ちょっと譜面を作りたい……と思ったとき、みなさんはどうしていますか? DAWの譜面機能を用いて一生懸命作る、という人もいると思いますが、融通が利かなくて面倒だから五線譜に手で描いているという人も少なくないでしょう。もちろん、本気で譜面を作る人ならFinaleやSibeliusなどを使っていると思いますが、さすがにそこまで手が出せていないという人が多いと思います。
そんな中、本当に手書き感覚で入力でき、しかもキレイな譜面に仕上げることができる1,200円のツールがあります。9月にカワイが発売したタッチノーテーションというのがそれ。同社の譜面作成ソフト、スコアメーカーで培ってきた技術を元に、iPad、iPhoneでのタッチ入力に最適化したこのアプリについて紹介してみましょう。
カワイのiPad/iPhone用譜面作成アプリ、タッチノート
PCを使った譜面入力というと、まず音符を選んで、マウスで五線譜上に貼っていく…というのが一般的ですよね。それに対し、このタッチノーテーション、指で五線譜上に音符を描けばそれが音符として入力されちゃうんです。
たとえば4分音符を入力するなら斜めに線を引けばOK。2分音符なら譜面上に〇を描き、8分音符なら、入力した4分音符に旗を追加すればいい……という感じなので、感覚的には描いているそばから清書してくれる感じですね。
言葉で説明するより、カワイが作ったYouTubeのビデオがあるので、これをご覧ください。ちょっと長いけど、冒頭のところだけでも見ると、雰囲気は分かると思いますよ。なかなかよくできてますよね。
このビデオにもある通り、旗をつなげていく連桁は線でつなげばいいし、3連符のような連符はカッコで括るようにすれば簡単に入力できます。64音符だって、付点音符だって、ほとんど手で譜面を描く感覚で入力すればいいのです。
もちろん、入力できるのは音符や休符だけではありません。タイやスラー、mfやppp、クレッシェンドなどの強弱記号、スタッカート、テヌート、フェルマータのような奏法記号、小節線、反復記号、繰り返しカッコ……と思いつく記号類も一通り入力可能だから、困ることはほとんどないでしょう。
ただし、手書き認識が基本であるだけに音符、記号を含め書き順のルールがあるため、それを覚えておく必要があります。といっても、そう難しいものではないので、よく使う記号類だけ覚えておけばスムーズに入力できるはず。時々使う記号類などは、その都度ヘルプを見てもいいかもしれませんね。
また入力した譜面は、演奏して確認できるというのも手書きの譜面とは異なる便利なポイントです。音で確認できれば、間違いにもすぐに気づきますからね。利用できる音色も先ほどのビデオにょうなピアノだけでなくフルート、アルトサックス、トランペット、エレキギター、エレキベース……と30種類用意されているので、そこそこのことはできそうです。
一方、譜面も標準的な楽譜のほかピアノ大譜表、ボーカルとピアノの弾き語り譜、弦楽四重奏、オルガン譜、混成四部合唱+伴奏……とさまざまなテンプレートが用意されているので、それらを選んだ上で入力していけば効率よく入力することができ、必要あればオリジナルのテンプレートを作ることも可能です。
ちなみにこのアプリに歌詞を入力するという考え方は、あまりないようなのですが、試してみると手書きでのメモ機能があるほか、テキストを入力する機能も用意されていたので、問題なく使えそうです。
入力した譜面はスコアメーカーで使われるeスコア形式 のほか、SMF、PDF、Music XMLで保存可能
このようにして入力した譜面は、iPadやiPhone上で見るだけでなく、PDFとして保存したり、プリンタへ出力することも可能となっています。さらに、SMFのデータ形式でほかのアプリへ受け渡すことができるのも面白いところ。試しにFL STUDIO Mobile HDへと送ってみたところ、タッチノーテーションで入力したデータをそのままキレイに再現することができました。
つまり譜面入力に対応していないアプリであっても、タッチノーテーションと組み合わせることでそれを実現できるというわけですね。
FL STUDIO Mobile HDで問題なく開くことができた
このSMFはメールで飛ばしたり、Dropboxに保存することも可能だから、PCで再利用するということもできます。さらにSMFのほかにMusic XMLに対応しているので、ほかの譜面ソフトに受け渡すといったこともできますね。
タッチノーテーションはiPadでもiPhoneでも利用できるアプリになっている
譜面の入力のしやすさという意味では、画面をタッチして入力可能なiPadやiPhoneのほうがPCよりも向いているのかもしれません。1,200円という安価なものなので、一つ持っていても損はなさそうですよ。