先日、「Cubase 10.5誕生。新プラグインが追加され、ビデオの書き出し、EQとスペクトラルカーブの比較モードなどが追加に」という記事で、Cubase Pro 10.5およびCubase Artist 10.5がリリースされたことを紹介しました。その記事の中で、Cubaseの下位バージョンであるCubase Elements 10.5、Cubase AI 10.5、Cubase LE 10.5に関しては、まだリリース時期が決まっていない、との旨を記載しましたが、その下位3ラインナップがいつの間にかリリースされていました。
このうちCubase Elements 10.5は税込実売価格13,500円前後で販売されているものであるのに対し、Cubase AI 10.5およびCubase LE 10.5はオーディオインターフェイスなど各種ハードウェアにバンドルされている無料版。中でもSteinberg製品、YAMAHA製品にバンドルされているCubase AI 10.5は、無料GET可能なソフトウェア。対象ユーザーも多く、機能的にもかなりパワフルなものです。そこで、ここではCubase AI 10.5にターゲットを絞り、これがCubase Pro 10.5やCubase Artist 10.5と何が違うのか、またどうやって入手できるのかを紹介していきましょう。
Cubase AI 10.5がリリース。SteinbergやYAMAHAの対象製品ユーザーなら無料でGET可能
Cubase Elements 10.5以下の3ラインナップ、いつごろリリースされるのかな……と思っていたのですが、週末に調べごとをしていた際に、すでに登場していたことに気づきました。そのため、中にはもうGETした、という人もいるでしょう。とはいえ、ubase AIの位置づけについて、あまりご存知ない方も多いと思います。そこで、まずはCubase 10.5のラインナップと、その関係性から紹介していきましょう。
Cubase 10.5シリーズはこれまで通り5ラインナップあり、それぞれの主なスペックは以下の表のようになっています。
Cubase Pro 10.5 | Cubase Artist 10.5 | Cubase Elements 10.5 | Cubase AI 10.5 | Cubase LE 10.5 | |
オーディオエンジン | 64 bit | 64 bit | 64 bit | 64 bit | 64 bit |
最大サンプリングレート | 192 kHz | 192 kHz | 192 kHz | 192 kHz | 192 kHz |
MIDI トラック数 | 無制限 | 128 | 64 | 48 | 24 |
オーディオトラック数 | 無制限 | 64 | 48 | 32 | 16 |
VST インストゥルメントトラック数 | 無制限 | 32 | 24 | 16 | 8 |
VST インストゥルメント数 | 8 | 8 | 3 | 2 | 2 |
インストゥルメントのサウンド数 | 3000 以上 | 2600 以上 | 1000 以上 | 185 以上 | 185 以上 |
VST オーディオエフェクトプラグイン数 | 76 | 57 | 46 | 28 | 23 |
VST MIDI エフェクトプラグイン数 | 18 | 18 | 0 | 0 | 0 |
最大入出力数 | 256 | 32 | 24 | 16 | 8 |
オーディオチャンネルインサートスロット数 | 16 | 16 | 8 | 4 | 4 |
グループチャンネル数 | 256 | 32 | 16 | 8 | 8 |
エフェクトセンド / リターンチャンネル数 | S:8 – R:64 | S:8 – R:64 | S:8 – R:8 | S:4 – R:4 | S:4 – R:4 |
インストゥルメントスロット数 | 64 | 32 | 24 | 8 | 非対応 |
MIDI プラグインインサートスロット / センド数 | 4 | 4 | 0 | 0 | 0 |
Cubaseシリーズをインストールしたことのある方ならお気づきかと思いますが、ソフトウェア的にいうとCubase ProとArtistは同じもの、Cubase ElementsとAI、LEも同じものと2種類に分かれていています。そして持っているライセンスによって、どの機能が使えるかの制限がかかるようになっているんです。より詳細の機能の違いはSteinbergの比較ページにあるので、そちらを参照してみてください。
ここでテーマにするCubase AIは、SteinbergおよびYAMAHAのハードウェア製品にバンドルされているもので、TASCAMやZOOMなど他社製品にバンドルされるCubase LEよりも高機能になっているのがポイント。利用可能なトラック数や同時に利用できるプラグインの数など、結構違いがあります。やはりグループ会社内で付加価値を付けようと、他社に出すものとは絶妙な差をつけているわけですね。
Steinbergの新オーディオインターフェイス、UR-CシリーズなどにCubase AI 10.5がバンドルされている
先日「SteinbergがUSB Type-CモデルのオーディオインターフェイスUR22C、UR44C、UR816Cを発売。時代は32bit INTEGERに!」という記事で紹介したUR-Cシリーズはもちろん、各種Steinbergのハードウェア製品、またYAMAHA製品でいうとTHR10XやTHR5などのギターアンプ、MG10XUやMG12XU、AG03、AG06などのミキサー、MOXF8やMontage 8をはじめとするシンセサイザ製品、DTX700などのエレクトリックドラム……とUSB端子を持つ多くのYAMAHA製品にバンドルされています。
また、重要なポイントは、Cubase AI 10.5がバンドルされているのは、新製品だけではない、という点。2年前に発売になった製品であっても、いま購入すればCubase AI 10.5がGETできるのです。さらにいうと、3年前に買ったYAMAHA/Steinberg機材で、当時Cubase AI 9がバンドルされていた製品であっても、その時点で入手せずに、そのまま放置していたとしたら、いま登録することで最新のCubase AI 10.5を入手できるようになっているのです。
SteinbergやYAMAHA製品にはこのようなCubase AIをGETするためのカードが入っている
試しに2011年に購入し、そのまま放置状態になっていたSteinbergのリモートコントローラ、CMCシリーズが手元にあったので、これを引っ張り出してきました。ここにはCubase AI 6のダウンロードコードが書かれていましたが、これを先ほど登録してみたところ、いまCubase AI 10.5を入手することができました。
当然のことながら旧バージョンのCubase AIのラインセンスで10.5を起動しようとしても動かない
ただし、すでにCubase AI 9など以前のCubase AIを入手したコードは、すでに無効となってしまっているし、その古いライセンスはあくまでも古いバージョンのCubase AIしか動かすことはできず、たとえCubase AI 10.5をインストールしたとしても、「ライセンスがない」というエラーメッセージが出て起動することができないので、諦めてくださいね。
Cubase AIのサイトから「CUBASE AIを入手」ボタンをクリック
では、簡単に入手までの流れを紹介しておきましょう。、まずはハードウェア製品の中に入っているCUBASE AI DOWNLOAD INFORMATIONというカードに記載されているURLにアクセスし、CUBASE AIを入手というボタンをクリックすると、Steinberg IDでのサインインが求められるのでメールアドレスとパスワードを入力して、ログインします。もしSteinberg IDを持っていない場合はSteinberg IDを作成ボタンをクリックして、作成してください。
つづいて、eLicenser/ソフトウェアを登録、という画面が現れるので、ここに先ほどのカードに記載されていたDownload access codeを入力します。この際ハイフン付きで正確に入力してください。
正しいコードを入力すると次のページに進み、そのカードが入っていたハードウェアの選択画面が現れるので、これを選ぶとともに、そのハードウェアに記載されているシリアルコードを入力します。つまり、このカードだけを持っていてもダメで、キチンとそのハードウェアが手元にないとCubase AIはGETできないわけです。
これで晴れてアクティベーションコードが発行されるとともに、ダウンロード画面が登場してきます。ただし、実はこのダウンロードサイズを見ると100MB程度と小さいことからも想像できるように、これはCubase本体ではありません。これはSteinberg Downlaod AssistantというSteinberg製品をダウンロードするためのツールなんです。いったんこれをダウンロードし、インストールの上、起動すると、さまざまなSteinberg製品の一覧が表示されます。
Steinberg Downlaod Assistantをインストール
この中からCubase AI 10.5を選んでインストールします。フルサイズで15.10GBもあるので、かなり莫大です。
かなり莫大なインストーラだが、Cubase AI 10.5をダウンロード
一方、これをインストールしただけではCubase AIを起動することはできません。eLicenserという不正コピー防止ツールものを用いて、正しいユーザーかどうかを判断する仕組みになっているからです。これを起動するためには、Cubase AI起動前に、eLicenser Control Centerというソフトを起動し、アクティベーションコードの入力ボタンをクリックした上で、先ほど入手したアクティベーションコードを入力します。これにより、ライセンスをダウンロードできるのですが、ここにも注意点が1つ。
Cubase起動前にeLicenser Control Centerでアクティベーションコードを入れてライセンスを入手
このeLicenserにはUSBドングルであるSteinberg Keyを使うUSB-eLicenserとPC本体を利用するSoft-eLicenserの2種類があります。このCubase AIが初めてという人の場合、USBドングルを持っていないでしょうから、Soft-eLicenserを使うことになると思います。これで問題はないのですが、もしPCを買い替えるなど、環境を引っ越しする場合、ライセンスの移管手続きをしっかりしないと、ライセンスが消えて、Cubase AI 10.5が使えなくなってしまうのでご注意ください。一方でUSBドングルであるSteinberg Keyにラインセンスを入れておけば、そのSteinberg Keyさえ挿せばどのPCでも使うことができるので安心です。可能であれば、1つ購入しておくといいですよ。
USB eLiccenserであるSteinberg Key
以上、Cubase AI 10.5の入手方法などについて紹介してみました。UR22Cなど、オーディオインターフェイスの購入をキッカケにこれから初めてDAWであるCubaseを使ってみようという方などは、参考にしていただければと思います。
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