いつも「音楽・楽器系のアプリが少ないよ…」とお嘆きのAndroidユーザーのみなさん。ついにカシオがやってくれました。以前「思い浮かんだ鼻歌を一瞬で曲に仕上げるChordana Composerがスゴイ!」「魔法のアプリ、Chordana Composerが持つ作曲テクニックを探る」といった記事でも紹介したことのあるカシオのChordana Composer(コーダナコンポーザ)がAndroid対応したのです。
これは、頭にふと浮かんだちょっとしたメロディーを鼻歌で歌って録音すると、それの続きを自動で作曲してくれるとともに、ギターやベース、ドラム、ストリングス……といった楽器で構成される伴奏もイントロからしっかり作ってくれるという、驚くべきアプリなのです。iOS版とは見た目もだいぶ異なるので、改めてChordana Composerとはどんなアプリなのかを紹介してみましょう。
ついにChordana ComposerのAndroid版が誕生
いろいろな機能を持つアプリではありますが、まずは以下のビデオをご覧ください。
お分かりいただけたでしょうか?最初にクリックに合わせて2小節の短いメロディーを入力。これをモチーフに、このアプリに自動作曲させるのですが、どんなジャンルの、どんな雰囲気なのかなどを設定しておきます。その後、作曲をスタートさせると5秒程度で、かなり完成度の高い楽曲ができあがってしまうのです。
Chordana ComposerのAndroid版(左)とiPhone版(右)
この入力に用いるキーボードの見た目がiPhone版とだいぶ異なりますが、さまざまな画面サイズがあるAndroidデバイス、どれでも扱いやすくするように、こんなデザインになったということですかね?最初、妙な鍵盤……とも思いましたが、短いフレーズを入力する分には、違和感もなく、簡単に扱えました。
また右下のダイヤルを利用して、鍵盤の音程をスクロールすることができるのも、なかなか便利なところ。Andoroid端末の大きさにもよる面はありますが、右手にスマホを持った際、文字を入力するのと同じように、親指だけで演奏できるようにデザインされているそうですよ。
Android版のChordana Composerでは、親指操作での演奏も可能なようにデザインされている
「そうはいったって、思い浮かんだメロディーを鍵盤で弾いて入力なんてできないよ…」という方、ご安心ください。Androidに向かって鼻歌を歌ったり、口笛を吹いたりすることで、そのメロディーを入力して、音符化することができます。
この際、男声か、女声か、口笛かを事前に設定しておくだけ。あとは録音ボタンを押すと、「カン、カン、カン、カン」というカウントが鳴るので、その後、歌っていけばいいのです。この際のコツとしては、声で歌う場合には「ん~んんん~」のように、まさに鼻歌で歌うこと。歌詞をつけてハッキリ歌ったりすると、うまく認識されないので、そこは気を付けてくださいね。そのコツさえつかめば、口笛よりも認識率は高そうですね。
とはいえ、キーボードで入力しても鼻歌で入力しても、ミスはよくあるもの。それがAndroidのせいなのか、歌った人が下手なのかはともかくとして、正しく入力されなかったら、それを修正してしまえばいいのです。
これは譜面に表示された音符をエディットするという方法。「五線譜なんて読めないよ…」という人でも、2小節程度の短いフレーズですから、再生して変な音があったら、それを半分手探りでも動かしてみればできると思いますよ。もちろん、鼻歌で入力した結果がデタラメだった…という場合は、歌い方を変えて再度チャレンジしたほうが、速いとは思いますが……。
Chordana Composerでは、こうやって入力したメロディーをモチーフとして作曲してくれます。そのモチーフを曲の冒頭で使うのか、サビ部分で使うのかなどは「モチーフの場所」として設定することが可能です。初期状態では冒頭部分=Aメロとなっていますが、サビに設定すれば、一番盛り上がるところに、この入力したメロディーが表れてくるわけです。
先ほどのビデオでもお分かりいただけたと思いますが、このモチーフは単にその場所で鳴るということに留まりません。そのモチーフでの音程変化やリズムなどが、曲全体に影響を与えるようになっているのです。だから、自動作曲であるにも関わらず、なんとなく自分の作った曲という印象が得られるんですよね。この満足感は本当に高いですよ。
従来から自動作曲ソフトというものは存在していましたが、どれを使っても「機械が生み出したメロディー」という感じで、あまり楽しい印象はありませんでした。聴いていてつまらないですよね。ところがChordana Composerは自分の歌った鼻歌がそのまま曲になっており、その鼻歌がモチーフに全体が作曲されたことを随所に感じるので、ときにはちょっと恥ずかしい気がするほど、「自分が作った!」という思いが得られるんですよね。そのことがChordana Composerの最大のポイントだと思います。
ジャンルの指定や曲調の指定もできるし、これによって結果が大きく変わってくる
一方、ビデオにもあったとおり、入力したモチーフを元にどんな曲に仕上げるのか、そのジャンルや曲調といったものも選択できるようになっています。実際に試してみるとわかる通り、この設定を変更すると、同じモチーフであっても、まったく違う曲が出来上がるのも面白いところですよ。
さらにパラメータとしては「メロディーの動きの大きさ」「メロディーのテンション度」、「小節単位のメロディー変化」といったものもあります。またメロディーと伴奏のほかにオブリガート(助奏)を入れるかどうかの設定なども細かくできるようになっています。
こうした設定を行ったら、いざ作曲。すべてはAndroidが行ってくれるので、あとは待っているだけです。ここではNexus6を使って試してみましたが、作曲にかかる時間は本当に5秒程度。気に入らない曲だったら、再度設定してから、作曲しなおせばいいだけですから簡単ですよ。
ちなみに鼻歌で歌ったり、キーボードで入力して作成したモチーフは保存しておくことが可能で、モチーフリストからいつでも読み出して、再度自動作曲させることも可能になっています。これは、iPhone版にはなかった、Andoroid版の新しい機能ですね。
さて、このようにして出来上がった曲は、単純に聴くだけに留まらないのが、Chordana Composerの魅力です。これをChordana Composerの完成曲データとして保存できるのは当然として、「共有」というボタンを押すことで、WAV、さらにはMIDIデータとして、外部で利用することが可能になるのです。
具体的な共有手段としては、Android内部のメモリーに保存できるほか、LANで伝送したり、Gmailで送ったり、Google Driveを用いたり、メッセンジャーを用いるなど……。いろいろな方法があるので、使いやすい手段で送ればいいですね。
MIDIファイルで転送してCubaseで開いてみたところ、キレイに演奏できた
たとえば、MIDIで送ったデータをCubaseで開いてみた結果がこれです。そのまま再生してみると、Andoroidで鳴らしたときとは音色やバランスが異なるけれど、しっかりと演奏させることができますよ。ここで音色を変更したり、メロディーを少しいじってみたり、リズムパターンをいじってみたり、場合によってはループ素材を張り付けたり、さらにはボーカルをレコーディングしてみるなど、さまざまな展開ができそうですよね。
このような充実した機能を持つChordana ComposerのAndoroid版について紹介してみましたが、いかがでしたか?ユーザーインターフェイスは異なるけれど、基本的にはiPhone版の機能をそのまま踏襲した、かなり強力なアプリになっていると思います。「いまのDTMってこんなにスゴイのか!」と実感できるアプリなので、ぜひためしてみてくださいね!
【製品情報】
Chordana Composer for Android製品情報
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Chordana Composer for Android