CASIOの数々の名シンセサイザの開発に携わってきたレジェンドである岩瀬広さん、明和電機の土佐信道社長、そして声優の小岩井ことりさん、とゲストをお招きしてきた「江夏と藤本のオトトーク」ですが、今回からは久しぶりに3回連続で江夏正晃(@DJebee1)さんと私の二人でお送りしていきます。ここで取り上げていくのはCT-S1000Vのデモソングとして公開されている江夏さん作曲の「Let them know you are here」という曲が、どのように作られたのか、その中身を細かく分解していく、というもの。
実はいつものスタジオで収録する数日前、次回のオトトークのネタをどうしようか、と打ち合わせをしに江夏さんのスタジオに遊びに行ってきたのですが、その打ち合わせの中で、せっかくならCT-S1000Vのデモソングのプロジェクトを公開して、中身を見せていこう、ということになったのです。普段、プロジェクトの中身を人に見せることなどめったにない、という江夏さんですが、CT-S1000Vを使った曲作りがどうだったか、という面では興味深いことがいっぱい。具体的にその中身を見ていくことにしましょう。
江夏と藤本のオトトークの新シリーズでは、CT-S1000Vのデモソングの制作について掘り下げていきます
その本題に入る前に、一つお知らせが……。以下の「江夏と藤本のオトトーク #18」の冒頭でも紹介している通り、6月4日、5日、日比谷音楽祭2022というものが開催され、ここでカシオがブースを出展します。
情報を簡単にまとめると以下の通り
カシオ 「Privia / Casiotone ×ライフスタイル」ブース
日時:6月4日、5日 11:00~18:30
入場:無料
場所:日比谷公園 にれの木広場(〒100-0012 東京都千代田区日比谷公園)
アクセス:https://hibiyamusicfes.jp/2022/#Access
会場マップ:https://hibiyamusicfes.jp/2022/how_to_enjoy/areamap.html
ご存じの方も多いと思いますが、CT-S1000Vは3月に発売されて大きな話題になったものの、半導体不足などもあり生産が追いついておらず、なかなか入手しづらい状況。そのため、楽器店の店頭などにもモノが並んでおらず、試してみたいと思っても実物がありません。そうした中、この日比谷音楽祭のカシオブースでは2台のCT-S1000Vが展示され、誰でも自由に触れるようになる予定です。
2日間開催されるのですが、その2日目に江夏さんと私で会場に行って、ここで次回のオトトークの収録をしようか…と話をしているところなので、よかったらぜひ遊びに来てください。
この、にれの木広場には、音楽マーケットとしてテントブースが並び、カシオのほかにもヤマハ、コルグ、ローランド、カワイ、鈴木楽器製作所……など各楽器メーカーが出展して、さまざまな楽器を展示しているので、楽しいと思いますよ。
さて、今回のオトトークでの本題となるのが、デモソングの分解。具体的には以下の江夏さんによる楽曲「Let them know you are here」です。
この番組のジングルにも、この曲の一部が使われているわけですが、随所にCT-S1000Vによる歌声合成サウンドが使われているのが分ると思います。またCT-S1000Vは歌声合成だけでなく、シンセサウンドにもいろいろ使われています。詳細はぜひ番組の中身をご覧いただきたいと思いますが、江夏さんはこの楽曲をNuendoで制作しています。
NuendoはCubaseの上位版なので、見た目はCubaseとほぼ一緒ですが、ここにCT-S1000Vに歌わせたフレーズや、シンセフレーズなどがオーディオトラックとして収録されています。ちなみに、制作したときはNuendo 11だったとのことですが、番組収録時はバージョンアップした最新のNuendo 12になっていますね。ちなみに番組に江夏さんが持ってきたオーディオインターフェイスはRMEのBabyfaceでした。
番組収録用に江夏さんが持ってきたオーディオインターフェイスはRMEのBabyface
その2回目の番組内で江夏さんが強調していたのは、CT-S1000Vによるボーカルはまったくといっていいほど加工していない、という点。普通のボーカルであればコンプを掛けたり、EQを掛けたり、バックサウンドに埋もれてしまわないようにさまざまな処理をかけますが、CT-S1000Vの場合、何の加工をしないでも、かなり前に出る音となっているから、あえて何もしていないとのこと。確かにミキサーで見ても、ボーカルトラックのレベルがしっかり振れていて、音としてもクッキリ聴こえるのは面白いところでした。
一方で、CT-S1000VをINSTRUMENTモードに切り替えると、さまざまな楽器音色を鳴らせるのはCT-S1000Vがカシオトーンであるから。でも、一般的にカシオトーンからイメージされるのはプリセットを選んで鳴らすだけ……という使い方ですが、このCT-S1000Vは完璧なシンセサイザなんです。
フィルタ、エンベロープ、LFO……といったパラメータを細かくいじっていくことができるようになっており、中でもフィルタのカットオフとレゾナンスはパネル面の大きな2つのノブに割り当てられているため、ここで即、音作りをしていくことができるんですね。シンセに詳しくない人でも、これなら簡単に使えますし、とくにライブパフォーマンス用などには最適。そんなサウンドがここの曲の中で効果的に使われているのです。
Nuendoのプロジェクトを見てもトラック数は30トラックもないほどで、スッキリしています。その点について、江夏さんは「最近の楽曲制作はトラック数を少なくしていくのがトレンドだ」と話していましたが、その中にCT-S1000Vのトラックがうまく使われているんですね。
CASIO CZ-101を再現するArturiaのCZ Vもトラック内で利用されていた
もっともすべてがCT-S1000Vというわけでなく、ソフトウェア音源のトラックもいっぱい。その中で、江夏さんがピックアップしていたのはArturiaのCZ V。見た目からも想像できる通り、これはCASIOの往年の名器、CZ-101をArturiaが復刻させたもの。そんなサウンドがCT-S1000Vのデモソング内で使われているというのも面白いところです。
Rob PapenのGO 2やBlue IIも利用されていた
一方、番組内ではあまり触れていませんでしが、それ以外のシンセトラックには、江夏さんが大好きなRob Papenのソフトシンセがいろいろ使われているようでした。たとえばGO2であたり、Blue IIといった音源ですが、どう使われているかはぜひデモソングを聴きながら探してみてくださいね。
【関連情報】
CASIO CT-S1000V製品情報
DTMステーションPlus! YouTubeチャンネル
日比谷音楽祭2022 カシオ 「Privia / Casiotone ×ライフスタイル」ブース情報
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【番組情報】
江夏と藤本のオトトーク・YouTube再生リスト
【価格チェック&購入】
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