本日10月28日にiZotopeのNeutron(ニュートロン)最新バージョンNeutron 5(新規通常価格41,600円税込)がリリースされました。ご存知の方も多いとは思いますがNeutronの特徴は、AIによるミキシング。トラックにインサートして、ボタンを押せば、解析が始まり、自動でいい感じに仕上げてくれる、というものでした。バージョンが上がるにつれ、その精度が上がり、単体のトラックだけでなく、ほかのトラックとの兼ね合いでボリュームを調整してくれたり、周波数の被りを解消できたり、リファレンスとして読み込んだサウンドに近づけてくれたり、と初心者でもクオリティの高いミックスを実現できる夢のツール。
そして今回のバージョンアップでは、よりミックスの精度を上げてくれる、ミックスのベストを引き出すためのモジュールや各機能が追加されています。モジュール的には、Clipper module、Density module、Phase moduleという3つが追加されていて、既存のモジュールも含めてMid/SideとTransien
Neutronって、そもそもどんなソフト!?
Neutronは、iZotopeが開発しているミックスに特化したプラグイン。DTMerであれば利用している人が非常に多いツールであるiZotopeのOzoneがマスターに挿して使うプラグインで、楽曲全体を最後にAIの力でいい感じにしてくれるのに対し、各トラックをAIの力でいい感じにしてくれるのがiZotopeのNeutronというわけです。
Neutronの最大の特徴は、トラックを解析して、最適なプラグインの配置やパラメータのコントロールを行ってくれるミックスアシスタント機能。AIでいい感じにしたいトラックにNeutronをインサートして、アシスタントボタンを押してトラックを再生するだけでOK。後は、適切なモジュールが並び、パラメータが調整された状態ができあがります。もし「もうちょっとハイを上げたい、もっと存在感を出したいけど、EQとかのエフェクトの使い方が分からない…」という場合でも、アシスタントビューに効果的なパラメータが並んでいるので、直感的にそのパラメータを調整するだけで好みのサウンドを作れるのもポイントです。
ディティールボタンを押せば、各モジュールがどのように並んでいて、どのようなセッティングが行われているのか確認できるので、初心者の方がミックスを学ぶのにも最適。この画面では、ある程度エフェクトのことが分かる方であれば、さらに詳細に音を作り込むことが可能で、ゼロからエフェクトを並べて調整していくよりも早いし、ある程度方向性が決まっているので、迷わずミックスを進めることができますね。またリファレンスとなるファイルを読み込んで、その音質に近づけてくれる機能も搭載しています。
また、ミックスではほかのトラックとの兼ね合いも大切ですよね。まずは、ボリューム。これも、Neutronを使えば自動で調整することが可能です。ミックス対象のトラックすべてにNeutronをインサートして、マスターにNeutron Visual Mixerをインサート。バランスアシスタントボタンをクリックして、手順通りに進めれば、すべてのトラックのボリュームバランスを取ることもできてしまうのです。またこの際、フォーカスしたいトラックを選んで、そのトラックを強調することも可能です。
そして、ほかトラックとの兼ね合いといえば、周波数帯の被り問題。ミックスの基本的な部分であるものの、なかなか判断が難しい処理も、Neutron Unmaskというプラグインをインサートすれば解決。たとえば、オケとボーカルの場合、オケにNeutron Unmaskをインサートして、サイドチェーンでボーカルを選択。すると、被りの部分が表示されるので、Neutron Unmaskの中央に配置されている4つのノブを使うことで、被りを回避することができるのです。周波数的に被りがあると、いくらボリュームを大きくしても聴こえなかったり、オケに馴染まなかったりするので、Neutron Unmaskを使うことで視覚情報からも、この被り問題を解決していくことが可能なわけです。
さてそんなNeutronですが、Unmaskを使ったようにNeutron本体をインサートするだけでなく、Neutronに搭載されている各モジュールを単体のエフェクトプラグインとして使えるのもポイント。EQ、コンプをはじめとする、10種類のエフェクトを単体のプラグインとして利用できるわけですが、EQやコンプはDAWに最初から付いていることがほとんどなのでとりあえずいいとして、エキサイタやトランジェントシェイパー、クリッパーなど、ちょっと特殊なプラグインは付属していませんよね。もし仮に購入しようと思ったら、ものにもよりますが、1万円前後はするでしょう。AIの威力がすごすぎて気づきにくいですが、そんなエフェクトが多数収録もされていてるので、実はコスパがよかったりもするのです。
Neutron 5に追加された3つのモジュール
さて、前置きが長くなりましたが、Neutron 5に新しく搭載された3つのモジュールから簡単に見ていきましょう。まずは、Clipper moduleです。そもそもクリッパープラグインとは、大きく分類するとコンプレッサやリミッター、マキシマイザなどと同じようなダイナミクスをコントロールする類のエフェクトで、使い所としては、コンプレッサやリミッターと同じような場所に使います。コンプレッサがスレッショルドを超えたものを圧縮する一方、クリッパーはスレッショルドを超えた波形を切り取ります。そのため、コンプレッサの方が音質変化が少なく、クリッパーは音質変化が多いのですが、それがいい感じに歪んでくれて、サチュレーターとはまた違った、パンチ感を出すことができるのです。そんなクリッパーが追加されたので、Neutron 5でより作れるサウンドの幅が広がったわけです。
次にDensity moduleです。これは、信号のアタック成分に影響を与えずにダイナミックレンジをコントロールモジュール。トラックの存在感を上げることができ、アタック感はそのままにしたいけど、もう少し音の太さがほしいときなどに使うことができます。タイトさが崩れたりするわけでなく、ボディの部分のボリュームが上がり、ガツンと圧力感を加えたり、繊細にディティール感、深みを足すことが可能です。
Phase moduleです。これは、複数のマイクが立てられたドラムや、ラインとマイクで収録したアコギなどで起こる、位相の問題を解決してくれるプラグイン。どうにも音が抜けてこない、低音域が滲んだりする、パンチ感が出ないというのは、そもそも位相に問題がある可能性があり、これを解決してくれるのです。波形を前後に動かす操作はDAW上でも行えますが、Phase moduleはDAWでも行えない回転動作にも対応。通常でも行えるものとしてフェイズスイッチを押すと、位相が180度回転しますが、それを-180度から+180度の360度、自由な位置で調整することができるようになっています。さらにLeam機能も付いているので、自分で調整する必要もなし。特に自分でレコーディングする方にとっては、必須アイテムが追加されたというわけですね。
Neutron 5に追加された便利機能
そのほか、追加された機能として、最近のiZotope製品に搭載されてきたDeltaボタンがNeutron 5の各モジュールにも搭載されました。これは非常にシンプルな機能で、ボタンを押すとエフェクトが掛かっている部分だけを聴けるというもの。たとえばエキサイターで使った場合だと歪み成分だけが聴こえくるので、どのぐらい歪みを足しているか判断しやすいし、コンプで使えば圧縮している部分だけ聴こえてくるので、アタックやリリースが調整しやすくなります。こういった差分のモニタリングがすべてのモジュールで行えるようになりました。
またアシスタントビューがアップデートされています。表示される項目が、ToneをコントロールするEqualizer、Sculptor。DynamicsをコントロールするDensity、Compressor。SaturationをコントロールするDrive、Tone、XYパッド。最後にWidthと、トーン、ダイナミクス、サチュレーション、広がりの4つから簡単にトラックをコントロールする仕様に変更されています。また全体的なGUIも刷新されクリアで分かりやすくアップデートされています。
ここまでが新しく追加された機能ですが、Neutron 5 Elementsはアシスタントビューのみがアップデートされているようです。ちなみに、Neutron 5は Elementsと無印のNeutron 5という2つのラインナップが存在しており、本格的にミックスを行うのであれば、最新の機能がすべて搭載されているNeutron 5無印版が断然おすすめ。ちょうど、イントロセール中でお得に買うことができるので、これについても詳しく紹介しましょう。
最大50%OFFのイントロセール実施中
Neutron 5のイントロセールは11月13日まで以下の表の通りに実施されています。Neutron 5というのはiZotope製品を1つも持っていない人が新規で購入する価格。クロスグレードは、iZotope製品を1つでも持っていれば適応される価格。またNeutron 4からのアップグレードもセール対象となっています。Neutron 5 Elementsはクロスグレードやアップグレードプランはなく、新規購入のみとなっていますね。
商品名 | 通常価格(税込) | セール価格(税込) |
Neutron 5 | ¥41,600 | ¥29,120 |
Neutron 5 クロスグレード | ¥33,900 | ¥20,340 |
Neutron 5 アップグレード | ¥33,900 | ¥16,950 |
Neutron 5 Elements | ¥8,500 | ¥5,950 |
また、冒頭でも書いたようにNeutron 5が収録されているiZotopeのバンドル製品Music Production Suite 7もセール中です。ここには以下の製品が含まれています。なお、Music Production Suite 6.5からの変更はNeutron 5のみなので、6.5から7へのアップグレードは、Neutron 4からNeutron 5と同価格になっています。
RX 11 Standard
Ozone 11Advanced
Nectar 4 Advanced
Tonal Balance Control 2
Neoverb
VocalSynth 2
Insight 2
Audiolens
Symphony 3D by Exponential Audio
Stratus 3D by Exponential Audio
Native Instruments Guitar Rig 7 Pro
8つのNative Instrumentsプラグイン
6つのBrainworxプラグイン
価格は以下の通りです。
商品名 | 通常価格(税込) | セール価格(税込) |
MPS7 | ¥101,800 | ¥71,260 |
MPS7 クロスグレード | ¥84,800 | ¥59,360 |
MPS7 アップグレード(any version) | ¥50,800 | ¥35,560 |
MPS7 アップグレード(from 6.5) | ¥33,900 | ¥16,950 |
ほかにもiZotopeのバンドル製品がセールされているようなので、こちらはぜひiZotopenのページからご覧ください。また、このセールで購入した方は毎年恒例11月開始予定のCyberSeason日本限定特典の対象となるようです。詳細はまだ発表されていませんが、おまけでいろいろとゲットできるので、公開したらチェックしてみてくださいね。なお、国内においては以下の特典があるのも大きなポイントですので、ぜひこのタイミングに入手してみてください。
日本限定特典について
Neutron 5単品(新規/UPG/CRG含む)やMPS 7などNeutron 5を含む各種バンドル製品を国内購入されたすべての方は、11
※メーカー直販サイトや海外販売店での購入は対象外とのことです
※2024.10.30追記
記事初出時、MPS 7にVEAとTrashが入ると記載しておりましたが、誤りでこれら2製品は入っておりません。お詫びして訂正いたします。
【関連情報】
Neutron 5製品情報
【価格チェック&購入】
◎MIオンラインストア ⇒ Neutron 5 , Neutron 5クロスグレード , Neutron 5アップグレード
◎MIオンラインストア ⇒ Neutron 5 Elements
◎MIオンラインストア ⇒ MPS7 , MPS7クロスグレード
◎MIオンラインストア ⇒ MPS7 アップグレード(any version) , MPS7 アップグレード(from 6.5)