(※初出時の記事内容に認識間違いなどがいろいろあったため、2016.03.27 17:30に大幅に加筆修正しました)
発売されたばかりのApple純正のLightning-USB3カメラアダプタをさっそく購入して試してみた
Appleサイトにも「オーディオ/MIDIインターフェイス」という文言が書かれている
並べてみるとわかる通り、新しいLightning-USB3カメラアダプタのほうが大きいのですが、最大の違いはここに電源供給用のLightning端子が用意されている、ということです。ここにACアダプタからのLightningケーブルを接続すれば、USB周辺機器を使いながらiPadやiPhoneに電源供給が可能になるわけです。
これまで「ライブなどで使用する際、途中で電源が切れたらどうしよう……」と心配していた人にとって、これは救世主ともいうべきアイテムですよね。
ACアダプタからLightning-USB3カメラアダプタを介してiPadやiPhoneに充電できる
そのため従来は、その問題を回避するために、Lightning-USBカメラアダプタとUSB機器の間に電源供給可能なUSBハブを入れて、無理やり動かしたりしていましたが、かなり団子状態での機器接続であって、まったくスマートではありませんでした。
nanoKEY2を接続して使いながらiPhoneに充電することができた
今回のLightning-USB3カメラアダプタによって、そうした問題が解消するのであれば、まさにiOS-DTM革命といってもいい画期的な製品ということがいえるでしょう。これまでもサードパーティー製というか、パチモン系製品でそれに近いものは存在していましたがiOSがアップデートすると使えなくなるなど、問題の多いものばかりでした。それがApple純正品でサポートされるのなら、とっても嬉しいですよね。
というわけで、それを試すために、Roland Boutique JU-06を接続してみました。ACアダプタとしてiPad用ノ5V-2.1Aタイプのものを使用すると、USBバス経由でJU-06の電源が入るとともに、鍵盤を弾くとiOS側のアプリも反応するし、反対にiOS側アプリで鍵盤を弾くと、JU-06が鳴ります。これは従来ではできなかった大きな進化ですね。ちなみにACアダプタにiPhone用の5V-1Aタイプのものを使うと、電力供給不足でJU-06を駆動することができませんでした。
電源にiPad用のACアダプタを使うことでRoland Boutique JU-06を駆動することができた
ちなみに、このようにJU-06を駆動できるようになるのはiPadでもiPhoneでもiOSのバージョンをiOS 9.3にアップデートした場合です。iOS 9.2のままではうまく動作しないので注意してくださいね。
これまではRoland A-300PROを接続すると消費電力不足のメッセージが出て使うことができなかった
続いて試してみたのが、いつも使えそうで使えなかったRolandのUSB-MIDIキーボード、A-300PRO。USBバスパワーでA-300PROの電源は入り、液晶も光るので、「使える!」と思ってもエラーメッセージが表示されて、反応しなかったんですよね。しかし、今回Lightning3-USBカメラアダプタを用い、やはりiPad用のACアダプタを接続するとバッチリ動作してくれたのです。
さらに試してみたのはオーディオインターフェイスです。これまでほとんどクラスコンプライアントのオーディオインターフェイスは、iPadやiPhoneからの電源供給では電力不足で使うことができませんでしたが、Lightning-USB3カメラアダプタで使えるようになると画期的ですよね。試してみたのはZOOMのUAC-2とSteinbergのUR-22mkIIです。
UAC-2をそのまま接続してもダメ。UAC-2専用のACアダプタを接続すれば動いたが、それは従来どおり
まず試してみたのはUAC-2ですが、クラスコンプライアントモードに設定して接続してみたも、ランプもつかずまったく反応しません。ここにUAC-2専用のACアダプタを接続してみると、今度はしっかり動くので、やはりUSBバスからの電力供給不足ということなのでしょうか…。これで動くのは従来と同じですからね。
続いてUR-22mkIIを外部電源供給ではなくUSBバスパワーのモードで接続してみると……、認識に10秒程度の時間がかかりますが、白くランプが点灯し、認識されました。実際に音を出してみると、UR-22mkIIのヘッドホン端子から音が出てきますよ!
ただし、録音のためコンデンサマイクを接続しようと+48Vのファンタム電源をオンにすると……、電力供給不足となってしまったようで、UR-22mkIIの電源が落ちてiOSとの接続も途切れてしまいました。接続順などを変えて試してみたけれど、やはりダメなようですね。
やはりiPad用のACアダプタでは供給不足で動かないということなのでしょうか……。そこで試してみたのは、もっと大容量のACアダプタの使用です。大容量での高速充電が可能なことで定評のあるANKERのPowerPort4というものを急きょ、購入して試してみました。これは最大で5V-8Aが使用できるということなので、この仮説が正しければ、UAC-2もUR-22mkIIも駆動できそうです!
かなり期待していたのですが、実際に接続してみるとUAC-2はやはり、うんともすんとも言ってくれません。無反応なんです。さらに、UR-22mkIIを接続すると、確かに動いてはくれるのですが、やはりファンタム電源を入れると落ちてしまうんです。つまり、電源を変えても状況は変化せず。どうやらiOS側で出力可能な電力というか電流を制御しているようなんですよね。
さらに、電源のない普通のUSBハブを使ってLightning-USB3カメラアダプタのUSB端子を分配してみました。ここで試してみたのはUR-22mkIIとA-300PROをUSBハブ経由で分配してみたのですが、2つ接続すると同時に電力不足になってしまって落ちてしまいました。やはり、いくら入力電力があっても出力電力は抑制してしまっているようです……、残念。
とはいえ、従来のLightning-USBカメラアダプタと比較すれば、ある程度多くの電力を使えるようになるし、なんといっても周辺機器を使いながらバッテリー切れを心配することなくiPadやiPhoneを使えるというのは大きなメリットですよね。
そうして、もうひとつ。今回のLightning-USB3カメラアダプタを使うことで、USB 3.0もサポートされるのですが、USB 3.0として使えるのはiPad Proの12.9インチのほうだけのようです。新たに登場したiPad Pro 9.7インチはUSB 3.0対応してないので、ダメみたいですね。
以上、かなり修正だらけの記事になってしまいましたが、Lightning-USB3カメラアダプタを使うにはiOS 9.3にアップデートした上で利用すると、結構使えそうです。ただし、iPad/iPhoneに充電用の電力を供給しつつ、USBデバイスにも電力を送る必要があるため、iPhone用のACアダプタでは力不足で、iPadを使う場合でもiPhoneを使う場合でもiPad用のACアダプタを用意したほうがいいようです。万能というわけではありませんが、iPad/iPhoneでDTMをする人にとっては重要なアイテムが誕生したと言っていいのではないでしょうか。
【製品情報】
Apple Lightning-USB3カメラアダプタ製品情報
※2016.03.26の初出時の原稿から何度かの追記をした後、大きく書き換えるとともに修正履歴は削除しました。どう修正したかはWeb魚拓を用いて記録していますので、興味のある方はそちらをご覧ください。