まさにそんな人たちのために誕生したのがMASCHINEのエントリー機ともいえる、iPhone/iPad用のアプリ、iMASCHINE2です。先日、ニコニコ生放送のDTMステーションPlus!のほうでもiMASCHINE2を特集したのですが、これはMASCHINEを知る上で役立つというレベルではなく、これ1つで音楽制作も可能だし、出先や電車の中などでも即音楽制作に取り掛かれるとっても便利なアプリ。しかもMASCHINEを持っていれば、iMASCHINEで作ったプロジェクトやサンプリング素材を手軽に受け渡して続きの作業をPCでできるなど、強力な連携機能も持っているんですね。かなり豊富な機能を持ったアプリなので、その内容について紹介してみたいと思います。
3月8日に放送したDTMステーションPlus!でゲスト出演してくれた作曲家、作詞家、音楽プロデューサーとしても活躍する鈴木まなかさんもMASCHINEを活用するユーザー。HKT48、NMB48、板野友美、SUPER☆GiRL、わーすた……といったアイドル楽曲を手掛ける、まなかさん。そうした楽曲制作において、まずMASCHINEでの作業から入ることも多いのだとか。
先日DTMステーションPlus!に出演いただいた、鈴木まなかさん。愛用の白いMASCHINE MIKROとiMASCHINE2
「急ぎの仕事、でもクォリティーの高いサウンドが求められる……そんなときにMASCHINEはとっても重宝するんですよ。ジャンルから選んでいくだけで手早く作れちゃいますから。それをLogicと同期させて取り込み、上モノはLogic側で録っていくんです。ただ、雰囲気を変えるために、スネアとキックだけはMASCHINEはミュートして別の音源に差し替えるなんてワザもよく使ってますね」とテキパキと作業を進める上で便利そうです。
NATIVE SESSIONSでのパネルディスカッション。左からMITSU THE BEATSさん、SEKITOVAさん、中村祐介さん
また、先日YouTube Space Tokyoで行われたNATIVE SESSIONSというイベントにおいても、作曲家・音楽プロデューサーの中村祐介さん、ビートメイカー・DJ・プロデューサーのMITSU THE BEATSさん、DJ・プロデューサのSEKITOVAさんがMASCHINEを使ったプレイを行うとともに対談を行っていましたが、ここでもみなさんMASCHIINEを活用しているようでした。
たとえば中村さんは「MASCHINEは、ループプレイを止めずにどんどん音色を重ねていけるところで、これでベーシックトラックを形作れるところですね。曲のフックとなるサビ部分を最初に作ってしまう場合もあれば、最初に思い浮かんだAメロを発展させることもありますが、アイディアを重ねながら音を作っていくということは、ほかのシーケンサやDAWにはできないので、便利に使っていますね」、MITSU THE BEATSさんも「まず1970年代の曲をMASCHINEでサンプリングしてモチーフとしつつ、それに合うドラムは……と音を選ぶといった作り方もしています」、SEKITOVAさんは「MASCHINEだと、とりあえず適当に雑に作っても、それっぽいものになっちゃうんですよ。それからインスピレーションを得て次に発展させていく……なんて作り方をしてますね」とみなさん使い方は多種多様。
の3ラインナップと、それなりのお値段。
せっかくならアプリ内課金で購入できるULTIMATE COLLECTIONも購入しておくのがオススメ
でも、その前にぜひ使ってみる価値があるのがiOSアプリとして存在するiMASCHINE2なのです。こちらはたった1,200円で、オプションの拡張音源ULTIMATE COLLECTION(個別の120円の拡張音源36種類すべてをセットにしたものが1,200円となっています)をセットにしても2,400円ですからね。ちなみにQuantum Collectionという20キット・15インストゥルメントの拡張音源は無料で入手できるので、これは必ず入手しておくといいですよ。
これをiPadで起動すると、こんな感じの4×4のパッドが登場してきます。iPhoneだと、画面デザインが違いますが、まったく同じことができるユニバーサルアプリとなっていますよ。
この4×4のパッドを叩くと、まさにドラムマシンとして音が出て、リアルタイムに演奏することができます。また、RECボタンを押した状態で叩けば、それがシーケンサ記録されていきます。
RECボタンをタップすると、パッドを叩いた結果を記録していくことができる
またStep Modeへと切り替えると、ステップシーケンサとして打ち込んでいったり、RECボタンでリアルタイムレコーディングした結果をエディットしていくことも可能です。
もちろん、この4×4のパッドにはアコースティックのドラムキットや各種エレクトリックドラムキットなどのほかメロディックな音色キットやパーカッション系キットなど、さまざまなライブラリを読み込めるようになっています。前述のオプションの拡張音源を購入していれば、さらに利用できるライブラリも広がりますね。キットとして16音セットで読み込まなくても、1つ1つのパッドに個別にサウンドを割り当てていくことも可能です。
また面白いのは、その割り当てるサウンド自体を自分でサンプリング可能であること。コップやお皿を叩いた音やドアを閉める音、人の声などなんでも楽器として使えますよ。このサンプリングした音は自由にトリミングできるので、適当に録った音の中から切り出してみるというのも面白いですね。
iMASCHINEはそんなドラムマシン・サンプラーであるのが基本ですが、それが4つのトラックから成り立っているというのもユニークな点です。そう、A~Dの4つのトラックがあり、それぞれに別のキットを読み込んで、それぞれに別々のシーケンスを組んだ上で、同期させて演奏することが可能なんです。
A~Dまで4トラックあるうち、任意のトラックをキーボードにすることも可能
さらにユニークなのは、4つあるトラックは4×4のパッドとしてだけでなく、キーボード、さらにはレコーダーとしても使えるということです。まずキーボードというのは、画面のとおり、iPadやiPhoneの画面上に鍵盤が表示され、これを弾けば演奏ができるというもの。音源は、パッドに割り当てるキットとは別に用意されており、ピアノ系、オルガン系、リード系、ブラス系、ベース系……と豊富に用意されているほか、やはり自分でサンプリングした音を音源に利用することも可能となっています。
ただし、iPad/iPhoneにMIDI鍵盤を接続しても、このiMASCHINE2のキーボードを弾くことはできませんでした。この辺もいつか対応してくれると、さらに広がりもでそうですよね。
もう一方のレコーダーというのは、iPadやiPhoneのマイクでレコーディングできる、という機能です。要するにオーディオトラックと考えればいいでしょう。必要に応じて、4トラックのうちの1つをレコーダーに設定することもできるし、4つすべてをレコーダーに設定することも可能。Aトラックがパッドでドラムを鳴らし、Bトラックがベース用にキーボード、Cトラックはコード用にやはりキーボードを使って、Dトラックをレコーダーにしてボーカルを入れる……といった使い方ができそうですね。
iPhoneでも利用できる点を考えれば、超強力なアイディアメモとして使えるというのも大きなポイント。つまり、街中で、電車の中でふと思いついたメロディーをここに録音しちゃえばいいのです。その際、簡単なリズムとバックのコードも弾いて録っておけば、さらにイメージも膨らんできそうですよね。
出来上がったデータは、iTunes経由でPCへ転送でき、MASCHINEのプロジェクト、サンプル、オーディオとして送れる
このようにしてiMASCHINE2で作ったデータをiTunes経由でPCへ送ることもできます。この際、オーディオとして送れるだけでなく、MASCHINEがあれば、さらに高度な連携が可能になりますよ。つまりプロジェクトデータとして転送できるのはもちろん、サンプリングデータや演奏情報、レコーダーの録音結果など、一通りのものを送ることができるから、ほぼそのままの形でPCのMASCHINE上で再現できるのです。その上で必要に応じてエディットしたり、さらにはDAWと組み合わせて、同期させて……といったこともできるので、可能性は大きく広がると思います。
【ダウンロード】
iMASCHNE2(AppStore)
【関連情報】
iMASCHINE2製品情報
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