1932年創業のイギリスの老舗オーディオメーカー、WHARFEDALEのプロオーディオラインであるWHARFEDALE PROから、6.5インチ径ウーハーのモニタースピーカーDiamond Studio 7-BT、5インチ径ウーハーのDiamond Studio 5-BTが発売されています。このDiamond Studio BT Seriesは、現在も世界中で売れ続けるロングセラーモデル、WHARFEDALEのDiamondシリーズの名前を引き継いでいて、比較的低価格でありながら、音楽制作に必要とされる要素をクリアしたモニタースピーカーとなっています。
スタジオモニターとして使うことができるのはもちろんのこと、Bluetooth機能も搭載しているので、リファレンス曲を手軽に流して確認したり、音楽制作用としてだけでなく、ホームスピーカーとして使う際にも便利です。しかも、2台のスピーカーをTWS(True Wireless Stereo)というシステムを使ってワイヤレスでペアリングしてくれるので、Bluetooth使用時に左右のスピーカーをケーブルで接続する必要はなし。DTM業界では、あまり馴染みのないWHARFEDALE PROですが、Diamond Studio 5-BTを使ってみたら、なかなかよかったので、音質や使い勝手など、WHARFEDALEの歴史とともに紹介していきましょう。
Bluetooth接続も可能なモニタースピーカーDiamond Studio 5-BT
1932年創業のWHARFEDALEのプロオーディオ部門WHARFEDALE PRO
WHARFEDALE PROは、あまりDTM業界では馴染みがないブランドではありますが、PAスピーカーやミキサーなどを開発・販売しているメーカーでもあるので、ライブ系に詳しい方であればご存知かもしれません。WHARFEDALE PROは、もともと1932年創業の老舗オーディオメーカー、WHARFEDALEが、市場からの熱望に応える形で、プロオーディオ専門ブランドとして1980年に設立したもの。現在は世界90ヶ国に輸出を行うブランドに成長しています。WHARFEDALE PRO製品は、既製品のパーツを使うことなく、部品をゼロから製造、すべての生産を同じ場所で一貫して行うことにより、高いクオリティを保っているメーカーでもあるのです。
老舗オーディオメーカーWHARFEDALEのプロオーディオ専門ブランドWHARFEDALE PRO
WHARFEDALEのスタートは、1932年。ギルバート・ブリッグスさんという方が、イギリス・ヨークシャーにある自宅の地下室でスピーカーを自作したことから始まりました。1945年には、現代のラウドスピーカーの原型となる初の2ウェイスピーカーを開発。そのため、後にギルバート・ブリッグスさんはハイファイオーディオにおけるパイオニア的な存在と認知されるようになりました。そして、1981年に超小型のスピーカーDiamond Series発売。独自のドライバーを開発し、高速でタイトなサウンドを実現したこのスピーカーは、その後シリーズ化され、今もなお発売されています。特にDiamond 220というスピーカーは、What Hi-Fi Awards 2014でベストスピーカーに認定されています。
ベストセラーDiamond Seriesの名を受け継いでいるDiamond Studio BT Series
Diamond Studio BT Seriesは2ラインナップ展開
そんなWHARFEDALEからスタートしたDiamond Seriesの名前を継いだ、スタジオモニターが今回紹介するDiamond Studio BT Seriesです。Diamond Studio BT Seriesは、冒頭でもお伝えしたように6.5インチ径ウーハーのモニタースピーカーDiamond Studio 7-BT、5インチ径ウーハーのDiamond Studio 5-BTの2ラインナップで展開されています。それぞれの定価は以下の通り。
Diamond Studio 5-BT | 1台 39,600円税込 ペア 79,200円税込 |
Diamond Studio 7-BT | 1台 44,000円税込 ペア 88,000円税込 |
Diamond Studio BT Seriesの特徴は写真を見ていただけると分かるように、ウーハーのコーン素材が、一般的なスピーカーと違います。このゴールドの部分は、グラスファイバー製となっており、通常の紙のコーンに比べて、剛性が高く、レスポンスが早いため、モニタースピーカーとして最適だというのです。ビジュアル的にも、このゴールドのウーハーがカッコいいので、見た目だけでもグッとくる方も多いのではないでしょうか?
リアには見てみると、ここには標準ジャックでもXLRでも接続可能なコンボジャック、RCAが用意されています。ツマミとしては、VOLUME、HF LEVEL、LF LEVELがあり、自宅の環境によって調整を行えるようになっています。
コンボジャック、RCA、VOLUME、HF LEVEL、LF LEVELがリアに搭載されている
簡単操作で接続可能なBluetooth機能を搭載。左右のスピーカーはワイヤレスでリンク
そして、左上にはTWSというボタンが搭載されています。Bluetooth機能が搭載されているモニタースピーカー自体そもそも珍しいですが、中でもDiamond Studio BT Seriesは、左右のスピーカーを有線で繋がなくとも、Bluetooth使用時、両方のスピーカーがリンクしてくれるのです。
2つのスピーカーを有線で接続しなくてもリンクする、TWS(True Wireless Stereo)というシステムを採用
Bluetoothを使う際のセッティングは非常に簡単で、まず2台とも電源を入れたら、このTWSボタンを長押し。Bluetoothランプが青色で点滅したら、片方のTWSボタンを素早く2回押します。すると操作した側のBluetoothランプが青色と赤色で点滅し、ステレオペアを自動で行います。
その後、手元にあるiPhoneなどから、いつものようにBluetooth接続を行うと、Diamond Studio BT SeriesがBluetoothスピーカーとして利用可能になります。
Bluetooth接続もできるので、ホームオーディオ用スピーカーとしても便利に使える
もちろん、Bluetooth接続をしつつ、XLRケーブルなどを使ってオーディオインターフェイスと繋ぐこともできるので、音楽制作用としても、普段使い用としても、ケーブルを差し替えたりする必要なく利用できます。手軽にスマホから音楽を流せるようになるので、リファレンス曲を流したいときも、簡単に対応することができますね。初めてモニタースピーカーを導入する方も、ガッツリ音楽制作だけに使うだけでなく、ほかの用途としても便利なので、初心者おすすめです。
音楽制作を行いながら、リファレンス曲をスマホからすぐに流すことも可能
コストパフォーマンスの高い、モニタースピーカーDiamond Studio 5-BT
ライトな使い方も、ヘビーな使い方もできるDiamond Studio BT Seriesですが、重要なのは、ちゃんとモニタースピーカーとしての音をしているかどうかという点ですよね。試聴したのはDiamond Studio 5-BTなのですが、結論からいうと、このスピーカーはアリだと思います。実勢売価がペア6万円以下で、この出音ならコストパフォーマンスが高いと感じました。スタジオモニターであるため、フラットに鳴っていますが、つまらない音ではなく、作曲・編曲しているときに聴いてもテンションの上がるサウンドだと思います。また、グラスファイバー製コーンを使っているからレスポンスが早いというだけあって、音の立ち上がりもよく、元気なサウンドをしています。これまで、ヘッドホンでしかミックスをしてこなかったという人にこそ、一度このスピーカーは試してほしいですね。
Diamond Studio 5-BTは、DTMで使うモニタースピーカーとして最適
モニターヘッドホンだけでなく、モニタースピーカーも活用してミックスしよう
基本はモニターヘッドホンだけでなく、モニタースピーカーも使用した方がいいとされています。理由として、モニタースピーカーであれば、客観的に楽曲をチェックしやすく、また全体的なバランスも取りやすいからです。ある程度の音量を出せば、耳だけでなく、音を体感することができます。現代でも名作たちは、レコーディングスタジオでスピーカーを鳴らして作られていることを考えると、スピーカーの重要性は高いと考えられます。もちろんモニターヘッドホンを使うことも大切なので、バランスよく使っていきたいところです。これまでヘッドホンしか使ってなかった人こそ、一度スピーカーでミックスしてみると、新たな発見をすることができると思いますよ。
Diamond Studio BT Seriesのスペックをチェック
ちなみにDiamond Studio BT Seriesのスペックは以下の通りとなっています。さらに細かいスペックはウェブページで確認できるので、ぜひ見てみてください。
モデル名 | Diamond Studio 5-BT | Diamond Studio 7-BT |
システムタイプ | アクティブ5インチ2ウェイバイアンプ | アクティブ6.5インチ2ウェイバイアンプ |
周波数範囲(-10 dB)アナログ入力 | 45 Hz-25 KHz | 38 Hz-25 KHz |
最大SPL(ピーク@ 1 m) | 110 dB | 113 dB |
トータルパワーアンプ | 140 W | 150 W |
クロスオーバー頻度 | 2.2kHz | 2.2kHz |
イコライゼーション(dB) | HF / LFレベル調整(-2、0、+ 1、+ 2) | HF / LFレベル調整(-2、0、+ 1、+ 2) |
システムボリューム | -∞〜 + 10 dB | -∞〜 + 10 dB |
入力タイプ | バランス/アンバランス/ Bluetooth | バランス/アンバランス/ Bluetooth |
入力コネクタ | TRSジャック/メスXLR / RCA | TRSジャック/メスXLR / RCA |
高さ | 290 mm /11.42インチ | 340 mm /13.39インチ |
幅 | 180 mm /7.1インチ | 210mm /8.27インチ |
奥行き | 240 mm /9.45インチ | 260mm /10.24インチ |
Diamond Studio 5-BTは、140W(トータルピーク)。Diamond Studio 7-BTは、150W(トータルピーク)なので、爆音まで出すことができます。また、Diamond Studio 5-BTは再生周波数帯域45Hz〜25KHz、Diamond Studio 7-BTは再生周波数帯域38Hz〜25KHzなので、スペック的に見ても、モニタースピーカーとして必要な要素をクリアしています。今回、試聴したのはDiamond Studio 5-BTでしたが、Diamond Studio 7-BTの方がよりしっかり低音が出るので、場所が許すのであれば、Diamond Studio 7-BTの方がより音楽制作に向いているとのこと。とはいえ、Diamond Studio 5-BTでも、個人的には十分だと感じましたよ。
Diamond Studio 5-BTでも十分だが、設置場所に余裕があれば、Diamond Studio 7-BTを選ぶのもアリ
以上、Diamond Studio BT Seriesについて紹介しました。音楽制作においてモニタースピーカーは必需品。はじめてのスピーカーとして、それなりのものがほしい方に最適なのが、Diamond Studio BT Seriesでした。モニタースピーカーとして使うだけでなく、Bluetooth接続もできる機能性を持ち合わせたスピーカーは少ないので、「こんなモニタースピーカーほしかった」と思うかも多いのではないでしょうか?普段使いでも、音楽制作でも、万能に使えるこのDiamond Studio BT Seriesをぜひ試してみてください。
【関連情報】
Diamond Studio BT Series製品情報
【価格チェック&購入】
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