ヨーロッパのプラグインメーカー、United Pluginsが、WideFireという強力なプラグインを発表し、日本のソフトウェア販売サイトであるbeatcloud.jpを通じて無料配布を開始しています。これは従来からあるDarkFireというプラグインのコアエンジンを抽出した上で、サウンドを両サイドに広げるワイドナーとして仕立て直した新たなプラグイン。価格は4,490円と手ごろですが、3月11日~19日の9日間限定で無料配布となっています。無料配布が終わった3月20日からも4月30日まではイントロプライスとして低価格販売されるそうですが、今のうちに入手しない手はありません。
これはWindowsおよびMacのVST2、VST3、AU、AAXの各環境で動作するプラグインなのですが、本当に簡単な設定で倍音成分を追加・調整していくことが可能で、ガツンとパンチのあるサウンドにできるのが特徴。しかも、その追加・調整によってサウンドを左右に大きく広げることができるのが大きなポイント。いわゆるステレオイメージャーなどとも少し違った手法を使っているようで、完全なモノラルサウンドであっても、非常に立体感のあるサウンドに仕立てることも可能にするユニークなプラグインとなっているのです。実際どんなプラグインなのか、どのようにしたら無料で入手できるのかなどを紹介するとともに、これの技術のベースとなっているDarkFireについても併せて紹介してみたいと思います。
※2025.3.12 14:30追記
無料ということもあり、アクセスが集中し、今朝、シリアルの在庫が切れてしまったようです。beatcloud.jp担当者に問い合わせたところ、大量のシリアルを取り寄せている、とのこと。おそらく今日・明日には補充されて、無料配布が再開される模様です。新しい情報が入り次第お知らせいたします。
※2025.3.12 18:30追記
先ほど、17時過ぎに配布が再開されました。シリアルはかなりの数用意したとのことでしたですが、お早目の入手をお勧めします。
チェコ・プラハの小さなメーカーが作った強力なプラグイン、WideFire
この度新たに登場したWideFireは以前、「超ビットクラッシャーBITPUNKと不思議なモジュレータOrbtronがFL Studioとセットになって63%オフの27,500円の大特価販売中」という記事で紹介したことのあった、United Pluginsが開発したプラグイン・エフェクトです。もう少し正確にいうとUnited Pluginsはヨーロッパの小さなプラグインメーカーが集まってできた共同体のような会社なのですが、その小さなメーカーの一つでチェコ・プラハにあるJMG Soundが作ったのが、このWideFireというユニークなプラグインです。
実際どんな威力を持ったプラグインなのか、まずは以下のYouTubeビデオを見ると、その雰囲気が分かると思います。
英語での解説ではありますが、ヘッドホンで聴くか、しっかりしたステレオのスピーカーで聴くと、明らかなサウンドの変化が実感できると思います。
ベースとなるのはDarkFireで培われたアナログサチュレーター
では、このWideFireはどのような手法で、音にパンチを効かせたり、左右に音を広げているのでしょうか?そのベースとなっているのは前述のとおり、同社のプラグイン、DarkFireで培われたアナログサウンドを再現するサチュレーターです。
もちろん真空管やトランジスタを使ったサチュレーションを再現するプラグインはほかにもいろいろあります。しかし、DarkFireやこのWideFireでは単に信号を飽和させて歪んだ音にするというのではないのです。信号を飽和させた後に、ここで発生する倍音をいったん切り離し、個別に処理を加えた後で、元のオーディオ信号とブレンドするというユニークな手法を使っているのがUnited PluginsというかJMG Sound独自の手法です。
倍音というのはご存知の通り、基本音となる周波数の2倍、3倍、4倍、5倍……といった周波数の音であり、それが何倍なのか、奇数倍音なのか偶数倍音なのか…などによって意味合いが変わってきて、これらが追加されることによって音に豊かさや深み、また各楽器ならではの特徴を持たせることができます。
基本音はいじらずに、その発生した倍音だけを個別に処理してから、元のサウンドとミックスすることで、明瞭度を向上させながら、音に特徴を与えることができるのがこのプラグインの特徴。先ほどのビデオにもあったとおり、ドラムでもシンセでも、もちろんボーカル、ピアノ、弦楽器……などなど、さまざまなトラックで利用することが可能となっているのです。
HARMONICSを上げるだけで豊かなサウンドに
使い方は簡単です。WideFireをトラックに挿入した上で、中央のHARMONICS LEVELを上げていくだけで、サウンドが豊かな感じになっていきます。デフォルトは100で、この状態だと変化はなく、これを上げていくことで倍音が付加されていきます。そう、倍音は英語でHARMONICS。これで調整をしていくわけです。
またDRIVEはデフォルトでは0となっていますが、これを上げていくとよりパンチの効いた音にしていくことができますが、あまり上げ過ぎると音が潰れてしまうので、HARMONICS LEVELとバランスを取りながら調整するのがよさそうです。
一方で、HPはハイパスフィルタであり、これを上げていくとハイパスというかローカットになっていくので、ある程度ドライブをかけても、酷く歪まなくなる、というのもポイントです。さらにOUTPUTで最終出力を決める形になっているので、これをある程度絞った上で、サチュレーション度合いを上げていくと、音として破綻させずに、いい具合にパンチを効かせることができます。
なお右下にあるSIDE ONLYというスイッチも便利に活用できます。これをONにすると、その名のとおり、左右サイドのみにエフェクトを掛けることができる、芯の部分は大きく変えることなく、広がったサウンドのみを調整することが可能になるのです。
パラメータも少ないので、とりあえず適当に試してみると、勘所もつかめると思いますが、INITを除いて6つのプリセットも用意されているので、まずはこれを試してみてから調整してみる、というのもよさそうです。
音にパンチを加えたり、輝きを加えるためのDarkFire
このWideFireがDarkFireの技術をベースに作られている、という話をしましたが、ではWideFireの上位版がDarkFireなのか、というとそうではないようです。見た目もだいぶ違いますが、そもそも目的の違うプラグインとなっています。
そうWideFireはワイドナーとして音を広げることを目的としていて、その広げ方を演出するために倍音を調整する形になっているのに対し、DarkFireのほうは、サウンドに刺激、動き、深み、色彩を加えてエンハンサーとして機能させるプラグインとなっているのです。STEREOというパラメーターがあるので、これを使うことで、ある程度ワイドナー的な使い方も可能ではありますが、より幅い広い音作りを可能としています。このDarkFireも紹介ビデオがあるので、こちらをご覧になってみてください。
WideFireと比較するとパラメーターも多く、少し難しそうに見えるかもしれませんが、まずはプリセットを使うことで、目的に応じたパンチの効かせ方が可能になります。また、こちらはHPだけでなくLOW、MID、HIGHという3つのHARMONICS SHAPERがあるほか、COMP、DEPTH、MODといったパラメーターもあり、より積極的な音作りも可能になっています。
さらに上には入力、下にはDarkFireを通した結果を表すスペクトラムアナライザーが表示されるので、これらを見比べながら音づくりをしていくことも可能。曲を作っていて、何かパンチが足りないというときに大きな力を発揮してくれそうなプラグインです。
WideFireを無料で入手する方法
さて、そんなUnited PluginsのWideFireが3月11日~19日限定で無料で入手できるわけですが、その流れを簡単に紹介しておきましょう。
まずはbeatcloudのWideFireのページに行って、カートに入れるボタンをクリックします。
すると、¥0と出ているはずなので、「お会計へ」ボタンをクリックしましょう。この際、beatcloudにサインインしていない場合はメールアドレス、パスワードを入力してサインインします。またbeatcloudのアカウントを持っていない場合は、新規登録をクリックして、登録を行ってください。
改めて、ご注文情報ページで、¥0となっているのを確認の上、「注文内容の確認」をクリックすれば注文完了。
その後、マイページから注文履歴を見ると、ライセンスキーが入手できているのを確認できるはずです。また同様のライセンスキーがメールでも届くはずです。
さて、このライセンスキーが無事入手できたら、その後のインストール方法はメールにPDFマニュアルが届くのでそちらを参照してください。簡単にいうと、United Plugins Managerなるインストーラを入手するとともに、United Pluginsでのアカウントを登録し、ここに入手したライセンスキーを登録した上で、インストールする形です。iLokなどのドングルも不要だし、インターネットアクティベーションなども必要ないので、扱いはとっても簡単ですよ。
以上、WideFireおよびDarkFireについて紹介してみましたが、とくにWideFireは3月19日まで無料なので、入手して絶対に損のないプラグインだと思います。仮にこの記事を3月20日以降に読んだという方でも4月末まではかなり安い価格で入手できるはずなので、勝っておいて損はないはず。その上で、DarkFireについても入手を検討してもいいのではないでしょうか?
なお、DarkFireを購入すると、無料配布期間終了後もWideFireのライセンスがもらえるとのことなので、DarkFire購入をするつもりなら、急がなくてもいいかもしれませんね。
【関連情報】
WideFire製品情報
DarkFire製品情報
コメント
DTMステーション効果なのか、在庫切れ(シリアルナンバー枯渇パターンでしょうか?)になってますね。みなさん、興味津々のようです。
在庫復活してました!