Solid State Logic (SSL) が開発・販売するスタジオクオリティの音質を実現するUSBマイクConnex(27,720円税込)が発売されています。コンソールメーカーとしても知られるSSLはイギリス中西部にあるオックスフォードに本社がある、1969年設立の老舗メーカー。同社の案内にも「音楽をはじめブロードキャスト、ポストプロダクションおよび映画用プロフェッショナルアナログ/デジタルオーディオコンソールメーカーとして世界最大かつ最も成功しているメーカーです」とあるとおり、海外はもちろん国内でもコンソールのデファクトスタンダードなっているメーカーです。
そのSSL、数年前からDTM市場にも参戦し、オーディオインターフェイスなど、次々と新製品を投入してきているわけですが、今回はUSBマイクConnexをリリースしました。Connexは、独特なピラミッド型デザインの筐体に4つのマイクを装備。DSPを搭載しており、EQ、コンプなどを内部処理、オートミックスすることでSSLクオリティのサウンドを出力。4つのユーザーモードにより、ボーカルや楽器の録音から、ウェブ配信、オンライン会議まで、あらゆるシーンで活用することができるのです。さらにiPhoneやAndroidなどのスマホと接続することで、簡単に高音質配信を行うことが可能。そんなConnexを実際に試してみたので紹介していきましょう。
Solid State Logicのピラミッド型USBマイクConnexが登場
Connexは、オーディオインターフェイス機能とマイクが一体になった、ピラミッド型のUSBマイク。バウンダリーマイクのように机の上にポンっと置いて使うことができるので、設置位置に困ることもありません。サイズは手のひらサイズとコンパクトなのもポイントです。
ユニークな見た目なので、机に置いてウェブ会議や配信にしか使えず、音楽に適していないと思われる方もいるかもしれませんが、そこはSSLが開発されているだけあって、しっかり音楽用途についても考えられているのです。この後紹介するオーディオプロセッシングモードもそうですが、底面に1/4インチカメラ用三脚ネジがあり、ここに付属のマイ:・クスタンド用アダプターを使うことで、マイクスタンドに装着することが可能。マイクスタンドに装着して、ボーカルマイクとして使ったり、楽器を収音する際にいい位置に設置することができます。
さて、PCとの接続は付属のUSB Type Cケーブルを使います。SSLという印字がされたUSB Type Aへの変換も付属しているので、これを使って接続するとバスパワーで駆動します。ドライバーが用意されているので、インストールしてPCと繋ぐと簡単に使い始めることができます。なお44.1kHz、48kHz、88.2kHz、96kHzに対応。
Connexの前面には、3.5mmのイヤホンジャックが装備されているので、モニターはここから行います。
操作は、基本的に本体の天面をタッチして行います。+をタッチすれば、ボリュームが上がり、-をタッチすれば、ボリュームが下がります。また、+と-を同時に長押した上で、+または-をタッチするとマイクのダイレクトアウトのボリュームをコントロールできます。このダイレクトアウトについて、マニュアルではループバックと表記されているのですが、Connexには通常のループバック機能が搭載されていない点には注意が必要です。
天面をタッチして操作を行う。+と-ではボリュームを操作できる
Solid State Logicというロゴをタッチすると、ロゴが赤くなり、ミュートすることができるのですが、ミュート方法が3つあるのもSSLならではだと思います。タッチするとミュートが切り替わる通常のミュート、長押している間ミュートするコフスイッチ、そしてレコーディングスタジオにあるようなトークバックスイッチのように動作するプッシュ トゥ トークが搭載されています。なにか特別な設定をしてミュート機能を切り替えるわけでなく、通常状態でロゴをタッチするとミュート、ロゴを長押しするとコフスイッチ、ミュート状態でロゴを長押しするとプッシュ トゥ トークのように動作します。
そして、Connexの4つの面にはそれぞれマイクが搭載されています。各マイクカプセルからの音声をオートミックスし、SSLのEQとコンプのDSPプロセッサーによって、それぞれのシーンに合った最適な音を収録することが可能。
このシーンに合わせた4つから選べるオーディオプロセッシングモードは、-と+ボタンを長押しして、ロゴをタッチすると切り替えることができ、白、緑、赤紫、青の色で見分けるようになっています。
4つのオーディオプロセッシングモードの特徴は以下の通りです。
白:ソロモード (Solo Mode) |
ウェブ会議やポッドキャスティングなど、本体前面から1つの音源を拾いたい場合に使用。このモードでは、フロントマイクカプセルのみが使用され、マイクの内部音声処理は、スピーチ用に最適化。 |
緑: グループモード(Group Mode) |
ビデオ会議システムで円卓会議を中継する場合など、空間内の複数の音源を拾うために設計。4つのマイクカプセルはすべてモノラル信号にミックスされます。マイクの内部音声処理は、スピーチ用に最適化。 |
赤紫色: ボーカルモード(Vocal Mode) |
歌っている人の声など、本体前方からの音源を拾うように設計。このモードでは、4つのマイクカプセルのすべてが使用され、ユニットの前方付近に焦点を当てたステレオ信号にミックスダウン。マイクの内部音声処理は、比較的静かな音源に対して最適化。 |
青: 音楽モード(Music Mode) |
楽器などの大きな音源を本体前方から拾うように設計。このモードでは、4つのマイクカプセルのすべてが使用され、本体前方を中心としたステレオ信号にミックスダウンされます。マイクの内部音声処理は、より大きな音量の音楽ソースに最適化。 |
DAWに接続してみると分かるのですが、オーディオプロセッシングモードで設定した信号はMic in L、Mic in Rの2chとして扱うことができます。さらにMic Front、Mic Back、Mic Left、Mic Rightと書かれていることから分かるように搭載されている4つのマイクの音を別々に扱うこともできるのです。つまり、2in/2outから6in/2outへとモードチェンジするわけです。
イマーシブモードをオンにすると6in/2outのUSBマイクとして利用できる
-と+を長押しして、ロゴを5秒間押し続けると、ロゴに黄色が含まれるようになるので、これでイマーシブモードが有効になります。
このイマーシブモードでは4つのマイク音声とそれらをオートミックスしたステレオ音声の計6chを個別に出力できるようになり、上記のようなルーティングとなるため、DAWからは6in/2outとして見えるわけです。ちなみにイマーシブモードは、どのオーディオプロセッシングモードでも利用可能です。
iOSまたはAndroidと接続については、「SSL ConnexはiOSまたはAndroidでは正式にサポートされていませんが、SSL Connexはクラス準拠のUSBオーディオインターフェイスであり、クラス準拠のデバイスをサポートするすべてのデバイスで動作するはずです」とのこと。実際に手元のiPhoneとApple Lightning – USB 3カメラアダプタを使って接続したら問題なく動作しました。Connexは外部電源がないので、 Lightning – USB 3カメラアダプタ経由で電源を供給する必要があります。スマホ配信をコンパクトなシステムで組むことができるは嬉しいところですよね。SSLのサウンドクオリティなので、iPhoneとConnexを使ってボーカルレコーディングするといった使い方も考えられますね。
iPhoneとConnexを使って、コンパクトに高音質システムを作れる
以上、Connexについて紹介しました。ユニークなデザインでしたが、搭載されている機能は理にかなっていて、コンパクトで扱いやすい機材でした。PCでもスマホでも高音質に音を収録できる機材となっているので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
※2022.12.24追記
SNSを通じて「USBデバイスとしてではなく、通常のマイクとして使えないのか」という質問をいくつかいただいたので、お答えしておきます。ConnexはPCやスマートホンなどと接続しなくてもUSBバスパワーで動作するとともに、ヘッドホン端子からダイレクトモニタリングが可能で、出力レベルの調整もできます。この出力をライン入力へ接続すればPCなどにステレオのマイクとして利用可能で、もちろん4つのモード変更もできす。ただし、Front、Rear、Left、Rightの4つのマイクを直接ライン出力するといったことはできません。
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