一昨年、ヤマハのY2 PROJECTが開発中のハモラボやスウェーデンのPowerFX(最近だとVOCALOID3のOLIVERを出したところですね)が作ったSoundationなど、ブラウザ上で動作するDAWをDTMステーションで紹介したことがありました。そう、アプリケーションをインストールする必要もなく、ブラウザ上でURLを指定すれば、すぐ使えるというDAWです。
先日、TwitterやFacebookでまた1つスゴイものを見つけたので、ちょっと紹介してみたいと思います。これはフィンランドのヘルシンキにある会社、Naive Solutionsが開発したAudio SaunaというFLASHで動作するアプリケーション。2011年6月に誕生し、徐々に進化してきていたようですが、全然知らなくて、今になって知りちょっとショックを受けました。
起動の仕方はいたって簡単。WindowsでもMacでも、FLASHがインストールされているブラウザでAudio Saunaのサイトにアクセスし、「Open Studio!」というボタンを押すだけ。
すると、アナログシンセが前面に表示された状態でブラウザ上で動くそのDAW、Audio Saunaが登場するのです。
起動すると前面にアナログシンセが表示される
デフォルトではシンセベースの音色となっているのですが、キーボードをマウスでクリックして弾いてみると、結構太い音が出てきます。「FLASHなんだから大した音が出るはずもない……」と思っていたのにバカになりません。プリセットサウンドもかなりいっぱいあって、音色を選ぶとさまざまなサウンドが楽しめますね。
プリセットもいろいろあり、パラメータも豊富なアナログシンセ
アナログシンセといっているくらいですから、もちろんパラメータもいじれます。2オシレーターの構成でエンベロープジェネレータも各オシレーター用、音量用、フィルター用と独立していたり、フィルターもハイパスと2種類のローパスから選択できるなど、ちゃんとしたアナログシンセであり、ホントにこれだけでも結構遊べてしまいます。
Windowsだと500msec程度ですかね、レイテンシーがあるのが辛いところ。ただ、こればかりはどうしようもありませんでした。一方、Macでも使ってみたら、さすがCoreAudioだけに、レイテンシーは100msec以下という感じで、かなりまともに使えます。マウスでポツポツ弾くのもなぁ……と思っていたら、PCのキーボードで弾くこともでき、和音も出すことができました。もしかして、MIDIキーボードもサポートしているのでは……と試してみたものの、さすがにFLASHがMIDIデバイスを掴むことができないのでしょう、それはできませんでした。
ここで気になるのはバックグラウンドに表示されているピアノロール。いったん、アナログシンセのウィンドウを閉じて、このピアノロール上でマウスを使って書き込んでみると、簡単にシーケンスパターンが作れ、再生ボタンを押すと2小節をループしながら鳴らすことができます。
ピアノロールで自在にデータ入力が可能
録音ボタンがあるから、アレ?と思ったら、PCのキーボードを弾くと、リアルタイムレコーディングができたり、1ステップずつの入力もできる仕組みになっていました。
さて、ここで画面右上の「Show Arrenge」というボタンを押すと、トラックが並ぶアレンジ画面に切り替わります。
アレンジ画面ではトラックを一覧にして曲全体を見渡せる
トラック1には今、入力したデータがあることも確認できます。さらに、トラックの先頭の「2」というボタンを押すと、今度はFM音源シンセサイザが起動してきます。ヤマハのDXっぽい4オペレータのシンセサイザです。こちらも結構いろいろなプリセットが用意されているので、これを選んでいくだけでもかなり楽しめますね。アルゴリズムも8種類から選択できるなど、パラメータも自由に設定することができます。そして、これも先ほどと同じように、ピアノロールでデータ入力をしていくことが可能です。
さらに「3」を押すと、今度はサンプラーが起動します。こちらはデフォルトの状態ではドラム音源となっており、パッドをクリックすると、808風な音が出てきます。
またプリセットをクリックすると、ここにもいろいろなものが用意されています。808以外にもJazz KitやTight Kitなど……。これを選択すると、サンプリングデータが読み込まれ、違うドラムマシンへと変身してくれます。
またInstrumentのほうを読み込むと、今度はサンプリング音源へと変身し、Banjo、Bass Guitarなどを鳴らすことが可能になるのです。
しかも面白いのは手持ちのサンプリングデータをアップロードすると、このサンプラーで使うことができるということ。WAVおよびMP3が使えるので、何でもできちゃいますね。
このようにしてトラックを作った結果、画面下のミキサーでミキシングすることが可能で、ここにはシステムエフェクトとしてディレイとリバーブが用意されているため、必要に応じて利用することもできるのです。
このようにして作ったデータをローカルに保存することもできるし、完成した曲を16bit/44.1kHzのWAVファイルで書き出すことまでできるんです。ここまで高機能になってくると、下手なソフトではかなわなくなってきそうですよ。ちょっと末恐ろしい(!?)感じですよね。
【関連情報】
Audio Saunaサイト