YAMAHAから発売されたBLE-MIDI対応のMD-BT01とUD-BT01
ご存じの方も多いと思いますが、今年のNAMM SHOW 2016のタイミングでYAMAHAから、「Bluetoothで楽器とiOSデバイスを接続するワイヤレスMIDIアダプター」としてMD-BT01およびUD-BT01という2つの小さな機材が発表され、2月1日から発売されていました。価格はともにオープンプライスで、実売価格がそれぞれ6,480円前後となっているものです。
とっても小さなデバイスであるMD-BT01(ケーブルで連結されているもの)とUD-BT01(USB端子がついている角形のもの)
でも、「これで何ができるのか、今ひとつピンと来ない……」という方も多いのではないでしょうか?正直なところ私自身もMD-BT01のほうは想像できた一方、UD-BT01はよくわからなかったのですが、使ってみてビックリ。順番に説明していきます。
「それって、以前登場していたQuicco Soundのmi.1みたいなもの?」と思う方もいると思います。結論からいえば、その通り。基本的に同様の機材であり、それを大手メーカーであるYAMAHAが出してきた、というわけですね。
気になるのは、「ウチの機材でMD-BT01は使えるの?」という点だと思います。YAMAHAのWebサイトを見ると、「MD/UD-BT01動作確認済みアプリ・製品リスト」という一覧が出ていますが、あまりこれにこだわる必要はないように思いました。そう、ここに取り上げられているのは「動作検証できた、YAMAHAの機材」ということであって、他社製品が動かないといっているわけではないのです。というよりも、絶対的な保証はないものの、どのメーカーの機器であっても、MIDI IN/MIDI OUTの端子を搭載した機材であれば、ほとんど使えてしまいますからね。
DTM系で話題のシンセサイザ・キーボードとしてYAMAHAのrefaceがありますが、ここに取り付けてみたところ、もちろんバッチリ使うことができました。またリストにはありませんが、30年以上前のYAMAHAの機材であるDX100に取り付けても動いたし、ウチにある古いYAMAHAのデジタルピアノもOK。他社製品でいえばRolandのD-10という古いキーボードでも動きましたから、たいてい大丈夫でしょう。もちろん、中には本来必要とされるMIDIの出力パワーを持っていないものもあるので、相性が悪い機材もあるのだとは思いますが……。
reface captureなどYAMAHAのアプリにもBLE-MIDI接続機能が搭載されてきている
こうすると、そのアプリがMIDI接続されるというより、iOS自体がMIDI接続されるため、アプリ自体は落としてしまっても大丈夫なんです。その後、シンセアプリなどまったく別のアプリを起動しても、MD-BT01を取り付けたキーボードを弾けば、そのシンセを鳴らすことができますよ。
最新のCubasis 1.9.8にも「MIDI over Bluetooth」という項目が追加され、ここから接続できるようになった
ただBLE-MIDIで1点面倒なのは、1度切断すると、同じ手続きを踏まなくてはならない、という点です。BluetoothスピーカーやBluetoothマウスなどは、電源を入れるだけで自動的に再接続されるのに、BLE-MIDIはそうなってないんですよね。ここがちょっと面倒なところではありますが、ここは今後のAppleのiOSのバージョンアップで修正されることに期待したいところです。
そして、ここからが本題!UD-BT01とは何モノなのか、という点です。これも先ほどの「MD/UD-BT01動作確認済みアプリ・製品リスト」ではYAMAHA製の一部の機器しか対応していないように思えたのですが、そうではなかったんですよ。たとえばLine6のMobileKeys、KORGのnanoKEY2、IK MultimediaのiRig Keys USBなど、DTMステーションでも取り上げてきた各社のUSB-MIDIキーボードをBLE-MIDI化できてしまうんです。もちろんYAMAHAのrefaceでもうまく動きましたよ!
Line6のmobileKEYでもBluetooth化に成功してしまった! ほかにもnanoKEY2やiRigKeysでも動作確認できた
MIDIキーボードとUD-BT01をUSBケーブルで接続し、ACアダプタにつなげばOK
従来、これらの機器はPCとUSB接続するか、iPadやiPhoneにLightning-USBカメラアダプタを接続した上でUSB接続して使うことが前提の機材でした。また中にはiPadやiPhoneからのバス電源供給では電力不足で動かない…といった機材もありましたが、これだと解決しそうですね。ただし、RolandのA-PROシリーズはCCモードにしても、なぜかうまく使えないなど、機材によっては多少相性問題はあるかもしれません。
iOS側との接続方法や各アプリとの連携方法についてはUD-BT01もMD-BT01とまったく同じです。なお、Mac OSXでの使い方は、以前も何度か紹介しているのでここでは割愛しますが、Mac OSX 10.10のYosemite以降の対応であり、MIDIスタジオにおいてBluetoothというアイコンをクリックすれば接続できますよ。
nanoKEY2にUD-BT01を取り付けて単3電池2本のモバイルバッテリーで動作した!
ちなみに、UD-BT01に使う電源をACアダプタではなく、USB出力のモバイルバッテリーに接続すれば、とってもコンパクトなワイヤレスキーボードを実現できてしまうのも魅力の一つ。実際nanoKEY2に単3電池2個のモバイルバッテリーを接続したら、バッチリ動きました!
無料のCubasis LEをLightning-USBカメラアダプタ経由でrefaceに接続してもロック解除される
なお、先ほどのCubasisに関連して、無料版のCubasis LEについて少し補足しておくと、これも同じ2月17日のタイミングで1.9.8にアップデートしています。従来これのデモモードを解除するためにはURシリーズなどのオーディオインターフェイスと接続する必要がありましたが、このタイミングで対応ハードウェアが増え、refaceシリーズでも解除されるようになりました。ただし、試してみたところMD-BT01やUD-BT01経由の接続では解除できず、やはりLightning-USBカメラアダプタで1度接続する必要はあるのですが、一度解除すれば、その後は普通に使えるので、ぜひrefaceユーザーの方も存分に活用してみてください。
【関連情報】
MD-BT01製品情報
UD-BT01製品情報
【価格チェック】
◎Amazon ⇒ MD-BT01
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◎Amazon ⇒ UD-BT01
◎サウンドハウス ⇒ UD-BT01
コメント
KORG の BLE MIDI ドライバでの接続はどうだったでしょうか?
いけるんなら自宅のDTM環境に導入しようかと思います
KORGのドライバの前の時点、つまりWindowsとのペアリングがうまくいかないんです。何かいい方法がないか画策中です。
Windowsでの使用可能状況をまとめると
×YAMAHA MD-BT01/UD-BT01
○Roland A-01
○KORG microKEY Air
×Quicco Sound mi.1
ということでしょうか?
Windowsとのペアリングはmi.1も同様の現象が起こっている気がします。
逆にA-01とmicroKEY Airがどうしてペアリングできたのかが気になりますね。
KORGショールームに凸して聞いてくるか…。
私もMD-BT01買いました
30年くらい前に買ったYAMAHA PSS780とかEOS B500、Roland SH-201では動作しました。
昨年買ったProphet-6ではなぜか動作しませんでした。
これは、すばらしい!
オクタトラックで試してみます!!!
Andyさん
はい、なぜそうなるのか、よくわからないので、もう少しチェックしてみたいところです。
もし何かわかったら教えてくださいね!
パソコンにUSB接続したMIDIインターフェースにMD-BT01を接続して使うことはできるのでしょうか?
できるならパソコン上のDAWから外部音源としてiPadを鳴らせるかなと思ったのですが
sigさん
なるほど、その発想はありませんでした。いま試してみたらバッチリ動きました!!
色々調べてなんとなく予想がつきましたのでまとめます。
Bluetoothには3種類あって
Bluetooth(Classicとも言われるver3.0以前の規格)
Bluetooth Smart(ver4.0、ver3.0以前とは接続できない)
Bluetooth Smart ready(ver4.0、ver3.0以前とも接続できる)
となってますが、Windowsの標準ドライバ(スタック)ではBluetooth Smart Ready同士の接続が上手くいかない模様です。
以下、未確認なので憶測ですが、
KORG microKEY AirとRoland A-01⇒Bluetooth Smart
YAMAHA MD-BT01/UD-BT01及びQuicco Souund mi.1(C.24なども)⇒Bluetooth Smart Ready
なのではないかと。
Windowsの標準ドライバが上記対応をしていないのが不具合なのか仕様なのかは不明ですが、現状できることはMicrosoftのサポセンに報告して修正を待つか、有志の方がドライバをリリースしてくれるのを待つくらいですかね?
にわか知識で調べただけなので間違っていたらごめんなさい。
参考ソース
http://blog.fenrir-inc.com/jp/2013/10/bluetooth-le-win81.html
>・Windows ストアアプリからはペアリング操作はできず、事前に「PC設定」のデバイスから、通常の Bluetooth 機器と同様にペアリングを実施しておく必要があります。
>・iOS の CBPeripheralManager で実装したデバイスに対しては接続を確認することができていません。Windows の標準 Bluetooth スタックでは Bluetooth LE のみを実装したデバイスに対しては接続できるものの、Bluetooth SMART Ready であるデバイスに対してペアリングできないのではないかと予想しています。(SensorTag や .NET Gadgeteer の Bluetooth SMART モジュールなどとは接続できました)
UD-BT01の電源ですが、例えばシンセなど「USB to HOST」と「USB to DEVICE」2つ搭載されている場合、UD-BT01を「USB to HOST」に接続して、電源を「USB to DEVICE」から取るなんてことは可能でしょうか?
MD-BT01とQuicco Soundのmi.1のレイテンシーはいかがでしょう?
追記:
http://www.korg.com/jp/products/controllers/microkey2_air/page_1.php
http://www.roland.co.jp/support/by_product/a-01/knowledge_base/63341856
micro KEY Airはトップページの認証ロゴがBluetooth Smart、A-01はFAQで『Bluetooth 4.X (Bluetooth(R) Smart)』と書かれてますね。
MD-BT01/UD-BT01とmi.1は規格確認できず…。
Andyさん、いろいろと詳細情報ありがとうございます!
こちらでも、キッコサウンドやヤマハにも確認して聞いてみようと思います!!
それにしても、そんな規格の違いがあったんですね…。
WindowsがSmart Readyのドライバを作り、BLE-MIDIのドライバを作ってくれれば
すべては解決なはずなにに…。
atsushiさん
手元にそうした機材がないので、試していませんが、微小な電力で動くから十分可能だと思いますよ。
JIROさん
まだチェックできていません。そもそもどう測定するかもなかなかセッティングが難しそうですが…。
記事中に出ている単三乾電池のモバイルバッテリーのメーカーを教えていただきたく
コメントをしました。よろしくお願い致します。
さらに追記:
YAMAHAに問い合わせたところ、MD-BT01/UD-BT01はBluetooth Smartとのことでした。
自分の予想は見当外れということに…。
Windowsとペアリングできない問題は謎のままです、うーむ…。
a kingさん
別にどこのでも大丈夫だと思います。
この写真に掲載したのは、以前、アキハバラで180円で購入したもの。
メーカーも記載のない品です。
根本的な解決になりませんが、iPad/iPhoneをMD-BT01の受信機として使い、
iOS→MIDI out (iRig MIDIなど)→Audio MIDI interface→Windows PC
のようにiPad/iPhoneのmidi outからWindows PCまでを優先接続すれば、
一応ワイヤレスにWindows PCの音源が鳴らせるかと。
藤本さん、いつも記事拝見させていただき参考にさせて頂いています。
1つ質問ですがUD-BT01はROLAND A-49シリーズでも使えそうでしょうか?
当方はライブでキーボード運搬時の負担を減らしたい思いでIpadでできないか色々試行錯誤しまして
現在はUSBクラス・コンプライアント対応オーディオI/FのUR12とA-49、Ipadを電源機能付きUSB
ハブを介して接続して使っています。
現在不満なのが配線がもっとシンプルにならないかということです。
少なくとも鍵盤A-49とIpad間をつなぐだけのためにオーディオI/Fが必要な状況が解消できると
Ipad本体で鳴らす時はオーディオI/F不要になりさらに機動性が向上すると思うのですけど。
A-49は鍵盤がしっかりしていて気に入っているのでUD-BT01でそれが実現出来れば幸いです。
よろしくお願いいたします。
heroさん
こんにちは。ちょっと確認できていないですが、微妙な気がしてます。
というのも、うちのA-PRO300のCCモードだと、どうもうまく動かなかったんです。なんか相性があるんですかね。ただ、KORGもIKもLine6も動いたので、普通は動くはずなんですが。
手元にA-49がないので、試せないのですが。
藤本さん、コメントありがとうございます。
機会あれば自分でも試してみようと思います。
この記事を見て買ってみました。
korgの初代micro key 61を繋ぎましたが、残念ながら認識されませんでした。
USBバスパワー駆動のデバイスだしACアダプターに直接繋ぐので十分電力は確保できるかと思ったのですが、
意外にキーボード側に供給される電力は少ないみたいですね。。。
せっかく買ったのに使えず残念です(´Д` )
こんにちは、はじめまして。
レイテンシーのテストなのですが
PCにつないだMIDIインターフェースにMD-BT1をつないで
MD-BT1をそのPCとペアリングできますか?
それができればループバックでレイテンシーが計れるかも。
UD-BT01とROLAND A-49の接続うまくいきましたのでご報告します。
IOSの問題なのでしょうが通常の設定からでなくGarageBandの詳細設定から接続設定するという所がやはりわかりにくいですね。鍵盤押してから発音するまでの遅れはやや感じますが速弾きしても破綻することはなく十分実用に耐えるレベルと思います。
初書き込みになりますか。
2万円ぐらいと思っていたら意外に安いですね。ただ僕のMIDI機材、HS-8(※)・VK-8M・JW-50・EWI4000s・MU2000EX・A-880・CTK-750・FB-01と結構あるのでその分買いそろえたら10万円超えそうです。
まあ2セットだけ購入して普段EWIとJWにくっつけておけばいいのかも知れません。PC介してHS-8とVK-8Mを遠隔操作するのにも使えそうですね。Windowsでの問題が解決すればいいんですけど…。
※見た目はELシリーズ、中身はFM音源の古いエレクトーン。VK用にリサイクルショップで購入。
refaceで使えるのは良い事ですが、MIDIブレイクアウトケーブルごしの取り付けでは、せっかくのコンパクトさが失われます。
音色管理ソフトのreface captureを使うにしても、カメラケーブルで直接つないだ方が、よほどシンプルなですよね。(別の問題としてカメラケーブル自体が高い!)
ここまできたらもう一声。
refaceのMIDI端子に直接取り付けできるバージョンの発売と(IN-OUTの二股である必要もなくなる)、いっそ、refaceへの内蔵を希望いたします。
heroさんのコメントを読んでRoland A-49との接続でUD-BT01買いました。ありがとうございます(*^^*)
http://fullnoteblog.com/ud-bt01
fullnoteさん、ブログ、拝見しました。ありがとうございます!
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