シンセ好きの人たちの間で今、一番ホットな話題といえばフランスArturiaからまもなく発売されるアナログシンセMINIBRUTEでしょう。もともとソフトシンセメーカーだったArturiaがOriginというハードを手がけるようになり、ついにはアナログシンセへまでたどり着いてしまったのですから、驚きですよね。
先日、偶然ではあったのですが、まったく別件でフックアップに行った際、そのArturiaのCEO、Frederic Brunさんが来ていて、お話することができたので、MINIBRUTE開発の経緯などを聞いてみました。その話の中で、Minimoog-Vを無償提供するなどというビックニュースも出てきたので、その辺も合わせて紹介してみましょう。
インタビューしたArturiaのCEO、Frederic Brunさん
--MINIBRUTEの話を聞いたときには驚きました。ついにソフトシンセメーカーが、アナログシンセまで遡っちゃったよ!って(笑)。最初はMoog Modular Vからでしたよね?
Frederic:Moog Modular Vを出したのが2002年ですが、会社としては2000年スタートで、その前にSTORMというソフトを出していました。STORMのときから、スタジオをシミュレーションするというコンセプトであり、“リ・クリエーション”という考え方で開発を行っていました。
Arturiaが2002年にリリースしたMoog Modular V
--すみません、STORMのことを忘れてました…。でも今考えても、Moog Modular Vほどすごいソフトシンセも少ないように思いますが、なぜここから出発したのですか?
Frederic:Moog Modularはすごくパワフルなシンセサイザであり、情熱を感じました。また、TAE(True Analog Emulation)というアナログ回路をシミュレーションする技術を確立していたので、できるはずだという確信を持っていたのです。そして、これができれば、何でもできるだろうから、まずは難しいところからチャレンジしてみよう、と。
--Fredericさん自身、Moog Modular Vのユーザーであったとか……?
Frederic:そういうわけではないのですが、開発に当たっては、ジャン・ミッシェル・ジャールの元に通って音のチェックをずっとしていましたよ。Moogのシンセサイザのシミュレーションは当時既に他社も行っていましたが、それらを圧倒できるソフトを作ろうと一生懸命でしたね。こうしてできたものを、存命中だったMoog博士のところに持っていって見てもらいました。実際の動作を見て、喜んでいただけたのと同時に、Moog Music社を含め、製品開発に強力なサポートをいただくことができました。まさに、そのことがArturiaにとっての原点となっています。
--そうして培った技術でProphetやJupiter-8、さらにはOberheimなどのシンセを作ってきたといっていいのでしょうか?
Frederic:そのとおりです。もちろん、TAE自体は、その後も改良を続けていったので、Moog Modular Vを作った当時と比較すると、現在のものは格段に進化していますよ。
--TAEの進化というのは、どのような進化なのですか?
Frederic:よりアナログ回路の振る舞いを忠実に再現できるようにしています。コンデンサのパーツによる音の違いをしっかり出したり、回路全体のゆらぎを再現したり……。もちろん、TAEを作っていく過程においては、実際の回路をオシロスコープで測定したりしながら、進めてきています。そうした中でも、ずっとMoog Musicには力を借りてきました。
2008年にリリースしたハードウェアシンセ、Origin
--そのArturiaは、その後Originというデジタルのハードシンセをリリースし、ついには今回MINIBRUTEなるアナログシンセにまで行き着いてしまいました。ほかの老舗メーカーとは、まったく反対の流れですよね。もともと、これは当初から考えていたプランなのですか?
Frederic:いいえ、当初はまったく考えてもいませんでしたよ。製品開発をし、多くのミュージシャンが使ってくれるようになる中、ユーザーからの要望もあって、Originを作り、今回MINIBRUTEを作ることになりました。ロゴをチェックしてもらうと分かりますが、当初は「Arturia」とだけ書いてあったものが、Originのころからは「Software & Hardware」が下に書かれるようになり、現在は「MUSICAL INSTRUMENTS」となっており、いろいろと変わってきました。
現在のArturiaのロゴの下には「MUSICAL INSTRUMENTS」と表記されている
--せっかくTAEという技術を確立したのであれば、それを推し進めて行けばよかったのではないですか?なぜ、あえて本物のアナログ回路のシンセサイザを?
Frederic:ライブで使えるシンセサイザが欲しいという要望がミュージシャンから強くあり、MINIBRUTEを作りました。音だけでなく、演奏におけるエモーションが欲しい、と。またサイズさらには価格も含め、ミュージシャンが手に入れやすく使いやすいものを、ということで作ったのです。Originもライブなどへ持ち運んで使いやすいというコンセプトではありましたが、さまざまなことができる分、操作が複雑でした。そこでMINIBRUTEではとにかく分かりやすさを前面に出しています。音だけを比較したらTAEで得られるものと違いはないかもしれませんが、ユーザーインターフェイスは重要であり、そこにおいてはアナログは大きな力を発揮します。
いま大きな話題になっているアナログシンセ、MINIBRUTE。国内の定価は63,000円
--MINIBRUTEはMinimoogなどとは見た目は違いますが、何か参考にしたモデルなどはあるのですか?
Frederic:フィルターがKORG MS-20に似ているとか、形がRolandのSH-101に似ているなどと言われることはありますが、これは完全にArturiaのオリジナルシンセサイザです。ただ、実はここまで注文が殺到するとは正直予想していませんでした。生産は中国の工場で行っているのですが、やはりアナログ機材の生産は経験がないと難しく、品質管理などで時間がかかってしまっています。多くの方をお待たせしてしまっていますが、まもなく出荷できそうです。
モノフォニックのシンセで、CV GATE入出力のほか、MIDI入出力も装備する
--私も注文してみようと思っていたところですが、今からだとまだだいぶ先になりそうですね(笑)
Frederic:アメリカ、ドイツ、イギリス、そして日本と各国から多数の注文をいただいている状況ですが、なんとか急いで生産していきます。ところで、実はひとつ大きなお知らせがあるんです。
--どんな話ですか?
Frederic:実は、Moog Musicとは今でも仲良くやっているのですが、この6月末でライセンスが切れてしまい、7月以降Moogの名前を使うことができなくなってしまうのです。そのため一度、現行製品の発売を止めざるを得ない状況なのです。
--え??Moog関連製品が一切発売中止ですか?
Frederic:はい。ただ、Moog Modular VやMinimoog-Vなどは、そのインターフェースとサウンドはそのままに、形を変えて近日中に戻ってきます。そして今までのバージョンとの互換性も保ち、今後のアップデートも引き続き行われるので、その点はご安心ください。その最後のタイミングということで、これまでのMoog博士への感謝、そして多くのユーザーのみなさんへの敬意を表し、すべてのミュージシャンへプレゼントをしたいと思っています。
1日限りだが、Minimoog-V Originalを無料でプレゼント!
--プレゼントですか?
Frederic:はい、「Minimoog-V Original」をプレゼントします。ただし、6月21日のたった1日だけのプレゼントですので、絶対に逃さないでくださいね。これは、Minimoog-V 2.5とほとんど同じものですが、製品版ではボタンを押すと開くトップパネルが開きません。そのため、トップパネルによる追加機能は使えないのですが、十分にMinimoogの良さを楽しめると思います。
--それはとても楽しみです。ありがとうございました。
※Minimoog-V Originalのプレゼントはグリニッジ標準時(英国時間)の2012年6月21日午前0時より24時間で、日本時間では2012年6月21日午前8時からとなります。Arturiaの特設サイトにアクセスし、名前とメールアドレスを入力すると、送られてくるメール内にダウンロードリンクとアクティベーション番号が書かれているので、それによりダウンロードしてインストール形になります。また製品版で採用しているe-Licenserは不要とのことです。
筆者とFredericさん
【6月21日当日情報】
結局日本時間の7時からプレゼントがスタートしました。ただ、上記特設サイトというかArturiaサイト全体的に非常にアクセスが集中しているようで、反応が遅くなっています。そして特設サイトにつながった結果、現在、Facebookページ(
ただ、その結果、「48時間以内にメールが来るから待つように」というメッセージがでて終了。1時間経過しましたが、いまのところ届いていません。
そんな中Twitter経由で教えてもらったのですが、このFacebookページ内を探すと、直接登録できるリンク先があるとのこと。具体的には(
ここで、名前やメールアドレスなどを入力すると完了。すぐに、メールがとどき、ここにダウンロード先のURLやActivation codeが記載されていますので、こちらが確実のようですよ。ダウンロード先にもなかなか接続できませんでしたが、何度も試した結果、ようやく先ほどダウンロードでき、Windows版の場合、66.4MBの容量となっていました。
いずれにせよ、22日の朝7時がタイムリミットです。ぜひ、みなさんが無事ダウンロードできることを祈っています!!
コメント
本当につながりにくいですね。
48時間以内、という方では入れましたが、何もメールが来ないので
心配ですね。
きっと、想定以上の人気だったんですね。
ホントに想定外のアクセスだったんでしょうね。
もらうほうもみんな真剣で大変なわけですが…。
んーー48時間以内にメールがくるのか。。。タイムリミットすぎてしまう。。。
上記のURLにアクセスしても、サイトにつながっても、名前やメールアドレス入力する所が表示されないし。。。困った困った;;
どうしたらいいんだー
僕もFLさんと同じ現象が・・・
Soshiさんも、やはりそうなんですね。。。
サイトパンクしかけてるのかな。。。
もう落して使ってる人見ましたけど、かなりよさそうでした。。。
タイムリミットがすぎたら、もうメール来るのを祈るしかありませんね;;
メールがきますようにと祈ってます
周りはしっかり落とせてるのが悔しいTT
Facebook、私も最初にこれを登録したんですが、24時間以上経過した今もまだメール来てません。48時間といっていたから、私の場合、明日23に地午前8時前には届くはずなんだけど…。動きがあれば、また書きますね。
メール来てくれることを祈りましょう
予想以上のアクセスと申し込みの数がハンパないのかもしれないですね。。。びっくりするぐらい重かったもんなー
メールを待ちましょう
メール全然来ませんね……48時間以内に来ることを祈ります。
先ほど、届きました!
たしか、当日朝8時ちょっと前にFacebook経由で申し込んだのですが、本日18:40にメールが届きました。
きっとみなさんの手元にもまもなく届くと思いますよ。
>>藤本さん
少し安心しました!僕の所にはまだ来てませんが、21日の夜に登録したので気長に待ってみようと思います!情報ありがとうございます!
>>藤本さん
今、メールが届きました。ちゃんとコードも入ってます。
まだDLしてませんが、取り急ぎお知らせまで…
昨日日付の変わる頃にFacebookで申し込みし,先ほどメールが来ました
配布はtorrent形式とFTP経由みたいなので,メールさえ来ればあまり時間は心配しなくていいのかな?
う~む、想定通り、exeファイルをそのままDLしようとしたらめちゃくちゃ時間がかかります。
その間、風呂にでも入ります。(torrentファイルのDLをやったことがないので)
そうですね、メールさえ届けば、あとはあわてる必要はないと思いますよ。
僕のところにもメールが届きました\(^o^)/
よかったよかった!さっそくDLして遊んでます
リリースがないなーと思いながらも、いい感じの音です♪
ちなみにminimoogvOriginal Efxってなんなのでしょうかね??
僕も昨日夜メールが届いてDLできました!お世話になりました!
昨晩DL無事完了。今朝インストール後、試したら音が出ました。
そうそう、この音、ちょっとレトロでいい味出してる。
うれしいな~
リトライすること数十回時間ギリギリセーフで手に入れました。
メールは来た物のファイルがダウンロードが途中で止まる事メールを貰うよりも沢山リトライしました。結局はtorrentファイルの方でクライアントも新規でインストールしてネットの環境弄ってダウンロードして、元に戻すという作業に・・・。
他の音楽系サイトでも紹介されていたので興味ある人が飛びついたのでは?
まったく関係なさそうなコカコーラのサイトでもコレと同じような記事がありました。