7月19日の未明、待望のiOS7のアップデータがリリースされました。これによってiPhone 5sやiPhone 5cを買わなくても、既存のiPadやiPhoneをiOS7へのアップグレードすることが可能になり、フラットデザインの新しいユーザーインターフェイスを体験できるようになります。
事前情報でとくに期待していたのがInter-App Audioという機能。AppleのiOS7のページに行っても、ほとんど触れられてはいないものの、これを使うことで複数アプリ間でオーディオやMIDIのやり取りができるようになるのだとか……。私も今朝早く起きて、iPad miniおよびiPhone 5を、このiOS7へアップデートしてみました。
iPhone5をiOS7にアップデートしてみた
iPad mini、iPhone 5とほぼ同時に並行してアップデートをしてみたところ、それぞれ30分程度でiOS7が無事インストールされました。UIが大きく変わっているので、操作方法など戸惑う面もいっぱい。とくにコントロールセンターなんてのが大きな目玉なわけですが、最初どうやって表示すればいいのか分からず、オドオド。画面一番下から、上に向けてそっとスワイプすると登場してくるんですね。
ここでWiFiのオンオフや画面の明るさ調整、そして音楽再生のコントロールなどいろいろできるので、確かに便利そうですよ。
というわけで、さっそくInter-App Audioなるものはどこにあるんだろう……と探してみたのですが、どうも見つかりません。設定のメニューにあるのか、新しいアプリが追加されているのか……と見たものの、やはり見当たらないですね。
どうやらCoreAudioとかCoreMIDIなどシステム的なところに追加されているようで、アプリ側が対応しないことには、どうにもならなそう……。海外の情報などを見る限り、Audiobusに近いもののようですが、MIDIもサポートされているなど、さらに拡張されているのかな……。もっともMIDIはもともとVirturalMIDIというのが搭載されているのだから、これを含めてInter-App Audioと呼んでいるのかもしれません。
ところで前日Rolandからは「弊社製iOSアプリのiOS7への対応状況」ということで、同社の各種iOSアプリの対応状況が発表されていました。これを見ると、半分近いアプリに「iOS 7 で正常にお使いいただけない症状を確認しております」というコメントが付いており気になっていました。
「その正常にお使いいただけない症状」とは、
・iTunes ライブラリから曲を取り込めない
・文字入力を必要とするさまざまな操作を完了できなくなる
・曲選択リストに曲名が表示されない
などなどで、状況は単純ではなさそうです。不安な予感がするなか、恐る恐るGarageBandほかいくつかのソフトシンセをそれぞれ単独起動させてみたところ、実はそれほど大きな問題はなく動作はしてくれました。
「なんだ、結構大丈夫そうだ!」と、さらにテストを続行。iPhone 5、iPad miniのそれぞれに、Line6のMobileKeys25を接続してみると、CoreMIDIデバイスがちゃんと認識され、ソフトシンセの演奏ができます。また、オーディオインターフェイスのSONIC PORTを接続しても、まったく問題なく動作してくれます。
さらにLightning-USBカメラアダプタ経由でiPad miniにUSBオーディオインターフェイスであるDUO-CAPTRE EXを接続してみたところ、こちらもCoreAudioデバイスとしてしっかりと動作し、従来通り音を鳴らすことができました。ここで、ふと試してみたのが、これをiPhone5と接続すること。従来、iPhoneには、SONAR PORTやiTrack Soloなど正式にiPhone対応したオーディオインターフェイスを接続することは可能でしたが、Lightning-USBカメラアダプタやiPad Camera Connection Kit経由での接続はできませんでした。
なんとiPhone5にCamera Adapter経由でDUO-CAPTRE EXが接続できてしまった!
ダメ元と思って接続してみたところ、なんと動作してくれちゃいました!どうやらiOS7になって、ここの制限が解除されたようですね。もちろん、電源供給の問題はあるので、電源を独自に持たないデバイスは動いてくれませんでしたが、これはDTMユーザーにとっては朗報です。
※追記
確認し忘れていましたが、iPhone 5にDUO-CAPTURE EXを接続した際、MIDIもしっかり使えていました。ただし、KORGのnanoKEY(初代)を接続したところ、認識されませんでした。しっかりチェックできていませんが、電源供給の問題の可能性が高そうです。nanoKEYのランプは点灯したのですが…。
※追記2
上記でnanoKEY(初代)が認識されないと書きましたが、使ったケーブルが悪かったようで、ケーブルを交換した結果、認識されました。またnanoKEY2も同様に動作しました。
一応動くけれど、変なメッセージもいろいろ出てなんとなく不安定
しかし、問題はここから。複数のアプリを起動し、バックグラウンドでの動作をさせたりすると、各アプリとも、どうも動きが怪しくなってきます。見慣れないエラーメッセージなどが頻発するようになります。しかも、こうした不安定になった状態で、iOS7の標準のミュージック再生機能でバックグラウンドで再生している音が、コントロールセンターで停止不能に。また音量ボタンを使っても音量調整が利かなくなるなど、かなりマズイ状況に……。明らかにバグと思われる症状がいろいろと出て、iOS7自体を再起動せざるを得なくなりました。
さらに深刻だったのがAudiobus。Inter-App Audioとの関係で、機能強化が図られるのではと期待していたのですが、Audiobus経由で、アプリを起動させると、かなりの頻度でInputデバイスのアプリが落ちます。これでは、やはりまともに使えません。
AudiobusでRECボタンがアクティブにならない
また、何度か試すうちに、なんとかInputにbs-16iを、OutputにGarageBandを組み込んだ状態で両方を無事に動かすことができたのですが、肝心の録音ボタンがアクティブにならず、GarageBandに録音することはできませんでした。再生ボタンを押すと、クリックが鳴るので、同期はしているようですが、やっぱり使えませんね。
Audiobusのページを見ると、やはり「音楽系ユーザーは7.0にはバグがいっぱいあるのでアップデートするな」という主旨のことが書かれています。7.0.1がリリースされると解決されるらしいので、ここに期待したいところです。
というわけでまずはファーストインプレッション。細かないことまでチェックできていませんが、とりあえずのiOS7レポートでした。
※追記
9月19日、KORGから、iOS7正式対応のiMS-20、iPolysixがリリースされています
http://www.korg.co.jp/News/2013/0919/