先日「iPhoneがUSB-Audio対応したが、iOS7.0へのアップデートは待て!!」という記事を書いた通り、iOS7.0.1が出ていない現在、さまざまな問題、トラブルが発生しています。とはいえ、私の場合、すでにiOS7にアップグレードしてしまったし、おまけにiPhone 5sまで買ってしまったため、もう後戻りはできない状況です。
※追記
記事を書いているときは気づいていませんでしたが、iPhone 5s、iPhone 5c用には7.01が出ていました。が、今回はiPad miniでテストしており、iPad mini用には7.0しかなかったので、この環境で書いています。
それならば、iOS7の良さの部分を味わおうと、ここ数日、遊んでいたわけですが、スゴイ機能が見えてきましたよ!そうiOS7で新たに搭載されたInter-App Audioという機能。まだ対応アプリが少ないこともあり、私には全体像まで分かりませんが、iOS上のDTMに革命を起こす機能といっても過言ではなさそうです。とりあえず分かったことを簡単に紹介しましょう。
Inter-App Audioは当初iOS6に搭載されるはずだったものが、見送られてiOS7で搭載になったそうです。また、機能的にはAudiobusに似たもので、アプリ間でのオーディオのやりとりを可能にし、オーディオだけでなくMIDIのやりとりも可能にするものとのこと。そこまでの情報は、これまでのネット上にチラホラあったのですが、それだけの情報では、なかなかよくわかりませんでした。
実際、Inter-App Audioはアプリ側が対応しないことには、ユーザーには利用できないものだったのですが、やっぱり出てきましたよ!
いち早く対応したのはヤマハ。以前、現代版QY10として開発者取材もしたMobile Music Sequencerや、TENORI-ONのiOS版アプリであるTNR-i、そして同じくヤマハのソフトシンセであるSynth Arp & Drum Padの3つ。
また、ちょっと調べてみたところ、アナログモデリングシンセのMagellan、また無料のソフトシンセであるAlchemy Synth Mobile(画面表示はされますが、現在のところうまく動作しませんでした)なども対応しているとのことだったので、これらをインストールして試してみました。
いま5つのアプリ名を挙げましたが、ここではホストアプリとクライアントアプリ(この呼び方が正しいかは不明です)に分けることができます。ホストアプリとなるのがMobile Music SequencerとTNR-i、クライアントアプリとなるのが、各ソフトシンセです。
このホストとクライアントの関係を簡単にいえば、PC上のDAWとプラグインシンセの関係のようなものと考えればよさそうです。つまりMobile Music Sequncer上の音源として、Synth Arp & Drum PadやMagellanなどの外部のソフトシンセが利用できてしまうんですね。
もっとも、VSTインストゥルメントやAudioUnitsと異なり、ソフトシンセ側も独立したアプリであり、単独で起動することもできるわけですが、音源を自在に追加可能になるというのは、iOSのDTMの世界においては革命的ですよね。
使い方は、アプリによって違うのかもしれませんが、Mobile Music SequencerにおいてはVOICE SELECT画面において「INST APP」というボタンをタップすると、現在インストールされているInter-App Audio対応のシンセが表示されるので、ここから選択するだけ。この際、ターゲットとなるソフトシンセは起動していなくてもOKで、組み込んだ時点で起動する仕組みになっています。
同様にTNR-iでもSound SelectのメニューでInstrument Appを選択し、そこに表示されるソフトシンセから選ぶだけでOKです。たったこれだけで、2つのアプリが連携してくれるのですから、やはり画期的です。
また、Mobile Music Sequencerには、組み込んだソフトシンセのアイコンが表示されるので、これをタップすると、画面はソフトシンセ側に切り替わります。ホストアプリからコントロールされて鳴っている状態ですが、ここで音色を切り替えたり、パラメータをいじったり、またキーボードを弾くこともできちゃいました。
また、ソフトシンセ側にも、呼ばれたホストアプリのアイコンが表示されており、ここには再生ボタンや録音ボタンが用意されています。あれ?これって、Audiobusのものとそっくりですよね。Audiobusとの直接的な関係はなさそうですが、再生・停止ボタンをタップすると、ホストアプリ側が連携して動くようです。ただし、Mobile Music SequencerやTNR-iにはオーディオの録音機能はないので、録音ボタンは反応しませんでした。
別の見方をすれば、DAWアプリが対応すれば、Audiobusと同じように、クライアントアプリ側に表示されるボタン操作でDAWへのレコーディングもできてしまうということなんでしょうね。
現在のところ、GarageBandやCubasisなどはInter-App Audio対応をしていないようですが、おそらく時間の問題でしょう。この辺が揃ってくると、すごいことになりそうですね。また、ここではホストアプリと、ソフトシンセという関係性だけを見ましたが、おそらくエフェクトとして使ったり、複数のアプリ間でオーディオをバウンスするといったこともできそうなので、また新しい使い方がわかったらレポートしてみたいと思います。
ただし、たくさんのアプリをマルチタスクで同時起動すると、当然CPUパワーも消費するので、今後A7のように高速なCPUを搭載したマシンが必須になるのかもしれません。またiOS7のバグのせいなのか、アプリ側の問題なのかはハッキリしませんが、このようにInter-App Audioを連携させて使っていてもトラブルは頻発。最初のうちは暖かい目で見守っておく必要がありそうですが、安定してくると、かなり強力な武器として使えそうですよ!