最近MIDIケーブルを使うことって少なくなりましたよね。MIDIキーボードもコントロールサーフェスもみんなUSBで接続できてしまうので、USBケーブルが実質的なMIDIケーブル代わりになっている人も多いのではないでしょうか?USBなら入出力ともに1本で接続できるのも便利なところです。
でも、iPhoneやiPadを使う場合、MIDIケーブルの使用を強いられるケースって多いですよね。ただ、今の時代、これが結構苦痛だったりするんです。そんな問題を解決してくれるとっても便利なツール、VESTAXのV-MIDIを使ってみたので紹介してみましょう。
2012年はMIDI誕生30周年だったわけですが、30年も現役で生き続けているデジタル規格ってMIDIだけなのではないでしょうかね?もちろん、私のウチにもおそらく何十本というMIDIケーブルが転がっているのですが、最近これを使うケースはほとんどなくなっています。やっぱりUSBが便利ですから……。
それでも時々使うのがiPhoneやiPadに外部MIDI機器を接続するときです。確かにiPadの場合ならiPad Camera Connection KitやLightning USB Camera Adapterを使うことで、USB機器との接続は可能になりますが、いろいろと問題が多いからです。
まずはiPhoneでは利用できないこと。iPhoneで使う場合には、どうしてもMIDI MobilizerIIやi-MX、iRig MIDIなどのMIDIインターフェイスが必要となり、それら専用のMIDIケーブルを使って接続する形となります。
またiPadの場合にも、問題が起こるケースが多々あります。最大の問題が電源容量です。MIDIキーボードなどの場合、USBケーブルから電源供給を受けて駆動させるものが多くなっていますが、iPadから供給できる電力がわずかしかないため、大半の機材はこれでは動いてくれないのです。そのため別途ACアダプタで動かしたり、間に電源供給可能なUSB-HUBを噛ませる必要があるなど、いろいろと面倒なんですよね。さらに、こうした接続をした結果、相性問題が生じて、安定して動かないというケースもよくあるのです。
また、この問題が解決したとしても、オーディオとの組み合わせに制限が出てきてしまいます。そう、USB接続によってDOCKコネクタ、Lightningコネクタがふさがってしまうので、ここから高品位な音でオーディオを外部出力しようとしても接続しようがないのです。
オーディオを利用しつつ、さらにMIDIも使いたいということになるとDUO-CAPUTRE EXやiU2などの機材を使うことになるのですが、この場合はMIDIケーブルが必須となります。ところが、肝心のMIDI機材が基本的にUSB接続を前提としたMIDIキーボードだと、電源の供給に問題が出てきたり、下手をするとそもそもMIDI端子がなかったりもするので、やっかいです。
ずいぶん前置きが長くなってしまいましたが、そうした問題を解決してくれるのがVESTAXのV-MIDI。これを介すことで電源などの心配をすることなくUSB-MIDIキーボードやUSB-MIDIコントローラと接続することができるし、それと同時にオーディオ出力も可能となっています。
このオーディオ出力はRCAのライン出力やヘッドホン出力が可能であり、オーディオ出力のボリュームを調整するための大きなノブも搭載されているので、結構気持ちよく使うことができます。オーディオ入力はないので、これをレコーディングに利用するということはできないのですが、ステージやレコーディング時にiOSデバイスを楽器として使いたいというときには、大きな威力を発揮してくれます。
気になるのは、どんなUSB-MIDI機材と接続できるのかという互換性でしょう。VESTAXのV-MIDIのページを見ると、VESTAXのDJ機器はもちろんのこと、AKAI、ALESIS、M-AUDIO、Numark、KORGと各種機材で動作が確認されているようです。
試してみると、ここに掲載されている機器以外でもCoreMIDI対応機材であれば大丈夫そうですね。たとえばRolandのUSB-MIDIキーボードのA-Proシリーズも動作したし、Line6のMobileKeysも動作しました。これは、かなり便利に使えそうですね。
V-MIDI自体はACアダプタ接続が必須ではあるのですが、そこからの電力によって接続しているiPadやiPhoneを充電できてしまうのも大きなポイント。これなら、長時間使っていてもバッテリー切れの心配がないのも嬉しいところです。
なおUSB機器には付属のケーブルで接続するのですが、これが標準のUSBコネクタ(USB Bオス)となっているためUSBミニ端子と接続する場合は、いったんUSBハブなどを介してUSBミニ対応のケーブルを使って接続する必要があります。
ちなみにV-MIDIはDOCKコネクタ対応のデバイスですが、Lightning – 30ピンアダプタを使って、iPad miniおよびiPhone5に接続してみたところ、こちらもまったく問題なく利用することができました。かなりオールマイティーに接続できるデバイスのようです。
今までありそうでなかったUSB-MIDI機材を便利に使うためのインターフェイスV-MIDI。iOSデバイスをDTMで利用するユーザーなら1つ持っておいて損のない機材だと思いますよ。