音楽制作に必要なリバーブの要素を1つに集約した、ある意味で究極のリバーブともいえるプラグイン、DimensionsがSoftubeからリリースされました。Dimensionsは、Spring、Plate、Concert Hall、Room、Random Hall、Cathedralという6つのアルゴリズムを搭載しており、色彩豊かなリバーブから幻想的な表現、各ソースを結びつけるリバーブなど、制作に必要なほぼすべてのリバーブを搭載。またリバーブテールビジュアライザを搭載しているため、リバーブの長さや質感を視覚的に判断することができ、パラメータもシンプルなため、初心者でも自分の楽曲に適した、残響感を演出することが可能となっています。
さらにShimmerリバーブという、幻想的で煌めくようなサウンドを作り出すことのできるアルゴリズムも搭載されており、通常のリバーブでは表現できない響きを加えることもできます。価格は、23,090円(税込)となっていますが、2025年2月24日~3月2日までの1週間限定の短期プロモーションということで15,340円という価格で販売されています。そのDimensionsを試してみたので、これがどんな製品なのか紹介していきましょう。
幅広いキャラクタのリバーブを使うことができるDimensions
まずは、Dimensionsがどんなリバーブなのか、サウンドを確認してみてください。
クセがなく、あらゆるソースに使えるリバーブですよね。ミックスの邪魔にならず、空間を表現したり、各楽器の間を繋ぐこともできるし、積極的にDimensionsを掛けていって、大胆にサウンドを変化させることもできそうですね。冒頭にも書いたように搭載しているリバーブのアルゴリズムは6つ。それぞの特徴は以下のようになっています。
Dimensionsに搭載されている6つのアルゴリズム
Spring テープエコーユニットをモデルにしたクラシックなスプリングリバーブ。個性的なキャラクタが特徴。
Plate ボーカルやドラムに最適な密度のあるリバーブ。3つのメカニカルプレートエミュレーションと1976 年のクラシックデジタルプレートリバーブのエミュレーションを搭載。
Concert Hall ボーカルとシンセに欠かせないコンサートホールアルゴリズム。豊かで広がりのある定番のリバーブ。
Room スタジオの雰囲気を出したり、短めのリバーブに最適なアルゴリズム。
Random Hall あらゆるソースにマッチする空間表現を備えたリバーブデザインの最高峰。オープンでクリアなサウンドが特徴。
Cathedral 長い残響と美しいモジュレーションが特徴。シンセをより大きく、生き生きとしたサウンドに変化させる
以上のアルゴリズムを使ってリバーブ感をコントロールすることができるわけですが、さらにどのアルゴリズムでもShimmerエフェクトを使って、美しい倍音を加えることで、より幻想的で印象深い仕上がりを実現することも可能。では実際にDimensionsを開きながら、より具体的にどのようなプラグインになっているのか、見ていきましょう。
各アルゴリズムのページでさらにリバーブを作り込むことができる
Dimensionsは、上段にリバーブテールビジュアライザ、下段に各種パラメータがまとまっています。リバーブテールビジュアライザは奥行きがリバーブのタイム、左右が周波数を示しており、左側が低音域、右側が高音域となっています。
アルゴリズムは、左下にあるREVERB ALGORITHMから選択することができ、選択するとそれぞれの固有のパラメータが右に表示されます。下段中央のPREDELAY、DARK/BRIGHT、TIME、DRY/WETは、全アルゴリズム共通。試しにPREDELAYやTIMEを調整してみると、リバーブテールビジュアライザに状況が反映されていましたよ。まず基本的なリバーブの設定はしておいて、その後アルゴリズムを変えながらキャラクタを調整していくという使い方ができますね。
シチュエーションに応じて選択する6種類のアルゴリズム
ギターに最適であるSPRINGでは、モードをFullまたはBrightから選択可能。Fullは、低音まで豊かなサウンドになっていている一方、Brightは低音がミックスの邪魔をしている場合やスプリング感だけがほしいときにおすすめの設定となっています。また、BASS、TREBLEも搭載しているので、ここで±12dBのブースト/カットを行うこともできるようになっています。
ボーカルやドラムに使われるPLATEは、機械式アナログプレートを再現したAnalogとデジタルプレートのDigitalの2つからTypeを選ぶことができます。Analogを選ぶと、COLORからBright、Medium、Darkを選択可能になります。Brightは長いディケイの明るくボーカルに最適なカラーで、Mediumは短いディケイの高音域の減衰が顕著なダンパー付きプレート。Darkは、クラシカルなダークプレートサウンドとなっています。
TYPEをDigitalにすると、BASS MULT、BASS FREQ、TREBLE MULT、MODULATIONを操作できるようになり、カットオフ周波数以下のリバーブの長さを短くしたり、リバーブのモジュレーション量を調整可能になります。このモードでは、Analogよりもリバーブテールをより細かく制御できるようになっているわけですね。
どんなソースにも使うことができるROOMには、リバーブの開始を調整するSHAPE、拡散の量を調整するDIFFUSIONが搭載されています。TONEのセクションでは、カットオフ周波数以下のリバーブの長さを短くしたり長くしたりするローシェルビングフィルタのBASS Mult/BASS Freq、高音ダンピングのカットオフを設定し、カットオフ周波数を超えるリバーブの長さを短縮できるTREBLE DAMPINGを装備。MODULATIONセクションでは、Light、Medium、ChorusからTYPEを選ぶことができ、AMOUNTでモジュレーションの量を調整することが可能です。
CONCERT HALLは、ROOMと基本的な部分は同じですが、ROOMよりも広い空間を再現。根本となるアルゴリズムはROOMと同様なので、パラメータも同じものを搭載しています。CONCERT HALLはもさまざまなソースに使うことができ、特にボーカルやパーカッション以外の楽器に最適なアルゴリズムとなっています。
RANDOM HALLには、スペースの大きさを設定するSIZE、リバーブの開始を設定するSHAPE、SHAPEと組み合わせてオンセットのサイズを指定するSPREAD、拡散の具合を調整するDIFFUSIONといったパラメータを搭載しています。TONEに関してはROOMやCONCERT HALLと同じパラメータが装備されており、MODULATIONには変調の速度を調整するSPIN、変調のレベルを調整するWANDERが搭載されています。
Cathedral(大聖堂)を模したこのアルゴリズムは、部屋の寸法や現実感を感じさせない豊かで長いサウンドになるよう設計されており、リバーブの開始の距離感を設定するSHAPE、リバーブの拡散の値を設定するDIFFUSION、カットオフ周波数以上または以下のリバーブの長さを調整するBass Mult/Bass FreqとTreble Mult/Treble Freq、モジュレーションの掛かり具合を調整するAMOUNTが搭載されています。Cathedralは、パッドやシンセの音色におすすめのアルゴリズムとなっていますよ。
幻想的で煌めくようなサウンドを追加するShimmerリバーブ
ここまで、6つのアルゴリズムについて紹介してきましたが、前述の通りどのアルゴリズムでもShimmerリバーブを使えるようになっています。Shimmerリバーブ自体は、割と最近誕生したエフェクトで。2010年に登場したStrymon BlueSkyのShimmerモードが元となっています。ピッチシフターとリバーブが組み合わさったような作りとなっており、1オクターブ上を鳴らすことで、煌めくようなサウンドにしたり、逆に1オクターブ下を加えることで、よりダークな印象のリバーブを作ることが可能。
Dimensionsに搭載されているShimmerリバーブのパラメータは、Shimmerの効果量を調整するAMOUNT、-12から+12まで設定可能なPITCH、ピッチシフターを通過させる回数を調整するFEEDBACK、ピッチシフトさせるまでの時間を調整するATTACK、そしてHIGH CUTとなっています。
以上、Dimensionsについて紹介しました。音楽製作に必要なリバーブを網羅し、Shimmerリバーブも搭載しているDimensions。2025年2月24日~3月2日の1週間限定での短期プロモーションセールが開催されているので入手するなら今がチャンス。なお20日間試せるデモ版もあるので、まずはそのサウンドを一度確かめてみてはいかがでしょうか?
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