トンでもないことを実現してくれたMelodyneの新バージョン、Melodyne 4 Studio
Meldyneは2001年に「オーディオを音楽的に編集する画期的なソフト」としてデビューしたツールで、たとえばボーカルを読み込ませると、ピアノロールのような画面で表示することを実現したのです。そして、そのピアノロール表示された各音符を上下に動かせば、ピッチを変えることができるし、左右に動かせばタイミングを変えることができ、音符の長さも変更することができます。
そのMelodyneは2010年に誕生したDNA=Direct Note Accessという技術を追加することで、さらに大きく飛躍しました。このDNAを一言でいえば「ミックスされた音を一つ一つに分解して解析することができる機能」です。単に和音がどんなコードであるかを解析するといったレベルではありません。
Melodyne 4に搭載されたサウンドエディターには「倍音」、「EQ」、「シンセ」という3つのカテゴリーのエディターが搭載されており、これらを使うことで、各楽器の音を大きく異なるものに変えてしまうことができるのです。
たとえばギターパートにかけた場合、高い音を弾いているときも、低い音を弾いているときも、その倍音構成となるので、まさにギターにエフェクターを掛けたような音になるんです。もし単純なEQで設定しても絶対こうはならないですからね。
さらに、EQというのも普通のEQとはだいぶ違います。画面を見ても分かる通り、確かに上の目盛りには周波数が書かれていますが、下には音階名があり、各音階ごとに調整できるようになっているんです。やりようによっては「C3の音をほぼ出なくする」とか「D5の音を強く出す」なんてことができるんですが、ん~、どのようなシーンで活用するのか、いまいちよく分からなかったです。
そして、もう一つのシンセというのが、かなりのビックリ機能でした。こちらはスペクトル、フォルマント、音量という3つの画面が用意されているのですが、まさに、これらを使ってシンセサイザ的に音を変えてしまうことができます。従来もボーカルのフォルマントをいじることなどはできましたが、その次元ではなく、スペクトルとフォルマントの設定で自由自在に音色が作れてしまうのです。
言っている意味が分かりますか??これ、別にDAW上で鳴らすソフトシンセの音を変えようというのではないんですよ。もうレコーディングも終えてある、すでにレコーディングが終了している生楽器の音に対して、演奏を修正するだけでなく、音色まで自由にいじれてしまうというトンでもない話なんです。
studio | editor | assistant | essential | |||
アルゴリズム | ポリフォニック(DNA) | ピアノ、ギター、弦楽四重奏など | ○ | ○ | ||
メロディック | リードボーカル、ベースギター、サックスなど | ○ | ○ | ○ | ○ | |
パーカッシブ | ドラム、パーカッション、ドラムループなど | ○ | ○ | ○ | ○ | |
ユニバーサル | 複雑なポリフォニック素材(DNA) | ○ | ○ | ○ | ○ | |
ツール | メインツール | ピッチセンター、位置、長さ、ノート分割 | ○ | ○ | ○ | ○ |
ピッチ | ピッチセンター、ピッチ進行 | ○ | ○ | ○ | ||
ビブラート | ビブラートとトリルの強度/方向 | ○ | ○ | ○ | ||
ピッチドリフト | ピッチドリフトの強度/方向 | ○ | ○ | ○ | ||
フォルマント | フォルマントシフト、フォルマント進行をコントロール | ○ | ○ | ○ | ||
音量 | ノートの音量、音量進行、ミュートをコントロール | ○ | ○ | ○ | ||
タイミング | ノートの位置、長さ、クオンタイズをコントロール | ○ | ○ | ○ | ||
タイムハンドル | ノート内の時間進行を変更 | ○ | ○ | ○ | ||
アタックスピード | ノートの冒頭のトランジェントとパーカッシブさをコントロール | ○ | ○ | ○ | ||
ノート分割 | ノート分割を挿入、削除、移動 | ○ | ○ | ○ | ||
機能 | マルチトラッキングとマルチトラックノート編集 | 複数のトラックを同時に表示および編集 | ○ | |||
サウンドエディター | パーシャル間のバランスを調整して音色を変更 | ○ | ||||
テンポ検出 | 録音内のテンポ変化をマップおよび編集 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
テンポエディター | 録音内のテンポ変化をマップおよび編集 | ○ | ○ | |||
ノートアサインメントモード | ノート分割のエラーを修正 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
カット、コピー、ペースト | クリップボード機能を使用して素材を再配置 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
ピッチとタイミングのマクロ | ノートのインテリジェントな自動補正と最適化 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
オーディオ-MIDI変換 | オーディオノートをMIDIとして保存 | ○ | ○ | ○ | ||
音階補正 | 選択した音階に従ってノートを移動、または音階に合わせてノートをクオンタイズ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
音階を編集 | 音階を変更または独自の音階を作成 | ○ | ○ | |||
音階検出 | オーディオから音階を抽出 | ○ | ○ | |||
参照トラックにクオンタイズ | あるトラックのタイミングを別のトラックに適用 | ○ | ||||
互換性 | スタンドアロンモード | Melodyneを独立したアプリケーションとして実行 | ○ | ○ | ○ | ○ |
プラグイン | Melodyneをプラグイン(AU、VST、RTAS、AA○、ARA)として対応するDAWで使用 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
ReWire | MelodyneをReWireクライアントとしてスタンドアロンで使用 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
32/64ビット対応 | Melodyneを32/64ビットシステム上でネイティブアプリケーションとして使用 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
相互互換性 | 他のエディションで作成したプロジェクトを開いて編集 | ○ | ○ | ○ | ○ |
なお、このMelodyne 4はスタンドアロンのソフトとしても使うことができるし、VSTやAudioUnits、RTAS、AAXなどの各種プラグイン環境でも使えるので、DAW内で利用するというのが一般的な使い方だと思います。
ただ、これらのプラグインとは別にARAというものに対応しているのもMelodyneの大きな特徴です。ARAはSONARやStudio Oneに備わっているものなのですが、完全にDAWの一機能として統合されちゃうんですよね。このSONARの画面を見ても分かる通り、SONARと完全に同化してしまっているので、すごく使いやすくなります。
実際、SONARやStudio Oneの上位版にはMelodyneのEsseintialがバンドルされているものがありますが、まったく同じようにStudioやEditorも同化して使うことが可能です。もちろん旧バージョンのMelodyne Essentialを使っている人が、Melodyne 4 Studioをインストールしても、従来と同じように同化させて使うことができますよ。
一方、ちょっとビックリしたのは、私のユーザーアカウントで、Celemonyのサイトにログインしたら、Melodyne 4 Esseintialへ無料アップグレードできるようになっていたことです。「何で!?」と思ったら、旧Melodyne EssentialおよびAssistantのユーザーはみんなMelodyne 4は無料アップグレードするサービスを行っていたんですね。私の場合はSONARおよびStudio Oneユーザーとして旧Melodyne Essentialをユーザー登録していたのですが、そこも対象となっているという太っ腹。以前、Melodyne Essentialを入手したという人はぜひチェックしてみてくださいね!
さらに旧Melodyne Editorのユーザーは2016年4月30日までの期間限定で、通常35,000円のところ15,000円でStudioにアップグレードできるサービスも行われています。詳細は国内代理店であるフックアップのサイトをチェックするのが早いですが、メーカーとしてぜひフル機能を持ったStudioを使って欲しいという姿勢のようですね。
とはいえ、まずは30日の試用版があるので、これをダウンロードして試してみることをお勧めします。
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Melodyne 4製品情報
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