ソフトの価格破壊王として毎度、世の中を騒がせているソースネクストですが、今年もまた爆弾のような製品を投下しました。今回発売されたのはMAGIXの波形編集ソフト、SOUND FORGEの新バージョン、SOUND FORGE Pro 15および、各種ソフトをバンドルしたSOUND FORGE Pro 15 Suiteの2つ。それぞれ通常価格は38,500円(税込)および、49,500円(税込)となっていますが、DTMステーションの読者限定で、本日5月17日~5月27日の期間、SOUND FORGE Pro 15が66%オフの13,000円、SOUND FORGE Pro 15 Suiteが61%オフの19,000円となっています。
特に注目すべきはSOUND FORGE Pro 15 Suiteのほう。そもそも定価のほうの値付けからしてオカシイのです。ここにはSOUND FORGE Pro 15本体のほか、Steinbergの超強力ソフトで33,000円のSpecraLayers Pro 7、Celemonyの9,900円のMelodyne 5 essential、iZotopeの15,000円のOzone 9 Elementsと同じく15,000円のRX 8 Elementsなどがセットとなっているのですから、足し算を間違えてます。それが、このキャンペーン価格でSpectraLayers Pro 7単体よりも安くなってしまっているのですから、もうメチャメチャ。ご存知の方も多いと思いますが、同じことを昨年のSOUND FORGE Pro 14 Suiteのときも実施していたので、買い逃してしまった人にはチャンスの再来。SOUND FORGE Pro 15とSpectraLayers Pro 7のどちらが主役か分からなくなりそうですが、改めてどんな内容なのか、昨年とは何が違うのか、紹介してみましょう。
SOUND FORGE Pro 15がリリース。SpectraLayers Pro 7を含むSuiteが大特価に
SOUND FORGE Pro 15 Suiteの構成内容
新製品の紹介ですから、本来であれば新機能などから取り上げるべきところだとは思いますが、おそらく多くの人の関心はSOUND FORGE Pro 15 Suiteの内容物だと思うので、やはりそこから見ていきましょう。ソースネクストのページだと、ぱっと見で全体像を把握しづらいので、ここに簡単に整理してみました。
SOUND FORGE Pro 15 Suiteの内容 | ||||
ソフト名 | メーカー | ジャンル | Windows | Mac |
SOUND FORGE Pro 15 | MAGX | オーディオ編集 | 〇 | - |
Vintage Effects Suite | MAGIX | VSTプラグイン | 〇 | - |
VariVerb II | MAGIX | VSTプラグイン | 〇 | - |
Vandal | MAGIX | VSTプラグイン | 〇 | - |
Noise Reduction Pack | MAGIX | ノイズ除去 | 〇 | - |
Acoustic Mirror Impulse Files | MAGIX | IRファイル | 〇 | - |
SpectraLayers Pro 7 | Steinberg | オーディオ編集 | 〇 | 〇 |
Melodyne 5 essential | Celemony | ピッチ編集 | 〇 | 〇 |
Ozone 9 Elements | iZotope | マスタリング | 〇 | 〇 |
RX 8 Elements | iZotope | サウンド修復 | 〇 | 〇 |
一方のSOUND FORGE Pro 15のほうの内容は以下の通りとなっています。
SOUND FORGE Pro 15の内容 | ||||
ソフト名 | メーカー | ジャンル | Windows | Mac |
SOUND FORGE Pro 15 | MAGX | オーディオ編集 | 〇 | - |
Noise Reduction Pack | MAGIX | ノイズ除去 | 〇 | - |
Acoustic Mirror Impulse Files | MAGIX | IRファイル | 〇 | - |
Ozone 9 Elements | iZotope | マスタリング | 〇 | 〇 |
RX 8 Elements | iZotope | サウンド修復 | 〇 | 〇 |
では、SOUND FORGE Pro 15 Suiteの中身について簡単に紹介すると、一番上のオレンジの4つがSOUND FORGE Pro 15 Suiteというもので、インストーラでSOUND FORGE Pro 15 Suiteを選択するとまとめてインストールされるようになっています。その次の黄色い2つもSOUND FORGEの拡張セットともいうべきもので、かなり以前から存在しているものです。個人的には、このNoise Reduction PackはiZotope RXより強力なノイズリダクションソフトとして使えるという印象があり(目的の除去するノイズの性質にもよりますが)、持っていて損のないものだと思います。
SOUND FORGE Pro 15 Suiteのインストーラ
魔法のソフト、Steinberg SpectraLayers Pro 7
そして注目すべきが、ピンク色の4種類のソフトです。SpectraLayers Pro 7はDTMステーションでも何度も取り上げてきた、魔法のソフト。まあ、もともとはSteinbergのソフトではなく、MAGIXのソフトだったのですが、2019年、Steinbergに売却されたことで、Steinbergブランドになったというもの。昨年のSOUND FORGE Pro 14 Suiteのときにバンドルされていたのも同じバージョンのソフトなので、特に今回新しくなったというわけではありません。
詳細については昨年の記事のほか、「音を写真のようにレタッチ処理できる異次元ソフト、SpectraLayers Pro 5」、「特定楽器の音を抜き出せる画期的ソフト、SpectraLayers Pro誕生!」といったそれ以前の記事も参照していただきたいのですが、最新版のSpectraLayers Pro 7に搭載されたUnmix Stemsなる機能が非常に簡単で強力です。以下のビデオを見ると、これのスゴさが即実感できると思います。
これは作曲家の多田彰文さん編曲で、声優の田村響華さんが歌った「しゃぼんだま」のWAVファイルをSpectraLayers Pro 7に読み込ませた後、Unmix Stemsという機能を実行することで、ボーカル、ピアノ、ドラム、ベース、その他(この曲では主にアコースティックギター)に分解できてしまったというもの。
2mixされた音をAIが各楽器の音に分解するUnmix Stems
AI機能を用いて、ステレオのWAVファイルをマルチトラックデータのように分離できてしまうのですが、魔法というか夢のような機能ですよね。もっとも、Unmix StemsはSpectraLayers Pro 7が持っているさまざまな機能のうちの一つに過ぎません。
もともと、SpectraLayersは、オーディオをスペクトル分解した上で、グラフィカルに表示し、それをPhotoshopのような感じでレタッチ可能なソフト。3D表示させることも可能になっているため、まさに音を立体的に捉えてエディットできるツールなのです。
SpectraLayers Pro 7は音をスペクトル解析した上で、立体的な画像として表示させPhotoshopなどのようにレタッチできるソフト
これを利用することで、たとえばレコーディング中に電話がかかってきた際のコール音を視覚化するとともに、それを抜き出したり、ホールでのコンサート録音中に観客席から入った咳払いのノイズを視覚化して取り除く……なんてことができるできるソフトなのです。
ほかの波形編集ソフトでは不可能なことを実現する超強力なツールなので、SpectraLayers Pro 7だけを目的にSOUND FORGE Pro 15 Suiteを購入しても損はないと思います。
SOUND FORGE Pro 15の新機能
では、ここから本来の主役であるSOUND FORGE Pro 15について紹介してみましょう。SOUND FORGEはWindowsにおいてもっとも歴史の長いオーディオ編集ソフトで、私自身もWindows 3.1の時代から25年以上愛用してきている、今もなくてはならないソフトです。DAW全盛の時代に、なぜ波形編集ソフトなどが必要なのか不思議に思う方もいるかもしれません。確かに機能面においてはDAWがほぼカバーしているのですが、波形編集ソフトの良さは、その軽さと小回りが利くという点。「Microsoft OfficeをDAWととらえると、秀丸がSOUND FORGEである」といえば通じる人も多いのではないでしょうか(まったく分からない人も多そうですが…すみません)。
私にとっては、本当にサクサク動き、全体を見渡して切り出すのも簡単だし、マウスのホイールで拡大していけば1サンプル単位で細かくエディットもできる手軽さは、絶対に手放せないツールなんです。その快適性はそのままに、今年もバージョンアップが図られたのです。
その新機能をピックアップしていくと、まずは、リモート録音機能。これは録音時に必要な機能だけに絞った小さな画面=リモート・ウィンドウが利用できるというもので、ここで録音操作、レベルメーターの確認ができます。これにより、たとえば画面上でテキストを読み上げながら録音したい、といったときにSOUND FORGEの編集画面が妨げにならないというメリットが出せます。
YouTubeやニコニコ動画などにコンテンツをUPする上で重要になるのがラウドネス。今回のバージョンでは、ノーマライズ機能に、ラウドネスというオプションが追加されました。これを利用することでEBU R128およびITU BS.1770-4標準を満たしているかを、確認した上で、それにマッチした形で調整できるようになっています。
国内では、まだあまり普及しているとはいえませんが、海外では急速に普及しているオーディオブック。Amazon傘下のaudibleなどが国内サービスをスタートし、これから広まっていくタイミングだと思いますが、そのオーディオブックのフォーマットであるACXでの出力に対応しているのも、SOUND FORGE Pro 15の新機能です。まずはACXの規格に合ったデータになっているのかをチェックするACXチェックウィザードがあり、それに適合していることが確認できればACXエクスポートウィザードで一発書き出しが可能。今後オーディオブックを作っていきたいという人にはキーになるソフトになりそうです。
このオーディオブック作成のためのウィザードを含め、SOUND FORGEを簡単に操作するためのインスタント・アクション機能も強化されました。フォードイン/フェードアウト、ノーマライズなどの機能を1クリックで操作できるので、より便利になっています。
さらに、WAVファイルやMP3ファイルなどを、Windows上で右クリックすると表示されるコンテキストメニューの中にSOUND FORGEが表示されるようになったのは前バージョンからでしたが、今回さらに、ここから直接、ノーマライズやファイルフォーマット変換などを指定できるようになり、より効率のいい操作ができるようになています。
Windowsのコンテキストメニューから、直接SOUND FORGE Proの各機能を指定できる
こうした新機能がありつつも、基本的な操作は25年前と大きく変わらなく、サクサク動いてくれるのが長年使っているユーザーとしては嬉しいところ。もちろんゲーム業界のサウンドチーム御用達のSOUND FORGE Proは、バッチ処理機能なども充実しており、この辺の機能も今回さらに強化されているようです。
Melodyne 5 essential、iZotope Ozone 9 Elements、iZotope RX 8 Elementsなどの詳細についてはここでは割愛しますが、これらを目的にSOUND FORGE Pro 15 Suiteを購入したって元が取れてしまいますね。
同梱プラグインを他のDAWで使うには
さて、最後に、Vintage Effects SuiteやVariVerb II、VandalなどのMAGIXプラグインを他のDAWで利用するための方法を紹介しておきましょう。これらは、SOUND FORGE Pro 15 Suiteをインストールすると、以下のフォルダに自動的にインストールされるようになっています。
いずれもVST2規格のプラグインとなっています。したがって、CubaseやStudio One、Ability……などのDAWで上記フォルダをVST2の格納場所として追加してやることで、利用可能になります。
VSTの場所を指定することで、CubaseからもMAGIXのプラグインを利用することができる
以上、SOUND FORGE Pro 15 SuiteおよびSOUND FORGE Pro 15について、紹介してみました。ソースネクストサイトから普通に購入すると定価になってしまいますが、以下の特別ページからアクセスすることで、それぞれ61%オフ、66%オフで購入可能。11日間限りのチャンスなので、お見逃しなく!
Mac版の入手法
SOUND FORGE Pro 15 Suiteの中に入っているSpectraLayers Pro 7、Melodyne 5 Essential、iZotope RX 8 Elements、iZotope Ozone 9 ElementsはMacにも対応しています。ただし、これらはソースネクストからインストーラは提供されておらず、シリアルコードのみの発行となるため、別途ダウンロードが必要となります。
SpectraLayers Pro 7はSteinbergサイトにおいてSteinberg Download Assistantをダウンロードし、これをインストールすることで入手可能です。
またMelodyne 5 Essentialは、まずcelemonyサイトにアクセスの上、ユーザーアカウントを作成し、ログインします。その後「ライセンスを追加」のところで、シリアルを入力することで、ユーザー登録が行え、ダウンロード可能になります。
そしてiZotope RX 8 ElementsおよびOzone 9 Elementsは、iZotopeサイトにアクセスの上、ユーザーアカウントを作成し、ログインします。その後「Products Downloads」からダウンロードすることができます。
5月25日のDTMステーションPlus!で「魔法のソフトSpectraLayersと波形編集ソフトSOUND FORGEの威力」と題した特集を配信いたしました。以下からその時のアーカイブをご覧いただけます。Unmix STEMSなど、複数の曲で実演しているので、ぜひチェックしてみてください。
【関連情報】
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