先日、とっても不思議なMIDIコントローラー、Touché(トゥーシェ)が発売されました。これはフランスのExpressive Eという会社が開発したもので、パッと見は、「ん?ちょっと変わったフットペダル!?」といった形、大きさなのですが、木製のシックなデザインであり、手でコントロールするというもの。
実際に触っていると、プニュプニュ、ポニョポニョと動くなんとも不思議な触感であり、指ではじけば、ボヨヨ~ンと振動するもの。触っているだけでも気持ちがいい、このTouchéは木製の“スキン”が微細な振動や圧力も敏感に捉えて、それをMIDI信号やCV信号に変換。これでソフトウェアシンセサイザでもハードウェアシンセサイザでもコントロールすることができ、まるでアコースティック楽器を触れているかのような演奏を可能にするというのです。実際どんなものなのか紹介してみたいと思います。
フランス生まれの不思議なコントローラー、Touché
フランス生まれの、このコントローラー、Touchéは手で叩く、こする、押す、スライドするなど、さまざまなジェスチャーでサウンドを操り、まるでアコースティック楽器に触れているかのように自然と音楽との繋がりを感じ取ることができる……というユニークなコンセプトのもの。
Touchéは手でこすったり、押したり、叩いたりして使うコントロールサーフェイス
主に4つのセンサーが埋め込まれていて、この図のように、木製スキンを動かした結果がMIDIのコントロールチェンジなどの信号となって出力される仕掛けになっているんです。
木製スキンを動かすことで、センサーが感知して、さまざまな信号を出すことができる
リアパネルを見ると、中央にUSB端子があるので、これをPCと接続することで電源供給するとともにMIDIの情報のやりとりをします。
Touchéのリアパネル、USBを介して信号のやりとりをするのが基本
また、MIDI IN、MIDI OUTという端子があるのに気づくと思いますが、ここに付属のコネクタを接続することで、直接MIDI機器と接続することも可能。この場合、TouchéにはPCを接続しなくてもUSB端子から電源供給するだけで動作させることも可能となっています。
付属のコネクタを取り付けることでMIDIの入出力も可能となる
さらに、そのMIDI IN、MIDI OUT端子の外側にはCV1~CV4という4つの端子も用意されています。このCVとはコントロール・ボルテージの略であり、ここから0~5Vの電圧信号を出力して、外部のアナログシンセサイザをコントロールすることもできるようになっているんですね。
実際に手元にあるArturiaのアナログシンセサイザ、MicroBruteに接続してみたところ、Touchéの動作でフィルターをコントロールしたり、ピッチを動かすことができました。
では、もう少し具体的に、どんなことができるのかを見ていきましょう。木製スキンを押し込んだり、横に動かすことでUSB端子やMIDI端子、CV端子から信号が出ていくわけですが、デフォルトではCC16、CC17、CC18、CC19というものが割り振られていいます。もちろん、このまま使ってもいいのですが、やはりもっと自由に割り振って、自分の持っているシンセサイザにマッチした形で使えるようにしたいですよね。
そうした割り振りを自由に行うことができるのも、Touchéの特徴です。このためには、メーカーサイトからダウンロードできるLiéというソフトウェアを用います。ただ、現状においてはMacのみに対応したアプリケーションとなっており、Windows版は現在開発中とのこと。その意味では、今しばらくのところ、TouchéはMac専用と捉えておいたほうがよさそうですね。もっともWindowsに接続したところ、ドライバ不要のUSBクラスコンプライアントのデバイスであり、MIDIの入出力ポートとしてみることはできました。
Touchéに触るとLiéが反応する
さて、このLiéはVSTおよびAUのプラグインとなっており、基本的にはDAW上で利用する形になっています。このLiéを起動した状態で、Touchéを触ると、どこが反応しているのかリアルタイムにグラフィックで示されるようになっています。
UVI Workstationもバンドルされおり、これに合わせたプリセットが多数用意されている
そしてダウンロードするソフトにはLiéとともにUVI Workstationというソフトシンセもバンドルされており、これをインストールして使うようになっています。用意されているLiéの音色パッチを選ぶと自動的にUVI Workstationが起動するとともに、音色設定されると同時に、Touchéの動作に対してフィルターやエンベロープ、LFOなどの各パラメーターがいい感じに割り当てられるんです。
プリセットを呼び出せば、すぐにTouchéでUVI Workstationがプレイできるようになっている
実際キーボードで弾きながらTouchéを動かしてみると、なかなか不思議な効果が得られますよ。音色によって、Touchéでの効果が違うけれど、演奏しながらのパフォーマンスという意味では、感覚的にすぐに使うことができそうです。こうしたパフォーマンスが上手な方といえば、やっぱり氏家克典さん。ちょうど昨日、music trackでの氏家さんのビデオ映像も公開されていました。氏家さん側の許可も得られたので、以下に掲載しておきますので、ぜひご覧になってみてください。Touchéでどんなパフォーマンスができるのかがよくわかると思います。
このLiéの面白いのは、1つのセンサーに1つのコントロールチェンジを割り当てるだけでなく、複数レイヤーすることができるという点です。画面中央にはスロットセンターと呼ばれるところがあり、ここでTouchéのセンサーとパラメーターを最大8つまで結びつけることができるようになっているんです。
センサーの動きに対するパラメーターの動きのカーブを選ぶこともできる
また、Touchéを動かす際のパラメーターの動きをリニアにするのか、ロガリズミックにするのか……といった設定も可能になってます。
ちなみに、感度はTouchéの下にあるエンコーダーを回すことで調整することができ、軽く触っただけで動作するのか、ある程度グイっと押し込んで動作するのかなどを調整できます。
木製スキンを取り外すと、内側には左右感度を調整するスライダーなども入っている
さらにTouchéの木製スキンを取り外すと、中には左右感度を調整するスライダーもあり、これを使うことで、操作感をゆるくしたり、タイトにしたりすることもできますよ。
さまざまなVSTインストゥルメントと連携させて使うことができる
そして、もちろん、TouchéとLiéはUVI Workstation専用というわけではなく、さまざまなソフトシンセを使うことができます。構造上、Liéから別のVSTインストゥルメントを呼び出す形になっているので、予めVSTプラグインのスキャニングをしておく必要がありますが、あとは呼び出すだけなので、簡単です。
フリーウェアのSynth1でもパラメータを割り当ててばっちり動作させることができた
そして、呼び出したソフトシンセに対して、自由にパラメータを割り当てていくことができるので、まさに自分の好きなように構成していくことができるんですね。
スタンドアロン動作時の設定を24種類まで記憶させることができる
このようにTouchéは、Liéを介してソフトシンセをコントロールすることができる一方で、前述の通りスタンドアロンで利用することも可能です。この場合も、どんな動きをどのコントロールチェンジに割り当てるかをLiéで設定できるようになっており、それを24通り記憶させることができるようになっています。
下にある2つのボタンとエンコーダー、LEDの色で設定したプリセットを呼び出すことができる
そしてスタンドアロン起動時には、下のエンコーダーと左右ボタンを用いてLEDの色と点灯数を切り替えて呼び出すことができるようになっているのです。シンプルながら、こうすることで、暗いステージでも目的の設定をすぐに呼び出せるというわけですね。
以上、Touchéについて紹介してみましたが、いかがだったでしょうか?氏家さんのビデオはありましたが、実際に使ってみないとなかなかわかりにくいと思うので、8月22日のネット放送番組DTMステーションPlus!で、Touchéの実演をする予定です。
DTMステーションPlus! 第88回では、IK MultimediaのSyntronikも合わせて特集する
この日は、シンセ女子のAZUMA HITOMI(@AZUMAHITOMI)さんをゲストにお迎えし、IK Multimediaが先日リリースしたビンテージシンセを復刻させるソフトウェア音源、Syntronikも併せて特集していく予定ですので、ぜひご覧いただければと思います。
※追記 2017年8月21日
Touchéの発売元の株式会社フックアップからの情報によると
日時 2017年9月18日(祝日:月) 19:00~
東京都千代田区神田駿河台1-8
【関連情報】
Touché製品情報
Touchéチュートリアルビデオ(日本語字幕)
【価格チェック】
◎Amazon ⇒ Touché
◎サウンドハウス ⇒ Touché
【DTMステーションPlus!番組】
8月22日 21:00~22:30
◎ニコニコ生放送版 DTMステーションPlus! 第88回
◎Fresh!版 DTMステーションPlus! 第88回