2年前「Digital PerformerのWindows版がこの春、発売だ!」という記事を書いたことがありましたが、結局2012年は見送られ、2013年5月にMacの代表的DAWの一つDigital PerformerのWindows版がリリースされました。さらに今年、2014年2月にDigital Performer 8.06というバージョンがリリースされ、Windows版も日本語対応がされたのです。
前々から気になりつつも、買うほどの余力はないし、何かのついでに代理店のハイ・リゾリューションに頼んで借りてみようと思いながら、忘れていたんです。そんな中、ふと思い出して代理店に尋ねてみたら、DPのインストールプログラム自体はWebで公開されており、簡単にダウンロードして使えるようになっているみたいなのです! というわけで、今さらながらではありますが、Windows 8.1にDigital Performer 8.06をインストールして試してみました。
Windows 8.1にDigital Peformer 8.06をインストールして試してみた
古くからMacでDTMをやっている人って、DPユーザーが結構多いですよね。やはりMIDIシーケンサであったPerfomerの発展形ということで、打ち込みならDPという人が多いのだと思います。ただ、このDPは、これまで頑なにMacプラットフォームだけの対応となっており、Windowsに対応してこなかったんですよね。
Digital Performer 8になって、ついにMac/Windowsのハイブリッドとなった
そうCubaseだって、ProToolsだってMacからWindowsに来たわけだし、Logicだって一時期はWindows版があったのに、Digital PerformerだけはMac専用のソフトでした。では開発元のMOTUがWindowsを手掛けてこなかったのかというと、決してそうではなく、MOTUのオーディオインターフェイスは古くからWindows対応していたし、サンプラーとして人気のMachFiveやリズムマシンソフトのBPM、ビンテージキーボード音源のElectric Keysなどは、しっかりWindows版を出しており、結構早くから64bit対応などもしていたんですけどね。
中には以前、MacOS9とかMacOS8の時代はPerfomerを使ってたけど、その後メインマシンをWindowsに変えたからはご無沙汰してる……なんて人もいるのではないでしょうか?そうした人にとっては、このWindows版のDPというのは、試してみたくなる魅力を持っているのではないでしょうか?
DP8のインストーラはMOTUのWebサイトからダウンロード可能
ただ、これまでDPって、かなりプロテクトがきつく、扱いにくいという印象を個人的に持っていました。別に不法コピーしようというわけではなく、普通にDVD-ROMからインストールするだけなのですが、Apple純正でないドライブからだとうまくインストールできないなど、結構面倒なことがあって、やや敬遠していたところがあったのです。ところが、DP8になってからは、ダウンロードで簡単にインストーラを入手し、光学ドライブなどを使用せずにインストールできるようになってたんですね。
インストーラのサイズは949MBとコンパクトで、1分もかからずインストールできる
ダウンロードするには、アカウント登録が必要となりますが、基本的にはメールアドレスと名前、パスワードを入力するだけで簡単に登録することができます。詳しくはハイ・リゾリューションのサイトに説明があるので、これを見てみるとわかりやすいですよ)。
ここからダウロードするWindows版のDPは、ユーザーでなくても30日間は無料で全機能が使える試用版となっています。とりあえずこれで試したのちに、製品を購入しても、シリアル番号を入れるだけで製品版として使えるのも便利なところですね。
さて、実際にWindows8.1にインストールしてみたところ、32bit版と64bit版が同時にインストールされるんですね。ここでは64bit版のほうを起動して使ってみたところ、Mac版とそっくりな画面が起動し、MIDI機能もオーディオ機能もMacと同じように使うことができます。
デモプロジェクトを読み込んでいると、Macとそっくりな画面が表示される
まずはオーディオインターフェイスの設定が必要となりますが、ASIOに対応していますから、既存のDTM環境がそのまま利用することができます。ここではRolandのQUAD-CAPTUREを接続して使ってみましたが、なかなか快適ですよ。
ASIOドライバに対応しているので、手持ちのオーディオインターフェイスをそのまま利用できる
プラグイン環境はMASとVSTの2本立て。これまでMASはMac専用のプラグイン環境だったわけですが、それがそのままWindowsにもやってきたわけですね。もっとも、今のところMASはDP以外はサポートしていないので、ほかとの互換性があるわけではありませんが……。
VSTにも対応しているので、先日登場したSynth1の64bit版も利用できた
一方のVSTは、VSTインストゥルメント、VSTプラグインエフェクトともに使うことができます。ただし、64bitと32bitとのブリッジ機能は搭載していないようなので、64bit版DPの場合、32bitプラグインを使うことができません。これを使いたいという場合はjBridgeなどのブリッジソフトをインストールすれば、使えるようになりますよ。
また、MacのDPで作った昔のプロジェクトファイルを読み込んで再生したい……なんて人もいると思います。残念ながら、手元にそんなに古いバージョンのDPデータがあったわけではないのですが、とりあえずDP7のMacのデータを読み込んだところ、問題なく開くことができました。もちろんMIDIファイルのインポートといったこともできるので、いろいろと活用できそうです。
打ち込み画面として多くの人が使い慣れたイベントリストもMac版同様に使うことができた
とりあえずオーディオをレコーディングしてみたり、MIDIの打ち込みをしてみたりしましたが、比較的安定して動作してくれます。ただ、完全に安定というわけでもなく、何かの拍子にクラッシュして、「ごめんなさい画面」が登場するのは、新参者ですから許してあげましょう(笑)。
時々、クラッシュして「ごめんなさい画面」が登場してしまう
そのほかにも、いくつか問題に感じる点も……。まあ、それほど大きな支障はないのですが、MacのソフトをそのままWindowsに移植しているからなのか、日本語のWindows環境をあまり意識せずに移植したからなのか、いま一つWindowsのアプリケーションとしてこなれていないんですよね。
なんというか、ProTools 6とかProTools 7のWindows版を使っていたころを思い出す感じですね。たとえば、最初にウィンドウを開いたときに、妙なサイズの大きさがデフォルトとなっており、一発で画面の最大化をすることができなかったりします。また文字サイズが日本語として小さすぎるのも気になるところ。さすがにこのサイズでは、読むの厳しいですよ…。またフォントの関係で、文字が逆さになってしまうケースがあるあたりも使っていて気になります。
標準のMASプラグインのPolySynthはJUNO風で、なかなかいいサウンドが飛び出てくる
この辺は、今後のアップデートなどで徐々に解決していくのだろうと期待しています。Pro ToolsもいまではすっかりWindowsアプリになってますしね。表示系の問題はあるものの、DAWとしての完成度は高く、すぐにDPの世界にドップリとはまることはできます。MASのプラグインも充実しているので、これらを使うだけでも楽しいですよ。
久しぶりにDPに触れてみたいという人は、まずはこの30日の試用版から試してみてはいかがでしょうか?
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