FOCALから8月20日、新作のモニタースピーカ―、ALPHA EVO 50とALPHA EVO 65が発売されます。プロユーザーからの支持が厚く、利用ユーザーも多いShapeシリーズをリリースしているFOCALからの新作ということもあり、楽しみにしていたのですが、期待以上の出音で驚きでした。音がいいのはもちろんのこと、実はエントリーユーザー向けの製品となっているため、ALPHA EVO 50が28,600円/本(税込)、ALPHA EVO 65が36,300円/本(税込)という価格。5インチのALPHA EVO 50のペアでの価格が57,200円とFOCALとしては手ごろなので、はじめてモニタースピーカーを導入するには最適です。
この両機器は、ほかのFOCALのモニタースピーカーと同様に本社があるフランスで生産されており、インバーテッド・ドーム・ツイーターやスレートファイバー・コーンといった、FOCALの特徴的な機構も踏襲されています。エントリーモデルといっても廉価版ではなく、この価格帯のために新たに開発された技術を搭載。妥協なく作られたこのALPHA EVO 50とALPHA EVO 65を試聴してきたので、紹介してみましょう。
低価格で高クオリティのFOCAL新作モニタースピーカーALPHA EVOシリーズが誕生
FOCALは、ご存知の通りプロ御用達のスタジオモニタースピーカーを多数リリースしている、1979年に設立されたフランスのメーカー。ハイエンドのSMシリーズTrio11 Beという495,000円のモニタースピーカ―をトップに、DTMユーザーに人気の高いShapeシリーズが存在しています。この度登場したALPHA EVOシリーズは、長年親しまれていたALPHAシリーズの後継機種で、よりホームスタジオで活躍するようにデザインや技術が盛り込まれた製品になっています。作曲家、プロデューサー、DJ、エンジニア……など、音に関わるすべてのユーザー向けに作られているらしく、1ユニットごとに購入できるので、サラウンドなどマルチチャンネルでも利用可能。
ALPHA EVOシリーズは、ALPHA EVO 50とALPHA EVO 65という2機種展開となっており、違いはウーファーのサイズにあります。名前にもある通り、ALPHA EVO 50は5インチのスピーカ―、ALPHA EVO 65は6.5インチのスピーカ―を装備。これにより、再生できる低音域の周波数帯が変わり、スペック上ではALPHA EVO 50は45Hz、ALPHA EVO 65は40Hzになっています。ちなみに高音域は、両機種とも22kHz。実際に聴いてみて、ALPHA EVO 50は小さ目の音量で鳴らすときに最適で、ALPHA EVO 65は大きい音量で鳴らすときにパフォーマンスを発揮するといった印象。自宅の環境に合わせて、サイズを選択するのがよさそうです。
ALPHA EVO 50(左)とALPHA EVO 65(右)
フランス製らしく、スマートな見た目のALPHA EVOシリーズ。高級感のあるデザインで、安価なスピーカ―では見かけないルックスをしてますよね。ソリッドで堅牢な作りをしていて重量感もあり、見映えする作りとなっています。実は見た目がカッコいいだけでなく、サイドにある切り込みは、音の回り込みを抑える役目も担っており、デザイン性と音質を兼ね備えた機構になっているとのこと。
ALPHA EVOシリーズは、新しく開発されたテクノロジーが盛り込まれているわけですが、代表的なのはウーファー用の素材。スレートファイバーと呼ばれる素材を採用しており、これもすべてフランスの工場で製造されています。このスレートファイバーは、リサイクルカーボンファイバーとプラスチックポリマーを挟み込むような形で成型されていて、これにより優れたダイナミクスを実現。FOCALがモニタースピーカ―作りで追求している、軽量で剛性が高く、ダンピング特性が優れているというポイントを、エントリーモデルでも高いレベルで維持しているようです。
またツイーターは、FOCALの特徴でもあるインバーテッド・ドーム・ツイーターになっており、素材はアルミニウムを採用。へこんだ形をしているこのツイーターは、従来のツイーターに比べて、制動しやすくなっているので、歪みを抑えて、伸びのある高音域を生み出しています。この形状は、高い技術力が必要らしく、これもFOCALが自社工場で生産しているからこそ、実現できる機構といえます。またスウィートスポットが広くなっているので、座り位置にシビアになることなく、音楽制作が行えます。さらに、音の乱反射を防いで、指向性を整えるためのツイーターバッフルという、新しいデザインのツイーターユニットも採用。
バスレフのデザインも以前のモデルから刷新されており、上位機種のSMシリーズに採用されている構造となっています。これにより、乱れなく空気を制御することができるので、大音量で再生した場合でも、歪みにくい音の再生が可能になりました。
出音は、モニタースピーカ―らしくフラットで、低音域、中音域、高音域がバランスよく鳴っていた印象。安いモニタースピーカ―だと、低音域のモニターが難しかったりしますが、ALPHA EVO両機種は、自然な低音域を再生してくれるので、現代の音楽制作にマッチすると思います。ウーファーのサイズが大きい方が、低音域の再生には有利なため、ALPHA EVO 65の方が前述の通り、低音域の再生が得意ですね。ほかのモニタースピーカ―と比べても、この価格帯で、このクオリティはまずない気がします。もちろん音の好みはありますが、初めてモニタースピーカ―を導入する方はもちろんのこと、もう1ランク上のモニタースピーカ―を探している方におすすめですね。
メディア・インテグレーションが運営するイベントスペースLUSH HUBで、ALPHA EVOシリーズを試聴させてもらった
さて、リアパネルの入力端子を見てみると、XLR端子、フォン端子、RCA端子が搭載されています。民生機器と接続するためのRCA端子が搭載してあり、出力レベルを上げるための+6dBスイッチも装備しています。
また、セッティングした位置によって変わってくる周波数を調整するためのEQが2バンド搭載されています。
ハイシェルビング、ローシェルビングの2バンドEQが搭載されている
電源スイッチの隣には、AUTO STAND-BYと書かれた切り替えスイッチが搭載。信号が流れていない状態ではスリーブにして電力消費を抑えるモードと、常に電源をオンにした状態にできるモードを装備。地味ですが、使用用途によって使い分けられるのは嬉しいところです。また、電源ケーブルのほかに、移動の際にウーファーやツイーターを傷めないように保護するグリルと、底面を傷つけないようにするラバーフィートが付属しています。
ALPHA EVOシリーズは、想像以上のエントリーモデルのモニタースピーカ―だった
以上、ALPHA EVOシリーズでした。FOCALの象徴的なデザインを低価格で実現しつつ、音質のクオリティが高いモニタースピーカ―だったので、今後かなりのユーザーが使うようになるのでは、と感じています。Shapeシリーズがミドルクラスの定番となっている中、エントリークラスでもALPHA EVOシリーズが定番のモニタースピーカ―になる日も近いかもしれませんね。
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ALPHA EVO 50製品情報
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