LUMi DTMクリエイターコンクール」
竹内さんについては、以前もDTMステーションの記事「YouTubeで次々とDTM作品を発表するAKB48の竹内美宥さんが目指す夢」で紹介したり、ネット放送番組、DTMステーションPlus!にも2回出演いただいているので、ご存知の方が多いと思いますが、アイドル活動をしつつも自らLogic Pro XやKOMPLETE 11などを駆使しながら音楽制作を行っているクリエイターさんなんですよね。
収録が行われていたのは、東京・浜松町にある文化放送の中にあるスタジオ
一方の石川界人さんは、いま大人気の声優さんであり、『ハイキュー!!』、『僕のヒーローアカデミア』、『ポケットモンスター サン&ムーン』など数々のアニメ作品や『スターオーシャン5 Integrity and Faithlessness』、『キングダム ハーツ HD 2.8 ファイナル チャプター プロローグ』などさまざまなゲーム作品にも出演されてきた方。ただDTMに関してはほとんど知らないとのこと。そんな二人で毎週DTM番組を展開しているのです。
--まずは、Music Creative !とはどんな番組なのかを教えてもらえますか?
竹内:この番組は「VOCALOID4 Library LUMi」をフィーチャーしつつリスナーのみなさんに音楽を「創って」もらうべく、わたくし竹内美宥と
石川:石川界人が、VOCALOIDや音楽制作をよく知らないみなさん、そしてすべての音楽クリエイターに向けて届けるクリエイティブな番組です!
AKB48のメンバーであり、DTMerとしても活躍している竹内美宥さん
--番組のオープニングそのままですね(笑)。DTMが前面に出たラジオ番組なんてなかったと思うので、とっても期待して毎週聴いてます。
竹内:DTMって、まだまだメジャーなものではないけれど、もっと前に出て、多くの人が趣味として取り組んでくれたらいいな…と思って放送しています。
石川:実は僕自身、DTMという言葉自体、この放送のお仕事をいただいて知ったくらいなんです。だからDTMに触れたことがない人が、この番組で知って楽しんでもらう、まさに僕がDTMの入り口というか架け橋となれればなと思っています。
竹内:DTMは普通、一人で世界を作り上げるもので、結構孤独作業でもあります。でもnanaを通じて、いろいろなコラボがあり、人との輪がある音楽制作があるといことに気づかされました。私自身、ひとり閉じこもってDTMをしていましたが、すごく明るい開けた感じがしています(笑)。
人気声優である石川界人さん
--石川さんは、DTMについてどんな印象を持たれましたか?
石川:正直なところ、DTMという言葉も、そしてそうした手法があることも、この番組で初めて知りました。ただ、最初に言葉を調べて思ったのは、バンドを一人では演奏できないから、その補助をするためのシステムなのかな…ということでした。ところが、ここで放送するみなさんの作品を聴いてきて、まったく印象が変わりました。こんなにも人の心に響く音楽をDTMだけで作り上げてしまえるのが、本当にすごいなぁと思いました。DTMって総合芸術的なところがあるのかな、って……。
番組収録中は、復調整室から見学。大きなコンソールの上にはKRKのモニターV4、さらに上にはGenelecのラージモニターが…
--この番組を聞いてみて、改めて感じるのは、DTMとラジオってすごく相性がいいな、ということでした。
竹内:テレビやYouTubeなどの動画だと、映像や文字などたくさんの情報か一気に入ってきますが、ラジオだと音だけに制限されます。だからこそ音楽にも集中することができて、目と耳の両方でとらえるよりも、もっと音の細かい部分を考えながら、想像しながら聴くことができるように思います。そういう意味ではDTMにラジオがマッチするんじゃないかな、って思ってます。もともとラジオと音楽は切っても切り離せない関係です。一方DTMは個人でも音楽の制作ができる環境です。この2つが組み合わさることで、個人の創造したものが、電波を通じて日本中に広がっていくのですから、画期的ですよね。こんな表現の場がてきることで、もっともっとDTMをする人が増えてくれるのでは、って期待しているところです!
VOCALOID4 LibraryのLUMiは期間限定でフル機能が使える体験版を無料配布中
--この番組では VOCALOID4 Library LUMiを大きなテーマにしていますが、LUMiは使ってみましたか?
竹内:私はLogicを主に使ってるため、どう連携させればいいのか…というところでちょっと戸惑ってますが、少し触ってみました。VOCALOIDは中学生のころとてもよく聴いていました。そのころの歌声と比べて、すごく進化していることには、本当に驚きましたね。息づかいとか、ブレスとか、表現力がとても上がって、かなり人間に近づいてきたな、って。だからこそ、LUMiの内に秘めた繊細な感情を表現できるんですよね。
石川:僕は正直なところVOCALOID自体疎くて、番組で初音ミクの代表曲の、話題になってもすぐに浮かばなかったくらいです。ただ、その後、初音ミクのほか、リン・レン、ルカなど各種VOCALOIDと聴き比べてみたんです。音を色で表現するのもおかしいとは思いますが、なんかLUMiって淡い色だな、と。耳なじみがよくて、聴きやすいんです。個人的にはとても好きな歌声です。
--石川さんは、この番組を担当してみて、DTMにチャレンジしてみよう、というは気持ちになりましたか?
石川:将来的には面白いかなと思うのですが、現時点ではちょっと尻込みしてるというのが正直なところです。というのも、みなさんが提供してくれる曲のクオリティが、高すぎて、こんなレベルのもの作れるわけないな、って。また、個人的には完璧主義的なところなので、DTMを始める前に作曲理論をしっかり勉強し、楽譜が読めるようになって……なんて思い、自分の問題点が明らかになったような気がします。
番組収録中は復調整室側にいるディレクターとトークバックマイクでコンタクトしながら進めていく
--今までの番組では、リスナーの方の作品紹介が中心で竹内さんのDTMパワーがまだ発揮し尽くされてないな…とも思いました。
竹内:私もどうしたらリスナーのみなさんとうまくコラボができるかな…と考えているところです。歌うことは大好きなので、みなさんが作った曲に乗って番組内で歌うなんてことはできそうですね。また、みなさんの曲を聴いていると私もライバル心が湧いてきますね(笑)。できれば私もLUMiの曲を作ってみようかなとも思ってるところです。LUMiは鎌倉をテーマにしたキャラクタだという話を伺ったので、先日入手したTASCAMのリニアPCMレコーダー、DR-100mkIIIとバイノーラルマイクのOKM II PXS Soloを使って江ノ島辺りに音を録りにいき、それをバックに鳴らした曲が作れないかな…なんて構想しているところなんですよ。
--それはとっても楽しみですね。これまでこの番組ではnanaに投稿された曲を中心に取り上げていましたが、お二人はnanaを使ったりしているのですか?
石川:個人的には試してみたいです。曲ももちろんそうなのですが、ちょっと気になっているのが朗読の世界です。他の人とコラボする形で1分半という制約の中でボイスドラマなんかできたら面白そうです。
竹内:このラジオ番組が始まるよりずっと以前にこっそり使ったことがありますよ。普通レコーディングというと、それなりの機材を使い、それなりの知識も求められますがnanaなら誰でも簡単に、しかも結構いいクオリティで録れてしまうのはいいですよね。しかも、今は結構すごいエフェクトまで使えてしまうのには驚きました。このnanaを使って多くの若い子たちが音楽制作の世界に入ってきてくれたら嬉しいです。
『竹内美宥・石川界人のMusic Creative !』の番組タイトルロゴ
--この番組がに限らず、竹内さんとして、今後DTMでやってみたいことってありますか?
竹内:DTMでの音楽制作はこれまで通り続けていく一方、自分のオリジナル曲を含め、ライブステージで発表していけたらいいなと思っています。先日、Ableton Liveを手に入れたので、これを使ってパフォーマンスしてみたり、今度コントローラーも買ってそのパッドを使ったプレイなんかもできると楽しそうですよね。
--最後にDTMステーションの読者に向けてお二人からコメントをいただけますか?
竹内:DTMをやっているみなさんに負けないよう、私もクリエイティブなことにどんどんチャレンジしていきたいです。みなさんから、「美宥ちゃんって、こんなことまでできるんだ!」って言われるよう、向上していきたいです。一方で「DTMに興味はあるけれど、まだどうしていいか分からなくて…」という方も少なくないと思います。この『Music Creative!』ではそうした方にも楽しんでいただき、よりDTMに興味を持ってもらえるようにしているので、ぜひ聴いていただけると嬉しいです。また、曲作りは一人での作業となりがちですが、この番組がを通じて、クリエイター同士の繋がりを感じてもらえればと思っています。
石川:あえて、DTMをラジオで放送することで、今まで能動的にしか集められなかった情報や音楽を、多くの人に届けられるという意味では、DTMに関心を持つ人を増やせているのではないかと思っています。僕のような、ホントの初心者というか、ゼロベースの人でも、すごく興味が持てるというのは楽しいことだな、と。竹内さんに、いつも教えてもらっていますが、DTMは本当に奥の深いものなんだなと、興味津々です。ぜひ、そんな面白さを多くの人に伝えられたらと思っています。
--今日はお忙しい中、ありがとうございました。
関東エリア外の方もAG-ON Premiumに登録することで、約1週間いつでも再生可能となる
この番組『AVA presents 竹内美宥・石川界人のMusic Creative !』は、東京のラジオ局である文化放送での放送のため、基本的には電波で受信するか、Radikoで聴く形になり、関東エリアのみが対象となっています。ただし、文化放送のオンデマンド動画配信サイト AG-ON Premiumにユーザー登録すれば(すべて無料)、全国どこからでも約1週間、いつでも聴くことができるようになります。
【関連情報】
AVA presents 竹内美宥・石川界人のMusic Creative !(AG-ON Premium)
【竹内美宥さん関連情報】
AKB48公式サイト|竹内美宥
http://www.akb48.co.jp/about/members/detail.php?mid=55
YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC8RJBf7ftto2R1EKZC3YE0A
Twitter : @take_miyu112
instagram : https://www.instagram.com/miyusanno.official/
【石川界人さん関連情報】
石川界人さん情報(プロ・フィット 所属)
http://www.pro-fit.co.jp/talent_ishikawa.html
【VOCALOID4 Library LUMi販売サイト】
オンラインショップ LUMi小町