Native Instrumentsから新製品が2製品、3モデルが発表されました。1つ目はMASCHINEの新モデルで、オーディオインターフェイス機能を統合したMASCHINE MK3。従来のMASCHINE MK2を大きくブラッシュアップすると同時に、オーディオインターフェイス機能を搭載したことで、これ1台で完結できるようになったのですが、サイズ的には薄くなるとともに、まさかの値下げで、現行機種より1,000円安い、実売価格72,800円(税込)となっています。
2つめはUSB-MIDIキーボードであるKOMPLETE KONTROL Sシリーズの新モデル2つで、49鍵盤のKOMPLETE KONTROL S49(実売価格69,800円)、61鍵盤のKOMPLETE KONTROL S61(実売価格79,800円前後)のそれぞれ。名称は変わっていないようですが、この新モデルではUSBバスパワーで動作するようになると同時に、KOMPLETE KONTROLとの連携だけでなく、VSTi完全対応となったことで、より幅広い利用が可能になったのです。3モデルとも発売は10月6日の予定となっていますが、実機も見てきたので、実際にこれらがどんな製品なのか紹介してみましょう。なお、9月9日放送のニコニコ生放送&Fresh!の番組ではこれら新製品を特集し、実機をお見せしていくので、お楽しみに!
MASCHINE MK3およびKOMPLETE KONTROL S49およびS61が誕生
まずはMASCHINE MK3から。ご存知の通りMASCHINEはハードウェアであるMASCHINE本体とWindows/Mac上で動作するMASCHINEソフトウェアをセットで使うシステムで、ドラムマシン、グルーヴボックスマシンとしてはもちろん、サンプラー、アレンジャー、ミキサー、エフェクターなど、さまざまな機能を搭載する音楽制作マシンであり、電子楽器となっているものです。
現在このMASCHINEシリーズは上位モデルからMASCHINE STUDIO、MASCHINE、MASCHINE JAM、MASCHINE MIKROと大きく4つのラインナップがありますが、今回登場するのは標準モデルであるMASCHINE MK2の後継となる機材である、MASCHINE MK3です。
現行モデルのMASCHINE MK2(左)と新モデルのMASCHINE MK3(右)
このMASCHINE MK3の最大の特徴は、ここにオーディオインターフェイス機能を搭載したという点。従来、MASCHINEを利用するには、別途オーディオインターフェイスを接続して使うことが前提となっていたのですが、今回ついにユーザー待望のオーディオインターフェイス機能が搭載されたことで、PCとMASCHINE MK3があればシステムとして完結できるようになったのです。
オーディオインターフェイス機能を搭載したMASCHINE MK3のリアパネル
しかも前述の通り、サイズ的にはより薄くなり、しかも価格的に値下げとなっているのですから、既存のMASCHINEユーザーからすると、ちょっと悔しく思ってしまいそうですね。とはいえ、どのジャンル製品も最近はより高性能、より高機能になるとともに安くなるというのが常ですから、ここは思い切って買い替えるという手段を検討してもいいかもしれません。
MASCHINE MK3(上)とMASCHINE MK2(下)それぞれのリアパネル
このオーディオインターフェイス機能について、もう少し詳しく見てみましょう。これはUSB 2.0接続で24bit/96kHz、2IN/2OUTという仕様。端子としては1/4″TRSフォン(標準ジャック)出力×2、1/4″TRSフォン入力×2、1/4″ダイナミックマイク入力×1、ステレオヘッドホン出力×1を装備しているほか、MIDI入出力1系統、さらにフットスイッチ×1という構成になっています。
一方のMASCHINE自体のほうも大きくブラッシュアップされています。最大のポイントは4×4のパッドがより叩きやすくなっていること。4×4パッド全体の大きさは変わっていないのですが、各パッドそれぞれが大きくなっているんです。つまり、パッドの境目が限りなく細くなったことで、操作性が向上しているんですね。
パッドとパッドの間隔がギリギリまで細くなり、その分パッドのサイズが大きく叩きやすくなった
また従来、たとえばこの4×4のパッドを鍵盤モードにするために、SHIFT+PAD MODEという操作が必要でしたが、MASCHINE MK3にはKEYBOARDというボタンが独立して搭載されたために、ダイレクトで使えるようになりました。このようなボタンがほかにも、NOTE INPUT MODE、LOCK、MACRO、FILE MANAGEMENTなど新たに11個追加されているので、より使いやすくなっているわけです。
さらに2つある液晶ディスプレイは、今回のモデルでともに高解像度のカラーディスプレイとなっているのもポイントですね。そのほか各種メニュー操作を行うための大きいノブが4方向プッシュ式エンコーダーなるものに進化しているのも見逃せない点です。これは回転させたり、押し込むことでクルクルピッピッと操作を行うものですが、さらに、上下左右に動かす十字キー操作も可能になっているんですね。さらに、KOMPLETE KONTROL Sシリーズにも搭載されていたSmart Stripも搭載されていますす。これにを使うことでノートのストラミング、サウンドのピッチベンド、FXパフォーマンスなども可能になります。
なお、付属ソフトウェアとしてはもちろんMASCHINEソフトウェアがあり、従来からマイナーバージョンアップがされるとともに、いかにもTR-303っぽいBassSynthという音源が追加されるなどしているほか、11種類のインストゥルメントとエフェクトをバンドルしたKOMPLETE 11 SELECTもバンドルされています。このKOMPLETE 11 SELECTについては以前書いた記事「2017年はNIのKOMPLETE 11 SELECTから始めてみよう!」を参考にしてみてください。
このMASCHINE MK3に関する公式ビデオもUPされているので、ご覧になると雰囲気がわかるかと思います。
KOMPLETE KONTROL S49の新モデル
さて、もう1つのKOMPLETE KONTROL S49およびS61のほうも見てみましょう。私も以前25鍵盤のKOMPLETE KONTROL S25を購入して便利に使っているのですが、そのS25およびS88のほうは、現行のままで、S49とS61の2モデルが刷新された格好です。
個人的に、やられた…と思ったのは今回の新モデルでUSBバスパワーで動作するようになったという点。この辺の印象は人によって違うとは思うのですが、やっぱり周辺機器の類って、USBバスパワーで動作してACアダプタが不要というのは何かと便利なんですよね。各鍵盤がLEDで光るKOMPLETE KONTROL Sは電力を食うからACアダプタが必要なんだ……とそれなりに納得して使ってはいたのですが、既存ユーザーとしてはちょっと悔しい感じがしちゃいますね。
カラフルに光るLight Guideで使いやすくしてくれるのは従来通り
ちなみに、このLEDはLight Guideというもので、ドラムセル、キースイッチ、コード、スケールなどを表示するもので、一度使ったら手放せない便利なものです。
モジュレーションホイール、ピッチベンドホイールは一般的なものに。その下にSmart Stripがある
そしてもう一つ今回の変更で大きいのが左側のモジュレーションホイール、ピッチホイールが一般的なタイプのものになったという点です。これまでは指をスライドして操作するタッチ・ストリップというものが2つあり、これでピッチやモジュレーションをコントロールしていました。これはこれで便利だったのですが、やはり賛否両論あったことから、今回は一般的なものが採用された格好です。でも、タッチ・ストリップを取りやめたわけではなく、新たに横方向でスライドさせるものが追加され、これで同様の操作ができるようになっているんですね。
さらに先ほどのMASCHINE MK3と同様、カラー液晶が2つ並んでいます。まさにPC上のKOMPLETE KONTROLの画面を見ているように操作できるため、PC側には一切触れずにほぼすべての操作が可能になっているのも重要なところでしょう。KOMPLETE KONTROL S49およびS61も大きいノブは4方向プッシュ式エンコーダーになっています。
MASCHINE MK3にも搭載されている4方向プッシュ式エンコーダー
一方で、ソフトウェアとの連携という面でも大きな進化を果たしています。それは従来はKOMPLETEインストゥルメントやArutiriaなど他社製のNative Kontrol Standard(NKS)対応のインストゥルメントをコントロールすることが前提となったシステムでしたが、今回VSTインストゥルメントに完全対応したのと同時に、各種DAWを直接コントロール可能となっています。
発売時点ではAbleton Live、Logic Pro X、GarageBandへの対応となっていますが、その後、Cubase、Nuendoにも対応することがアナウンスされています。その他のDAWについては現時点不明ですが、対応を期待したいところですね。
KOMPLETE KONTROL S49とMASCHINE MK3
このKOMPLETE KONTROL S49およびS61にも、ソフトウェアとしてKOMPLETE 11 SELECTがバンドルされるのですが、もう一つユニークなのは、もしMASCHINEソフトウェアを持っていれば、MASCHINEソフトウェアとシームレスな連携が可能であるということ。ある意味、KOMPLETE KONTROL S49/S61をMASCHINEハードウェアのように使えてしまうんですね。もちろん、こちらにはオーディオインターフェイスは搭載されていませんが、いろいろな使い方ができそうです。
私も、まだ発売前の実機を軽く触っただけで細かなところまではしっかりチェックできていませんが、また最新情報などあればお伝えしていきたいと思っています。
なお、冒頭でも触れたとおり、9月9日の15時~17時で予定しているネット放送「DTMステーションPlus! 第89回」において、このMASCHINE MK3およびKOMPLETE KONTROL Sの実機をじっくりと紹介していく予定です。番組内でコメントで質問をいただければ、お答えしていきたいと思いますので、ぜひご覧ください。
【関連情報】
MASCHINE MK3製品情報
KOMPLETE KONTROL S49製品情報
KOMPLETE KONTROL S61製品情報
【DTMステーションPlus!番組予定】
9月9日 15:00~17:00
ニコニコ生放送 ⇒ http://live.nicovideo.jp/watch/lv305378187
Fresh! ⇒ https://freshlive.tv/dtmstationplus/146709