ピンからキリまで、とにかくさまざまな製品があるオーディオインターフェイス。どれを選ぶかで、DTMの音質が大きく変わってくるので非常に重要なポイントなわけですが、安くていいモノが欲しいというのは、誰もが思うところでしょう。そんなオーディオインターフェイスの中に、非常にコストパフォーマンスの高い製品が登場してきました。
イギリスの高級プロオーディオ機器メーカーの老舗、Focusriteの新製品、Scarlett Solo(スカーレット・ソロ)という製品です。実売価格1万円と手ごろながら、コンパクトで非常に高音質で、ラインもマイクもギターもOKで、しかも数多くのソフトウェアがバンドルされているというもの。実際どんな製品なのか紹介していきましょう。
コンパクトで高音質なオーディオインターフェイス、Scarlett Solo
Scarlett SoloはFocusriteのUSBオーディオインターフェイス、Scarlettシリーズのエントリーモデルとして位置づけられた製品。エントリーモデルとはいえ、音質の面においては上位機種と比較しても遜色なく、高品位な音でレコーディングでき、プレイバックすることが可能です。
とりあえず、このScarlett Soloがどんな雰囲気なものなのかが分かるビデオがあるので、ご覧になってみてください。
この音、YouTubeなので、細かな音質まで評価することはできませんが、Scarlett Soloで実際にレコーディングした音とのこと。かなりいい雰囲気で録れているのが分かりますよね。
スペック的にいうと、2IN/2OUTのオーディオインターフェイスで、最高で24bit/96kHzに対応。入力は2つあり1chはマイク接続で、2chがギター/ライン接続、出力はフロントにヘッドホンジャック、リアにRCA端子でのライン出力という構成です。
この入力の1ch側にはファンタム電源スイッチがあり、コンデンサマイクの使用が可能、また2ch側はスイッチ切り替えでギター入力(Hi-Z)とライン入力の切り替えになっているので、一通り、どんなものでも接続可能ですね。ただし、Soloというだけに、モノラルでの入力が基本であり、ステレオ信号の入力には対応していません。とはいえ、マイクとギター、マイクとラインといった2ch同時入力には対応していますよ。
一方の出力ですが、リアでのライン出力と、フロントのヘッドホン出力は同じ信号が出る形になっています。ヘッドホン端子の上にはDIRECT MONITORというスイッチがありますが、これをオンにするとダイレクトモニタリングモードとなり、マイクやギターなど入力された音が、そのまま出力される形となります。
このダイレクトモニタリング、よくご存じない方のために簡単に解説しておきましょう。DAWでレコーディングを行う場合、オーディオインターフェイスから入ってきた音は、そのままPCへ入ってきてDAW内のエフェクトを通して、出力=モニターすることが可能です。こうすることで、ボーカルにソフトウェア的にリバーブをかけたり、ギターにディストーションをかけることが可能になるのですが、この際、どうしても音の遅れが生じてしまいます。この遅れのことを一般にレイテンシーと呼んでおり、これが大きいとモニター音に違和感を感じてしまいます。
そこで、DAWを介さず、入ってきた音をそのまま出力するのがダイレクトモニタリングなのです。こうすることでレイテンシーはまったくなくモニターできるのですが、エフェクトをかけることはできないのがデメリット。どちらを使うのがいいかは、切り替えてみてやりやすいほうを選べばいいと思います。
ダイレクトモニタリングに設定しても、DAWにはしっかり音が届いてレコーディングはできるので、その点は心配いらないですよ。
ベーシックな機能ではあるけれど、必要十分な機能を備えるとともに、非常に高音質なサウンドで録音できるのがScarlett Soloの特徴なのです。またオーディオからの入力信号に対応する形で、入力レベル調整ノブの回りが緑に光ったり、レベルオーバーすると赤くなったりするのも便利なところです。
Windowsのドライバー設定画面。バッファサイズを小さくすることでもかなりレイテンシーは小さくできる
ところで、Scarlett SoloはWindows用にはドライバがあるのですが、Mac用にはありません。というのも、これはUSBクラスコンプライアント2.0対応のデバイスなので、Macでは標準サポートしているからです。であれば、iPhone、iPadでも動作しそうですが、iOS8のiPadおよびiPhoneにLightning-USBカメラアダプタ経由で接続してみたところ電力不足で駆動させることができませんでした。
Scarlett Soloは基本的にはWindowsおよびMacで使うためのオーディオインターフェイス
試しに、iPadとScarlett Soloの間に電源供給機能付きのUSB-HUBを噛ませてみたところ、使うことができましたが、機動性という面ではWindows/Mac用の機材と考えたほうがよさそうです。
このScarlett Soloは1万円と手ごろでありつつ、数多くのソフトウェアがバンドルされているのも大きな特徴です。
Ableton Live 9 Liteがバンドルされており、無償でダウンロードできる
まずはDAWとしてAbleton Live 9 Liteがバンドルされています。正確にはLive 9 Liteのライセンスが入っているので、ダウンロードが可能という言い方がいいのかもしれません。WindowsでもMacでも利用することができますよ。
VSTiおよびAUのプラグインとして入っているBass Station。アナログっぽい太い音がする
また、ソフトウェア音源として、NovationのBass Stationのライセンスも入っていて、Windows版(VSTi)およびMac版(VSTiおよびAU)をダウンロードすることができます。
さらにFocusriteのプラグインエフェクトとしてコンプレッサ、リバーブ、EQ、ゲートの4種類もバンドルされています。やはりVSTおよびAUで利用できるので、付属のLive 9 Liteで利用できるのはもちろん、CubaseやSONAR、Logic、StudioOneなど各種DAWでも使うことができますよ。
合計1GB以上、750個以上のループ素材もバンドルされている
そのほか、1GB以上にもなるループ素材集も無料で入手できるので、こうしたソフトだけでも1万円以上の価値はありそうです。初めてDTMにチャレンジしようという方はもちろん、持ち歩きように2台目を探しているといった人にとっても、いい機材といえるのではないでしょうか?
なお、Focsuriteのオーディオインターフェースは、Scarlettシリーズとしてステレオ入力も可能な2i2、4OUTに対応した2i4、マイクプリを複数搭載した18i8や18i20などのラインナップがあるほか、iOS対応の製品やFireWire/Thunderbolt対応のSaffireシリーズなど、数多くのラインナップがありますから、用途に合わせて選んでみてもいいと思います。
【関連情報】
Scarlett Solo製品情報
Focusrite製品ラインナップ
【価格チェック】
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