現在、アメリカ・カリフォルニア州のアナハイムで行われている世界最大の楽器のNAMM Show 2018。個人的には初めての参加でとっても楽しみにしていたのですが、なぜかこのタイミングで結膜炎を発祥してしまい、目がかなり不自由な状況に。そんなわけで、想定していた1/3も回れていないのが実情ですが、そんな中、また日本からの参加組のブースでとっても興味深いものを発見してしまいました。
それは、これまでDTMステーションでも何度か取り上げたことのある、浜松のベンチャー企業、QUICCO SOUND(キッコ サウンド)が参考出品していた製品。なんとKORGのvolcaを改造してワイヤレス化させるというキットなんです。価格は2,900円程度(税抜き)を想定しているとのこと。どんなものなのか簡単に紹介してみましょう。
今回QUICCO SOUNDがメインに展示していたのはワイヤレスのMIDI-CV/Gateインターフェイスの新製品、mi.1e 2|6。これはBluetooth LE-MIDI(BLE-MIDI)を用いて2IN/6OUTのCV/GATEの入出力を行うというもの。もちろん、これはこれですごく面白い製品ではあるのですが、ふと目に入ったのが、さりげなく置いてあった、KORGのドラムマシン、volca beatsです。
NAMM Show 2018の2日目に発見したのは、また日本のベンチャーの製品だった!
そして、そのvolca beatsには「mi.1 inside」という小さなプレートが貼ってあったんですよね。展示員として、ブースに立っていたQUICCO SOUNDの社長、廣井真さんに、「これは何ですか?」と質問したところ。
今年で5年連続のNAMM出展だという、QUICCO SOUNDの廣井真社長
「まだ実はちゃんと発表してないんですけどね、NAMMに来る直前に試してみたら面白いことができたんですよ」と廣井さん。
NAMMでの展示していたメイン製品はmi.1e 2|6だったのだが…
ご存知の方も多いと思いますが、既存のMIDI機器をBluetooth対応させるためにはQUICCO SOUNDのmi.1かYAMAHAのMD-BT01をMIDI端子に取り付けることで手軽に実現することが可能です。ただし、mi.1もMD-BT01もMIDI OUT端子から電力供給を受けるという仕組み上、MIDI OUT端子があることが必須なのです。
MIDI IN/MIDI OUT端子を持つ機材ならmi.1を取り付けるだけでBLE-MIDI化が可能
ところが、volcaシリーズの場合はMIDI IN端子しか搭載されておらず、MIDI OUT端子を装備していないため、これを実現することができませんでした。
ところが、volcaのシャーシを外して、中の基板をチェックしてみたところ、基板上にはなんとMIDI IN端子のほかにMIDI OUTとプリントされた端子が存在していたというのです。そこで、mi.1の内部基板をこれらに直接ハンダ付けしたところ、あっさりBLE-MIDI対応できてしまった、というのです。
mi.1の中身である小さな基板を埋め込む改造が施されている
まだちゃんとチェックはできていないものの、おそらくMIDI INだけでなくMIDI OUTも使えるとのことです。そう、これまでMIDI OUT端子のなかったvolcaがBleutoothを介してMIDI出力可能になるというのですから、これは面白そうですよね。
iPadからのMIDI Clockに同期して動くvolca beats
「MIDI OUTに何が出るのかは、まだ確認できていませんが、キーを叩くとMIDIノート信号などがリアルタイムに出るのではないでしょうか…」と廣井さん。
もちろんvolcaシリーズにはvolca beatsだけでなく、volca keys、volca bass、volca sample、volca fm、volca kickなどがありますから、これらでも使えるのではないでしょうか?
ここで問題になるのは、その内蔵の仕方です。廣井さんに確認したところ
volcaに4箇所のハンダ付けを行うだけで改造できてしまう
「改造はもちろん自己責任ということになりますが、ハンダ付けを4箇所行うことで簡単にできてしまいます」とのこと。その程度であれば、普段あまり電気工作などしたことがない方でもできそうです。
また、volcaに限らず、MIDI IN、MIDI OUT端子を装備している機材であれば、たいていのものは、同様の改良ができるだろう、とのこと。まあ、あえて改良しなくても、mi.1などを取り付ければいいだけですが、よりスッキリさせたいという人にとっては、面白い選択肢にはなりそうです。
発売時期や、発売価格などは、まだ未定とのことですが、冒頭でも書いたとおり3月ごろに2,900円程度をメドに発売したい、とのこと。volcaユーザーにとっては、KORGが発表したvolca mixとともに、かなり気になる存在になるのではないでしょうか?
【関連情報】
QUICCO SOUNDホームページ