Rob Papenの新作、モーフ・オシレーター搭載の超強力シンセGo2は破格の5,000円!?

ソフトシンセメーカーとして著名なオランダのRob Papen(ロブ・パペン)。以前にも「オランダの音源メーカー、Rob Papenのソフトシンセが面白い!」という記事で紹介したことがありましたが、BLUEPREDATORSubBoomBassBLADE……など数多くのユニークな音源を出しているメーカーです。
そのRob Papenから、また新しいシンセサイザ、Go2(ゴーツー)が発売されました。モーフ・オシレーターという非常にユニークで不思議な仕組みのシンセサイザとなっており、ほかの音源ではありえない、面白い音を作り出すことが可能となっています。WindowsでもMacでも使うことができ、プラットフォームもVST、AU、AAXと何でもOK。しかも、価格は5,000円(税別)と激安ですからかなり気になる存在です。実際どんなシンセサイザなのか、ちょっと試してみました。

Rob Papenの新音源、Go2



Rob Papenの社長はミュージシャンでありシンセサイザ開発者であり、音色作成のプロでもあるRob Papenさん。そのRob Papenさんには、昨年、われわれの番組「DTMステーションPlus!」にも出演していただいたことがありましたが、お話した感じでは、気さくな優しい普通のオジサンという印象。でも、かなり強力な音源を次々と生み出してくるんですよね。

DTMステーションPlus!の番組にて。
左から藤本、Rob Papenさん、Dirigentの中屋さん、多良間さん、作曲家の多田さん、バイオリニストの石橋尚子さん

その最新作、Go2は2つのオシレーターを組み合わせるモーフ・オシレーターというユニークな仕組みを導入しているのが最大の特徴です。モーフ・オシレーターとは、あまり聞いたことがない言葉ですが、2つの異なるオシレーターをモーフィングするということなんですね。
とっても単純なデモではありますが、Square(矩形波)とSaw(ノコギリ波)を設定した上で、それぞれの間をモーフィングさせてみたのが以下のビデオです。

これでなんとなくイメージは付きますよね。ここに設定できるのは矩形波、ノコギリ波、三角波、サイン波といった基本波形だけに留まりません。オルガンやホイッスル、ボーカル音など、さまざまな音源が用意されていて、それぞれをモーフィングできるので、かなりバリエーション豊かな音を出すことができますよ。

数多くの波形が用意されている
また、先ほどのデモでは単純なミックス的な手法でのモーフィングでしたが、二つの波形を掛け算していくリングモジュレーション、周波数変調を掛けていくFMなど、複数のモーフィングアルゴリズムが用意されているので、かなり複雑なことができますよ。

FMやリングモジュレーターなど、さまざまな掛け合わせ方がある

「なんか理論ばっかりじゃ、よく分からないぞ!」という方も多いと思います。実際、細かな音作りより、数多くのプリセットが用意されており、これをチェックしてみるだけでも、かなり使える音源であることが分かるはず。

数多くのプリセット音色が用意されている
イギリスの雑誌、Computer Music Magazineが、これら各プリセットのサウンドを鳴らすだけのデモビデオをUPしていましたので、これをご覧いただくと、Go2の面白さが分かると思います。

これらのほとんどは、単純に1つのノート音を出しているだけ。そう鍵盤を1つ抑えているだけで、これだけ複雑なサウンドが出せるのですから、すごいですよね。
というわけで、もうちょっとこの音源について見て行きましょう。先ほどのプリセットサウンドを見ても分かるとおり、モーフィングするためのXYパッドが、マウスでポインタをいじらなくても勝手に動いていたことに気づいたと思います。

サークルの軌跡を描いてみた
そう、Go2では、このモーフィングの動きをあらかじめ記録しておくことができ、鍵盤を押せば記録を再現することが可能になっているのです。さらに、自分で動かして記録するだけでなくサークルを描くとか、螺旋で回すとか、いろいろな軌跡が用意されているし、それらをエディットしていくことも可能になっているのです。

また、このXYパッド、単に2つの波形をモーフィングしているだけではないことにも気づくと思います。XYパッドの右側には4つのパラメータがありますが、フィルタの周波数やアンプの増幅量、PAN、デチューンなどなど、さまざまなものを割り当てることが可能になっているので、複雑な音作りができるというわけです。

Go2に搭載されている強力なアルペジエーター

また、このプリセットを見ていて目立つのがアルペジエーター。画面下には16ステップのシーケンサのようなアルペジエーターが用意されているので、これを用いてかなり自由度高くフレーズを設定していくことが可能です。ステップごとの音程の調整はもちろん、タイを使って伸ばしたり、ベロシティをいじったり、スウィングさせたり、さらにはオクターブ調整やスピード調整など、触れば触るほどいろんなことができちゃうアルペジエーターなんです。
もっともも、これはGo2に限ったものではなくBLADEやRGほかRob Papenの各種音源で搭載されてきたシーケンサがここにも搭載されているという感じですね。

画面左下のMODでは自由なパッチングでモジュレーションをかけられる
画面左下には、MODという項目がありますが、ここではモジュラーシンセサイザなどと同様、さまざまなパッチングが可能になっています。たとえば「XYパッドのX軸をUnison Panに送る」、「モジュレーションホイールをXYのスピードに送る」などなど自由自在に設定でき、計8つまでのパッチングが可能なので、ここだけでもすごく幅広い音色づくりができそうです。

FILTER、FILTER ENV、HP FILTER、PLAY MODE、AMPの各部
そのほか、画面右上にあるのがアナログシンセでいうところのVCF、VCA、エンベロープジェネレータ。このフィルタはローパス、パンドパス、コムフィルタなどさまざまな特性のものが用意されているので、これらをいじるだけでも、かなりいろいろなサウンドを作り出すことができます。また、PLAY MODEではPOLYモード、MONOモードなどを設定できるほか、Unisonモードの設定といったものも可能です。このUnisonモードではオクターブ違いでのユニゾンのほか、fifth、Majar、Minor 7、7 sus4など、さまざまなコード設定までできるので面白い使い方ができると思いますよ。

Unisonモード設定
さらに右下にはコーラス、フランジャー、フェイザー、ディレイ、リバーブと計5種類のエフェクトを装備。もちろん、エフェクトはDAW側で好きなものをかけることも可能ですが、音源が直接装備しているプリセットに入れることで、使い勝手も大きく向上しますからね。

各種エフェクト類
これだけ面白い音源が5,000円というのは破格値だと思います。アメリカ価格を見ると$49、ヨーロッパ価格を見ると€49なので、為替レートを考えれば日本価格が一番安いみたいです。

開発者などのクレジット表記
さらに今後もっとRob Papenの音源を増やしたいと思っている方には、Go2を利用した激安入手法があるので紹介しておきますね。Rob PapenではeXplorer 4という全部入りパックが49,800円で販売されています。これには新製品であるGo2は含まれていないので、別途eXplorer 4を入手すれば一通り揃うことになります。が、eXplorer 4にはRob Papen製品を持っているユーザー向けの優待パックというものがあり、これが27,600円なんです。つまり、先にGo2を5,000円で入手した後に、eXplorer 4の優待パックを購入すれば、断然安く手にはいるわけなのです。

実際購入する前にデモ版を試してみることもできるので、まずはGo2の面白さを体験してみてはいかがでしょうか?

※追記 2018.06.18
Rob Papen Go2が1.0.1にアップデートするとともに、Native InstrumentsのNKSに対応しました。これにより、Native InstrumentsのKomplete Kontrol S-SeriesのキーボードからGo2を自由に操作できるようになりました。

【価格チェック】
◎ディリゲント・オンラインショップ ⇒ Go2
◎Amazon ⇒ Go2
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【関連情報】
Go2製品情報
eXplorer 4製品情報
第2回 Rob Papenさんがやってきた!の巻【あやねのPlusあるふぁっ!】
【Go2チュートリアル】
Bitwigでいこう! vol.3
Bitwigでいこう! vol.4
Bitwigでいこう! vol.5