DTMをメイン題材にした青春音楽映画、『バジーノイズ』が5月3日より全国ロードショー

これまでDTMっぽいものがテレビドラマに出たとか、アニメでちらっとDAWが登場した……なんてケースはありましたが、この度、DTMそのものを題材にした映画、『バジーノイズ』が誕生し、ゴールデンウィーク中の5月3日(金)に全国ロードショーとなります。主演はアイドルグループJO1の川西拓実さんと、女優の桜田ひよりさん。監督は人気ドラマ『Silent』の監督も務めた風間太樹さんで、原作はビックコミックスピリッツで2020年まで連載された、むつき潤さんの同名作品『バジーノイズ』となっています。

このバジーノイズ、DTMで音楽を制作しながらストーリー展開していくといもので、その内容も感動できるし、俳優さんもすごくいいのですが、DTMステーション的には、どんな機材がどう使われているのかも重要な見どころ。先日、バジーノイズの配給元であるギャガで試写会に参加することができたので、その内容や見どころについてちょっとだけ紹介してみましょう。

DTMをテーマにした映画『バジーノイズ』が5月3日より全国でロードショー

NI製品はじめDTM機材が続々と登場。DAWはAbleton Live

川西さん演じる主人公の清澄が、団地の前でiPhoneを持つ手を高く上げるシーンからスタートするバジーノイズ。そのiPhoneにはZOOMの球体型マイク、iQ5が取り付けられていて風の音などをレコーディングしているんです。もともと「DTMが大きなテーマの映画だよ」、という話は聞いてはいたのですが、この最初シーンからいきなり中に引き込まれていくと同時に、どんな機材が出てくるんだ!とストーリーとはちょっとズレた興味も津々に。

バジーノイズのチラシにある[Story]というところを引用すると以下の通り。

何もいらない。頭の中に流れる音を、形にできればそれでいい。そう思っていた清澄は、すきなこともやりたいこともなく、他人の「いいね」だけを追いかけてきた潮に出会う。「寂しくって、あったかい」清澄の音楽に初めて心を震わせた潮は、たくさんの人にそれをとどけたいと、SNSでバズらせる。潮に導かれバンドを組んだ清澄が、仲間と音を創り出す喜びに目覚めた時、突然、潮が姿を消す。心に空いた空洞に、どう対処していいか分からない清澄を、音楽はさらに新たな道へと導こうとしていた……。

この文を読んで、映画を思い返すと、そのときの感動、感激がフラッシュバックする感じですが、この文で言う音楽こそが、まさにDTMで作っていくものなんです。そのバジーノイズの予告ビデオがこちら。

この予告ビデオにも少しでてきますが、映画の冒頭で、仕事先から戻った清澄の部屋が映し出されます。ここで清澄は趣味として音楽制作をしているのですが、このシーンで最初に目に飛び込んでくるのが、Native Instrumentsの32鍵のミニキーボード、Komplete Kontrol M32。おお、可愛い手頃な鍵盤を使ってるんだな、と目を上げるとMacBookの画面にはAbleton Live。おそらくLive 11ですね。これを使って、チル系、Lo-Fi系の音楽を打ち込んでいってるんです。

Machine Mikro MK3を使ったフィンガードラムシーンも秀逸

リズムはKKM32の隣においてあるNIのMaschine Mikro MK3。川西さん、かなり完璧な感じで叩いてますね。ヘッドホンはオーディオテクニカのモニターヘッドホンATH-M50xを使ってるようです。

この制作シーンでの音響もすごくリアルにできているのも、関心するところ。団地の部屋でスピーカー使って大きめに音出すシーンでは、まさにこうなるだろう…っていう感じのサウンドになっていて、単にBGMを映像に当て込んだというのとは訳が違うんです。

その結果、クレームが来て部屋を出ていかざるを得なくなる……というストーリー展開にもつながってくるのですが、DTMの細かいところまでしっかり描いてるんですよね。

セッションシーンやライブシーンも、シンセを持ち込むのではなく、Ableton Liveを動かすMacとKomplete Kontrol S61をセッティングしてソフトシンセを演奏しているあたりも面白いところ。映画の情景から見て昨年の撮影なんでしょうね。Komplete Kontrol S61は現行機種のMK3ではなくMK2となっていました。

主人公の清澄役の川西さん、フィンガードラムも経験はなかったようですが、一昨年DTMステーションPlus!の番組「MPC KEY61 徹底解剖」にも出演いただいたMPC GIRL USAGI(@usagibeats)さんが、フィンガードラム指導を行っていたようです。かなり練習されたのだと思いますが、上手かったですね。

舞台は横浜。プロの制作現場もしっかり再現

個人的にもう一つ気に入った点は、舞台が私が住んでいる横浜であるという点。みなとみらいのパシフィコ横浜の海側=臨港パークに機材を持ち込んで音楽制作したり、演奏したりするシーンもすごくいい感じです。スピーカーはMacbookのバスパワーで鳴らす小さなスピーカーしか持って行ってないのに、こんな大きい音出るわけないじゃん!って、ちょっと突っ込みたくなったことは確かですが、そこは演出上、仕方なかったのかな…とも。

映画の後半では、清澄がメジャーレーベルの地下スタジオに軟禁されて、プロ作家としてひたすら曲を作っていく…という話になっていくのですが、さすが大手のスタジオだけあって、機材もグレードアップしていきます。アウトボードなども並び、メインのモニタースピーカーはFocal ProfessionalのShape 50。またその奥にはST TWIN 6が。それでも、使い慣れたKKM32とMachine Mikroを使っているあたりも共感するところでした。

試写会終了後も数日間は頭の中がバジーノイズの映画から抜けさせないほどでしたが、これを見たらDTMを始めたくなる人がいっぱい登場するのでは……とちょっぴり期待するところ。DTMerのみなさんであれば、絶対にいろいろな面から面白いので映画館に行ってバジーノイズを見ることをお勧めします。そして、DTMに興味をもちそうな人も誘ってもらってもらえるといいな、と。

Native Instrumentsが映画『バジーノイズ』公開記念キャンペーン実施中

先日行われたイベントの特設展示で映画に登場した機材と一緒に予告編も流されていました

映画の中で、オーディオインターフェイスにはNative InstrumentsのKomplete Audio 1やKomplete Audio 2が登場するなど、Native Instruments製品がすごく多いな…と試写会を思ってみていましたが、最後のエンドロールの協力企業のところにNativen InstrumentsやMedia Integrationの名前が挙がっていて、なるほど、と。

そのNative Instrumentsが、『バジーノイズ』公開記念キャンペーンとして、2つのセット製品、「はじめての曲作り3点セット」(税込29,500円)と「はじめてのビートメイク 3点セット」(税込39,800円)のそれぞれを4月23日〜5月30日の期間販売しています。いずれも映画の中に登場する機材をセットにしたもので、通常の約半額になる特別価格である、とのこと。

はじめての曲作り3点セット

「はじめての曲作り3点セット」はPCとヘッドホンさえあれば、すぐにDTMをスタートできるオーディオインターフェイス=KOMLETE Audio1、鍵盤=Komplete Kontrol M32と音源=Komplete 16 SELECTをセットにしたもの。

はじめてのビートメイク 3点セット

一方の「はじめてのビートメイク 3点セット」はMaschine Mikro MK3とKomplete Audio 1(、Komplete 14 Selectを競ってにしたものとなっています。いずれもこれらハードに加え、以下のソフトもバンドルされています。

DAW:ABLETON LIVE 11 LITE (Komplete Audio 1に付属)
iZotope Ozone Elements (A.I.マスタリング・アシスタント)
iZotope Neutron Elements (A.I.ミキシング・アシスタント)
iZotope Nectar Elements (A.I.ボーカルアシスタント)
iZotope RX Elements (ノイズ除去アシスタント)

またすでにMachineを持っているユーザーもXに[#buzzynoise  #maschine]のハッシュタグを添えて、Machineの魅力コメントをそのサウンドとともに投稿することで、抽選で10名に映画チケットがプレゼントされるとのこと。詳細は、Native Instrumentsのキャンペーンページをご覧ください。

【関連情報】
映画『バジーノイズ』公式サイト
映画『バジーノイズ』公開記念キャンペーン
NI Komplete Kontrol M32製品情報
NI Machine Mikro MK3製品情報
Focal Shape 50製品情報