RØDEから、非常に高機能でユニークなデジタルミキサー、RØDECaster PRO IIが発売されています。これは、6本のフェーダー、8つのパッド、4つのコンボジャック、4つのヘッドホン端子、ステレオ出力などを装備した機材。音楽制作用にはもちろん、配信、収録など、現場で必要とされるさまざまな機能を搭載した、他にはない強力なデジタルミキサーです。アナログ入力にBluetooth入力はもちろんのこと、USB Type-Cの端子を2つ装備しており、ここに2台のPC(WindowsでもMacでも、iOSやAndroidも接続可能)を同時に接続でき、相互にやり取りすることも可能となっており、通常のデジタルミキサーでは実現できない便利さがあります。
多機能だけに、さまざまな使い方ができそうです。たとえば、配信で演者の1人がZOOMで参加する場合、その演者にはマイナスワンを作って信号を送る必要があるのですが、RØDECaster PRO IIでは、これが簡単に行えます。また、2台のPCを繋げるという機能を利用することで、それぞれで起動しているDAWのオーディオデータを連携させることも可能となります。これまで、2台のDAWを同時に繋げるオーディオインターフェイスというのは、ほとんど存在していなかったので、アイデア次第でさまざまなことができそうです。通常この手の機材は、ある程度の知識を持っていることが前提となりますが、RØDECaster PRO IIは、まったく知識のない人でもすぐに使えるのも便利なところ。細かい部分まで考えられて作られているので、初心者でも簡単に使いこなすことができます。タッチディスプレイも相まって抜群の操作性を誇るRØDECaster PRO IIがどんな機材なのか紹介していきましょう。
クリエイターの”欲しい機能”が詰まった高機能デジタルミキサー、RØDECaster PRO II
手元にあると、いろいろと便利に使えるミキサー。一言でミキサーといっても、アナログの4ch程度のものから大規模なコンソール卓までいろいろありますが、手軽に使える高音質なデジタルミキサーというと実はあまりものがないのも実情。そうした中、昨年RØDEが発売を開始したRØDECaster PRO IIは非常に高機能であり、まさに今の時代に誕生した強力で便利なデジタルミキサーです。マイクメーカーとしてなじみのあるオーストラリアのメーカー、RØDEですが、最近ロゴデザインが刷新させるとともに、高性能なモニターヘッドホンを出したり、ミキサーを出すなど、クリエイターのための総合的なメーカーへ展開を広げている中、世界的にも注目を集めたのがRØDECaster PRO IIなのです。
名前からもわかる通りRØDECaster PRO IIはRØDECaster PROの第2世代製品。国内では前モデルの発売が見送られたため、今回が日本発投入となる製品ですが、具体的に見ていきましょう。
光らせるとカラフルで見た目にも派手に見える、こRØDECaster PRO IIには、6本のフェーダーが搭載されており、それぞれにミュートやリッスンボタンが搭載されています。このフェーダーの質感はよく、可動域が広いので、細かい音量調節を用意に行えます。右側には、SMARTパッドが搭載されていて、それぞれに音を読み込んでポン出しに使用したり、FXをアサインできるので押せばリバーブが掛かったり、ボイスエフェクトを掛けることができます。
6本のフェーダー、SMARTパッド、タッチモニターなどが搭載されている
リア部分には、ギター接続も可能なコンボジャックが4つ、メインアウト、ヘッドホン端子が4つ、USB端子が2つ、イーサネットポート、microSD カードスロット、電源ボタン/USB電源ポートが搭載されています。
リアにはコンボジャックが4つ、メインアウト、ヘッドホン端子が4つ、USB端子が2つ、イーサネットポート、microSD カードスロット、電源ボタン/USB電源ポートが搭載されている
入力として存在する、4つのコンボジャック、Bluetooth、USB1/2、USB1チャット、サウンドを6本はフェーダーに自由にアサインすることが可能。入力ソースは、全部で9種類あるのですが、6本のフェーダーにアサインできないものは、仮想フェーダーにアサインされるようになっています。
フェーダーのアサインは自由に変更でき、ディスプレイ上の色とミキサーのLEDの色が連動しているのでわかりやすい
RØDECaster PRO IIの詳細設定は、上部に搭載されている5.5インチのタッチモニターで行います。RØDECaster PRO IIに搭載されているフェーダーやノブ、ボタン、パッド類が色付けされているのですが、それがタッチモニターとリンクしているので、現在どこの設定を操作しているのか一目瞭然。タッチモニターの表記はすべて日本語表記になっているので、カメラマンといった音声機材に慣れていない人でも簡単に扱うことができます。
RØDECaster PRO IIは、マニュアルなしでも扱えるように考えて作られているので、試しに1つのマイクをセッティングする流れを実践しつつ、その機能を紹介していきましょう。セットアップ方法はいくつかあるのですが、ここではデフォルトの状態からスタートしていきます。現在フェーダー1には、コンボジャック1が設定されているので、フェーダーの上にあるボタンを押して設定に入っていきます。
まず、行うのはマイクプリセットの選択。RØDECaster PRO IIには、ギターなどを繋げるときに使うInstrumental、Dynamic、Condenser、PodMic、Broadcaster、Procaster、NT1、NT1-A、RE20、SM7Bというプリセットが用意されています。もし、手元にNT1やNT1-Aなどがある場合は、そのプリセットを選ぶだけで、いい感じのゲイン設定とエフェクトが調整された状態になります。
ここでNT1を使って、プリセットを選んでしまっては、準備完了になってしまうので、あえて手元にダイナミックマイクを用意して、プリセットをDynamicにしました。次にゲインの調整を行なっていきます。ダイナミックマイクに向かって声を出すと、画面左下のメーターが触れるので、これが緑のエリアに来るように設定します。Dynamicを選んだ時点で、ゲインの値が上がっているので、そこまで調整することなく、いい感じのゲイン感に揃うはずです。ちなみに、ファンタムのオンオフや位相反転も行えるようになっています。
次に、EQやコンプなどを調整して、聴きやすい音質にしていきます。こちらにもプリセットが用意されているので、プリセットボタンを押して、Neutral、Podcast Studio、Broadcastから場面に合ったものを選択します。
Neutral、Podcast Studio、Broadcastから場面に合ったものを選択
すると、処理にいい感じに設定されたDepth、Sparkle、Punchというパラメータが表示されます。好みで、ここを調整していくことで、簡単に聴き取りやすい音質を作ることが可能。
また詳細設定をタッチすることで、ハイパスフィルタ、ディエッサ、ノイズゲート、コンプ、EQ…などが表示されるので、音楽制作に慣れている方であれば、こちらを使うのもアリです。RØDECaster PRO IIがほかのミキサーと違うところは、ディエッサやエキサイターが搭載されている点、RØDECaster PRO II上でしっかりとした音作りが可能なので、後から収録した音声を処理する必要なく、アップロードすることができます。ちなみにここのエフェクトは、プロオーディオ界で最も信頼されているブランドの1つであるAPHEXオーディオプロセッサを採用しているので、クオリティはお墨付き。
ディエッサといった、ほかのミキサーではあまり見かけないエフェクトも搭載されている
ここまで設定できたら、準備完了。後はフェーダーを上げて、マイクで喋れば、配信や音楽制作、収録ができます。
なお録音機能に触れておくと、本体にmicroSDを挿して、パラ収録することも可能なのですが、PCを接続してそこに収録することも可能です。つまりオーディオインターフェイス的な使い方ができるので、これ1台で何役もこなすことができます。
さて、本体右側に搭載されているSMARTパッドについても見ていきましょう。パッドには、リバーブやボイスエフェクトをアサインして、瞬時に声にエフェクトを掛けることが可能だったり、ポン出し用として使うことができるということはお伝えしました。エフェクトは、タッチモニターを操作して、内蔵されているエフェクトをカスタマイズすることが可能となっており、ここの画面も見やすくなっています。
パッドに音をアサインするには、RØDE製品共通の管理ユーティリティ「RØDE Central」をインストールします。これを使って、パソコン内のオーディオファイルを直接転送していきます。これもマニュアルいらずで、サッと行うことができます。また、接続しているマイクからサンプリングすることも可能です。
RØDE Centralを使ってオーディオファイルを読み込んだり、RØDECaster PRO IIのセッティングを行うことができる
ここまでは、RØDECaster PRO IIの基本的な部分について紹介しました。正直この機材は、多機能なので紹介しきれないのですが、ここからは個人的に便利だと思った機能について紹介していきましょう。
まずは、ZOOM配信のマイナスワンが簡単に作れるという点。冒頭でも書きましたが、配信で演者の1人がZOOMで参加する場合、その演者にはマイナスワンを作って信号を送る必要があるのですが、RØDECaster PRO IIではこれが超簡単なのです。ほかのミキサーでは見たことない機能となっており、初心者はもちろんベテランのエンジニアにとっても嬉しいポイントだと思います。USB1チャットというのが、ZOOMなどの会議アプリ用のチャンネルになっているので、これを使っていきます。
PCを接続したら、オーディオデバイスをRØDECaster PRO II Chatに選択します。これで、準備は完了。実際にZOOMを繋いでみると、ZOOMの音声がRØDECaster PRO IIに入り、送り返しはスタジオの音声だけになります。
ZOOM側はRØDECaster PRO II Chatを選択
さらに、カスタムを使えば、特定のチャンネルをZOOMに返さないという設定ができるので、声だけをZOOMに返して、BGMは返さないといった設定も容易です。
次に、PCを2台接続できるという点についてです。シンプルに2台接続できるので、片方をREC用にマルチトラックで収録しつつ、もう片方でBGMなどを再生するといった使い分けができます。2台繋げるので、アイデア次第でどんなこともできそうですが、面白いと思ったのは、これを使って2つのDAWを連携できる点。
最近のアップデートで、ASIOにも対応したので、Windows PCとMac PCなどの組み合わせでも、この方法は使えます。USB1にMac PCをUSB2にWindows PCを接続して、MacではProToolsを起動、WindowsではStudio Oneを起動しています。
USB Type-C端子が2つあり、ここにPC2台を接続できるので、これを使っていく
たとえば、ProToolsで作曲やミックスをしていて、PCの負荷が大きい状態だけど、シンセの音を追加したいとします。しかも、そのシンセは割と重い音源。ProToolsでシンセを起動したものの、ろくに動かないときに、別のPCでそのシンセを立ち上げて、ProToolsにオーディオレコーディングするという方法がRØDECaster PRO IIを使えばできるのです。
両方のPCのオーディオデバイスをRØDECaster PRO IIに設定。ProToolsではレコーディングをスタート。Studio Oneでシンセを鳴らせば、これでProToolsにシンセの音を録音できます。1台のPCをシンセ用にしておいて、音楽制作を行なっていくというアイディアですね。2台のDAWを同時に繋げるオーディオインターフェイスというのは、ほとんど存在していなかったので、それだけでもRØDECaster PRO IIを導入する価値はあると思います。
以上、RØDECaster PRO IIについて紹介しました。ここでは紹介しきれなかった機能もありますが、初心者でも簡単に扱えて、ベテランにとっては便利な機能のある機材でした。ちなみに本体のWi-Fi接続設定をしておけば、本体にて更新有無の確認やアップデートが可能なのも、地味に嬉しいポイント。現在、銀一スタジオショップ、イケベ楽器 パワーレック、島村楽器 札幌ステラプレイス店、システムファイブ、フジヤカメラ店 動画館で実機展示を行っているので、音楽制作でも、配信・収録でも活用できる最強のデジタルミキサーを試してみてはいかがでしょうか?
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