DTMを始めてみようと思ったら、インターネットで情報を集めたり、先生に教えてもらったり、本を買ってみたり……、いろいろ手段があると思います。そうした本のなかで、今ちょっと話題になっているのが「作曲はじめます! ~マンガで身に付く曲づくりの基本」という書籍。マンガでサラっと読める構成ではあるけれど、DTM機材の揃えかたからDAWの使い方や打ち込みのテクニック、作曲や作詞まで覚えられる充実した内容になっているのです。著者は、「作りながら覚える 3日で作曲入門」でDTM本で異例のヒットを出した、ボカロPで作曲家のmonaca:factory(@monaca10)さん。
以前「ボカロPがニコ動で一発ヒットさせれば、音楽で食べているのか!?」という記事で、インタビューさせていただいたこともありましたが、monacaさんは作曲を始めて10日間でボカロ楽曲をアップしたことから10日Pとの別名もある方。代表曲「ロゼッタ」は、現在125万回以上再生されています。1から作曲やDTMを始める初心者にに最適なこの本が、実際にどんな内容になっているのか、ピックアップしながら紹介してみましょう。
作曲ができるようになるマンガ「作曲はじめます! ~マンガで身に付く曲づくりの基本」
「作曲はじめます! ~マンガで身に付く曲づくりの基本」は、マンガ仕立てで書かれていて、作曲や作詞、音作り、DAWの使い方……などが簡単に分かる内容となっています。これから作曲を始めてみようと思っている方に向けて書かれており、0から自分のオリジナル曲を作るなら、まず読んでおきたい本。書かれていることを実践すれば、きっと音楽作品が作れるようになりますし、単純にコミックエッセイとして読んでも面白く仕上がっています。
また、各所にサンプルの音源が用意されているので、実際に音を聴いて理解することもできます。たとえば、ドラムのビートを紹介しているところでは、基本的な8ビートやシャッフル風、ヒップホップ風のトラックが用意されています。文字だけでは分かりにくい部分は、本の画像と音を聴いて真似しながら、上達していくことができます。
また、最後におまけとして、DAWのStudio Oneのソングデータが付属しており、実際にデータをダウンロードして開くことができます。具体的にどのように打ち込まれているのか、どんな音源を使っているのか、どう音を重ねているかを確認することが可能です。
この本は、基本的に作曲などを取り扱っているので、どのDAWでも使いながら進めていくことができます。でも、もしまだDAWを持っていないのであれば、無料で入手できるStudio One Primeを利用するのが良さそうです。これならば、おまけとなっている楽曲データを読み込むことができますからね。Studio One Primeは無料のDAWとはいえ、MIDIもオーディオもレコーディングから編集、ミックスまで対応しており、トラック数も無制限。プラグインを使った拡張はできないものの、標準で数多くのエフェクトを搭載し、Presence XTサンプル・プレイバック・インストゥルメントというソフトサンプラーも装備しているので、初心者にとっては十分な機能を備えています。入手方法は、以前「無料の高機能DAW、Studio One 5 Primeがリリース。誰でも確実に入手するための完全操作ガイド」という記事で紹介しているので、こちらをぜひご覧ください。
さて、「作曲はじめます! ~マンガで身に付く曲づくりの基本」の内容を少し見ていきましょう。基本的には以下の画像のようにマンガが基本となっており、さらに詳しい内容がコラムとして書かれているという構成です。ストーリーとしては、主人公が楽曲制作をスタートし、monaca先生にいろいろなテクニックや知識を教えてもらい、最終的にオリジナルの楽曲を完成させるというもの。このマンガをを描いたイラストレーターのゆきしろくろ(@yukishiro4696)さんは実際にmonacaさんのレッスンを受け、なにも分からないところからスタートしているので、読者の方と同じ目線で物語が進んでいきます。
読者の方と同じ目線で物語が進んでいく
たとえば、打ち込みのことが書かれているコラムでは、DAWを立ち上げて、音源を読み込むところから、打ち込みの基礎の基礎が紹介されています。前述の通り、定番のドラムパターンのページもあるので、これをもとにベースとなるリズムを作成できます。また、マンガを読み進めていくと、自然と音楽の知識が学べるようになっており、2拍4拍でスネアを入れるとか、1つパターンを作ったらコピペして曲の長さを伸ばしてみるとか、土台となるテクニックが身に付くようになっています。
さらにコードについて、C/G/Am/F、Am/F/G/Cといったコード進行を使って曲の1番を作ってみるコーナーも存在します。イントロを作って、Aメロの前半・後半、サビ、間奏をサンプルの音源を元にどのように作っているのか触れているので、楽曲の1番の作り方が分かるようになります。もしこれができたら、次は違うコード進行を用いて、打ち込んでみれば、もうほとんどオリジナル楽曲はできたも当然ですね。
あとはメロディを作っていくわけですが、初心者が陥りがちな注意点も分かりやすくまとめられています。どういう考えでメロディを構成すればいいのか、どうしたらサビっぽいメロディになるのかなど、ノウハウが詰まっています。
ほかにもエフェクトの話、オートメーションの話など、かわいいイラストともにイメージしやすく表現されています。Studio One Primeを使って、エフェクトをインサートする方法やセンドリターンの仕組みなども解説されており、網羅的に音作りについて知ることが可能です。
イラストのイメージと実際に音を聴いて、どんなエフェクトなのか分かる
そして、monacaさんらしい内容だなと思ったのは、作詞についても書かれている点。monacaさんは、ボーカロイドを使って楽曲を作っていて、歌わせるために必ず歌詞が必要になるため、これについてもノウハウがいっぱい。普段聴いている楽曲のどのポイントを押さえて聴けば歌詞が上達するきっかけになるのかとか、世の中の歌詞はどうやって構成されているのだとか、これまで独学で音楽制作していた人にとっても学ぶことが多いと思いますよ。
以上、ざっと「作曲はじめます! ~マンガで身に付く曲づくりの基本」について紹介してみました。また、最後にmonaca:factoryさんからコメントをいただきました。
「『作曲はじめます! ~マンガで身に付く曲づくりの基本』は、参考音源を聴きながら読んだり、DAWを真似して操作しても学びはありますが、実際に手を動かさずとも面白い本を目指して作りました。以前発売させていただいた『作りながら覚える 3日で作曲入門』は、手を動かすことによって完結する本だったので、だいぶアプローチが異なります。それでいうと、もっとエントリーレベルの本だと思われるかもしれませんが、1冊目とは扱っているDAWも違うので、そういったところでさらに深い部分も紹介しています。ぜひ、音楽を作る楽しさを感じていただけたら嬉しいです」
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